【徹底解説】屈み指(かがみゆび)を自宅で治す!――湯浅慶朗が提唱する最新メソッド

足指ドクターによる解説

YOSHIRO YUASA
湯浅慶朗

足指博士、足指研究所所長、日本足趾筋機能療法学会理事長、YOSHIRO SOCKS・ハルメク靴開発者。元医療法人社団一般病院理事・副院長・診療部長。MRC認定歯科医院の顧問の経歴もあり。専門は運動生理学と解剖学。足と靴の専門家でもあり、姿勢咬合治療の第一人者でもある。様々な整形疾患の方(7万人以上)を足指治療だけで治してきた実績を持つ。東京大学石井直方名誉教授の弟子でもある。

目次

はじめに

はじめまして。理学療法士の湯浅 慶朗(ゆあさ・よしろう)と申します。私は25年以上にわたり、外反母趾や足指変形など「足」にまつわる様々なトラブルについて、手術や痛み止めだけに頼らない根本的な改善方法を研究し続けてきました。

本記事では、「屈み指(かがみゆび)」と呼ばれる足指の変形、いわゆるハンマートゥについて、専門家の視点から分かりやすく解説いたします。特に、自宅でできるケアを中心に取り上げ、簡単なストレッチやエクササイズ、さらには私が臨床で活用している「ひろのば体操YOSHIRO SOCKS」という矯正靴下を活用した方法なども紹介します。

「屈み指があるけれど、病院では特に治療法を提案してもらえなかった」「足指が曲がっているのに放置してしまい、姿勢や歩行に悪影響が出ている」――そんなお悩みをお持ちの方にこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。日常生活の中で少し意識するだけで、驚くほど改善が期待できますので、どうか最後までお付き合いください。

屈み指を自宅で治した方の紹介!

ここでは、実際に病院に行かずに自宅でリハビリを続けるだけで屈み指(ハンマートゥ)を改善した方の事例をご紹介します。皆さんが行ったのは、主に1日数分の「ひろのば体操」と、日常生活で「YOSHIRO SOCKS」を履くことだけ。それまでは「指の曲がりは治らない」「痛みを我慢するしかない」と半ばあきらめていた方も多かったのですが、毎日少しずつ継続していくうちに驚くほどスムーズに指が伸びるようになり、痛みからも解放されました。

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「どうせ変わらないだろう」と思われがちな屈み指は、正しい方法で筋肉や関節をリハビリをすれば、手術や痛み止めなしで大きく改善できる可能性があり、「自分にもできるかもしれない」という希望を感じていただけるはずです。

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整形外科に行っても治せないことがほとんど。それよりも自分自身で治すことがオススメです。

1.屈み指(ハンマートゥ)とは?

屈み指(かがみゆび)=ハンマートゥ

屈み指(かがみゆび)は、ハンマートゥ(Hammer Toe)とも呼ばれ、足指が正常よりも大きく屈曲したまま固まっている状態を指します。具体的には、足の第2関節(手の指でいうと第2関節に相当)が曲がり、爪先が下向きに変形しているのが特徴で、屈み指には主に3つの種類があります。

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1. Hammer Toe(ハンマートゥ)

• 第2関節が大きく曲がっている

2. Mallet Toe(マレットトゥ)

• 末端の第3関節のみ曲がっている

3. Claw Toe(クロートゥ)

• 第2関節・第3関節の両方が曲がっている

これらはいずれも“屈み指”と総称されますが、どの関節がどのように曲がっているかによって分類が異なります。いずれのタイプも、足指の筋力低下や合わない靴の使用、靴の中で足が滑るなどの要因によって進行しやすいとされます。

軽度であれば痛みを感じない場合も多く、「単に指が曲がっているだけだから大丈夫」と放置されることがしばしば。しかし、重度になると歩行時に痛みが出たり、タコやマメができたりして、日常生活に支障が生じる場合もあります。

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姿勢が悪くなったり、関節に痛みが出るので早めに対処することがオススメです。まさか足指が原因なんて思わないと思います。

2.屈み指を引き起こす要因――靴の履き方・生活習慣

1. 筋力バランスの崩れ(筋力のアンバランス)

1. 足趾の伸筋と屈筋のバランス不良
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背側骨間筋
底側骨間筋
虫様筋
長趾屈筋

長趾伸筋(EDL)や短趾伸筋(EDB)の働きが強い一方で、足の内在筋(骨間筋虫様筋など)や長趾屈筋が弱いと、指が過度に背屈(伸び)してしまい、結果としてPIP関節が曲がりやすくなる(ハンマートゥ)などの変形を誘発します。

• 逆に屈筋が過度に働くケース(靴の中で足を「握る」癖など)でも、伸筋とのバランスが崩れて屈み指を形成することがあります。

2. 足の内在筋の萎縮・疲労

足の内側にある小さな筋肉(骨間筋・虫様筋)は足趾の姿勢をコントロールするのに重要です。何らかの要因でこれらが萎縮・疲労すると、足趾をまっすぐ保てなくなり、屈み指を助長する恐れがあります。

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いずれにしても、なぜそれらが起こるのか?というのが鍵です。加齢や運動不足のせいではありません。

2. 靴の影響

不適切な靴のサイズや形状

• 大きすぎる靴で足が前後に滑りやすいと、足趾で靴を“つかむ”動作(屈曲)が増え、屈み指になりやすいです。

• 家の中でスリッパサンダルを履きっぱなしにしていると、足首や足指で「つかむ」動きが必要になり、知らず知らずのうちに足指を曲げるクセが定着しやすくなります。

• 逆に小さすぎる(つま先の浅い)靴や、先の細い靴、ハイヒールなどは、足趾を圧迫したり曲げたりするストレスが長時間加わり、指が曲がった状態が習慣化してしまうことがあります。

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日本ではスリッパ・クロックスを履くことで屈み指になっている人が非常に多いです。

3. 滑りやすい素材

靴の中で足が前後に動きやすくなる

• 滑りやすい靴下、ストッキング、インソール素材だと、足指を何度もこすり合わせる形になり、皮膚や関節に余計な負担がかかることもあります。

• 靴の中で足が前にずれたり、足指が前滑りしやすくなると、体のバランスを保つために足指を握って(屈曲して)踏ん張ろうとする動作が増えます。

• これを長時間繰り返すうちに、足指の屈筋ばかりが過剰に働き、伸筋とのバランスが崩れて屈み指につながりやすくなります。

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ストッキングやソックスで屈み指になると考える医師や理学療法士は、今でもいません。根本原因を無視して治療しても治らないのは当然のことと思います。

4. 加齢や病気による筋力・神経の変化

加齢に伴う筋力低下や腱・靭帯の伸張性低下

• 歳を重ねると足の筋力や関節の柔軟性が低下し、足趾をまっすぐ保つ力が弱まります。

糖尿病・末梢神経障害など

• 足の感覚低下や神経支配の乱れにより、趾の動きの制御が難しくなり、変形が進行しやすくなります。

リウマチや関節疾患

• 関節に炎症があると、腱の引き方や関節の安定性が損なわれ、屈み指を生じやすいです。

タオルギャザリング

一見、足指を鍛えるための代表的なトレーニングとして推奨されている「タオルギャザー」ですが、実は屈み指(ハンマートゥ)を進行させるリスクがあります。タオルギャザーは足指を“曲げてつかむ”動作が中心となるため、もともと足指がかがみ気味の方(Hammer ToeやClaw Toeなど)にとっては、すでに曲がった指をさらに曲げ込む形になってしまうのです。

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まずは足指の柔軟性と機能を取り戻すことが最優先。足指の形が整った後にタオルギャザリングをするのは良いと思います。

病院で治療が提案されにくい理由

屈み指は、外反母趾などと比べると、病院の外来で手術の適応とされることが少ないのも現状です。「そこまで重大ではない」「痛みがなければ様子を見ましょう」と言われ、積極的な治療が行われないケースも多々あります。その結果、放置してしまい、後々腰痛膝痛猫背などの全身症状につながることも珍しくありません。

 

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軽度だからと侮らず、早期にセルフケアを始めることで大きな問題を防ぎやすくなります。

3.放置すると危険!屈み指が引き起こす全身への悪影響

転倒リスクの増大

屈み指になると、足指を伸ばして地面をつかむ力が低下します。特に歩行時や階段の昇降時に指先が引っかかりやすくなり、つまずきや転倒のリスクが上昇。子どもの場合は前歯を折ってしまう事故、高齢者の場合は大腿骨骨折などの重症例へ発展する恐れがあるため、十分な注意が必要です。

姿勢バランスの崩れ

足指がしっかり地面を押さえられないと、重心が踵寄りになり、踵重心が続くことで腰を反らせる・背中を丸める(猫背)などの姿勢不良が生じます。これが慢性化すると、腰痛や首こり、肩こりストレートネックなど、全身の不調につながります。

腰痛・膝痛・股関節痛の発症

足指の変形は、足首・膝・股関節・骨盤まで影響を及ぼし、重度の場合は変形性膝関節症変形性腰椎症を誘発することも。足がしっかりと荷重を支えられず、別の部位に負担がかかるためです。

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足指の問題だけに収まりません。今出ているカラダの症状は「結果」であり、「原因」ではないことがほとんど。まずは足指を見直してみて。

4.屈み指のセルフチェック方法――自宅ですぐに判別できる

通常の屈み指

座った状態や立った状態で足をまっすぐに伸ばし、正面から足の写真を撮ってみましょう。指の関節部分にタコやマメ、黒ずみができている場合は、いわゆる「屈み指」が疑われます。詳しいセルフチェック方法はこちら。

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正面から屈み指

爪の向きが下を向いている

上から見た屈み指

指の第2関節が盛り上がる形で曲がっている

隠れ屈み指

普段は真っ直ぐに見えても、体重をかけた瞬間に指がギュッと曲がるタイプを「隠れ屈み指」と呼びます。

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手順1

向かい合わせで体をまっすぐにします

足指はまっすぐにしている

手順2

踵を浮かせないように体重を前に移動させます

体重をかけた瞬間に指がギュッと曲がる

 

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スマホなどを使って、体重をかけた瞬間の足指を動画撮影すると、より正確に把握できます。

屈み指の割合は非常に高い

私自身、これまで10万人以上の方の足を見てきましたが、そのうち80%以上が屈み指(あるいは隠れ屈み指)であると実感しています。保育園調査を行うと、5歳の子どもたちの86〜100%が屈み指だったという結果もあるほどです。

4.自宅でできる屈み指の改善法①:ひろのば体操

私が推奨しているもっともカンタンな方法が、「ひろのば体操」です。これは、1日1回5分ほどで取り組める足指・足首周りのストレッチ&エクササイズの総称で、次のような効果が期待できます。

初めは固さや違和感を感じるかもしれませんが、痛みを我慢して無理に動かさないことが大切です。自宅でテレビを観ながら、またはお風呂上がりなど、日常のスキマ時間で継続すれば、驚くほど指が伸びやすくなります。

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改善しにくい人は1日3回、1回につき10〜20分ほど行うと効果が出やすいです。リハビリなので頑張りましょう!

ひろのば体操の効果を確認するには?

見た目として「屈み指」が改善し、足指がまっすぐになってくると分かりやすいですね。見た目が変わる前の変化として、とても重要なのが「足指の機能」です。屈み指になると、足指の機能不全が起こります。グー・チョキ・パーができないことを機能不全といいます。自分の足指が機能不全になっていないかを確認し、ひろのば体操を継続することで機能を取り戻せるようになったかを定期的に確認しましょう。

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パー
グー
チョキ

パー:足の指と指の間に手の人差し指が入るくらい開き、30秒以上キープできるか

グー:手の指でグーを作るように、足の指をしっかり曲げられるか

チョキ:足指パッチンを30秒以上繰り返すことができるか

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見た目の形も大切ですが、それと同じくらい機能も大切です。定期的にチェックしてみてください。

5.自宅でできる屈み指の改善法②:YOSHIRO SOCKS

もう一つのアプローチとして私が推奨するのが、「YOSHIRO SOCKS」という矯正靴下の活用です。足指を正しいポジションへ導きつつ、滑りにくい素材を使っているので靴の中で足が前後左右にずれにくく、屈み指を含む足指変形や外反母趾などにも役立ちます。

実際、YOSHIRO SOCKSを履きながらひろのば体操を毎日数分行うことで、1〜2ヶ月ほどで屈み指が改善するケースも珍しくありません。とくに関節がまだ柔軟なうちに始めると効果が高まります。

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日中履けない人は、寝ている時だけでも履いてみてください。寝ている間に屈み指が矯正されていきます。

臨床データ(科学的根拠/エビデンス)

YOSHIRO SOCKSは、従来の5本指靴下をさらに進化させるべく、理学療法士(湯浅慶朗)による設計、監修、医療・研究機関との提携、さらに圧倒的な数の体験者実績データを用いて、10年以上かけて開発した渾身の5本指靴下。唯一のエビデンスが確立されている矯正サポートソックスがYOSHIRO SOCKSなのです。

屈み指

開始時の屈み指率は81%
8週間後の屈み指率は51%

8週間目の平均値は、開始時と比べて、かがみ指率が30%改善。かがみ指の改善の作用が確認されました。

※開始前と8週間目の平均値の差
※グラフは臨床試験における平均値の推移
※結果には個人差があり、100%の結果を保証するものではありません。

※石井直方名誉教授(東京大学)監修

YOSHIRO

屈み指に対する臨床データがあるのは、YOSHIRO SOCKSのみです。

6.自宅でできる屈み指の改善法③:正しい靴選び

6-1.靴選びと履き方の基本

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サイズ

つま先に1cmほどの余裕を持たせましょう

ハトメ

ヒモを通す穴は5つ以上のものを選びましょう

かかと

かかとは硬いものを選びましょう

ねじれ

靴がねじれないものを選びましょう

サイズ感のチェック:小さすぎる靴はもちろん、幅が広すぎる靴も足が靴内で滑ってしまう原因になります。

紐やベルトの固定:スニーカーなど靴紐がある場合は、足首から甲にかけてしっかり締め、足指が必要以上に前へ滑らないようにしましょう。

かかとのホールド:かかとが浮きやすい靴は、足指でつかむ力が低下していれば足がずれてしまい、横へのぶれが生じやすくなります。

6-2.矯正用シューズ

足・姿勢・呼吸の矯正を目的としてNB1400を超える靴を追い求めて、湯浅慶朗とハルメクが共同開発したオリジナルシューズ。女性用のシューズではこれがNo.1です。YOSHIRO SOCKSとひろのば体操を併用することで、最も早く屈み指を改善させていきます。

9.自宅でできる屈み指の改善法④:正しい紐の通し方

靴紐を正しく通す

靴ひもには丸ひもと平ひもがあり、丸ひもは点で甲を押さえるのに対し、平ひもは面でしっかりとホールドするため安定感があります。材質は化学繊維と純綿に大別され、化学繊維は伸縮性がある一方で固定力が弱く、純綿は伸びにくく固定力が持続し、耐久性にも優れています。

靴ひもは靭帯のような役割を果たし、伸びると足が靴内で滑り、指の変形を招く恐れがあります。特に外反母趾の方には、1〜3ヶ月おきに伸びにくい純綿の靴ひもへ交換することをおすすめします。

ひもは立った状態でしめる

結び方はいろいろありますが、今回はウォーキングのための「オーバーラップ法」を紹介します。ハト目(靴の紐穴)の表面から裏面に通すやり方です。最後の足首に近いハト目は、裏面から表面に通します。できるだけ左右均等になるように注意しながら結びます。結ぶ際は、立った状態(体重をかけた状態であれば座っていても大丈夫)で誰かに締めてもらうのが理想ですが、一人だったら最後のハト目だけでもしっかりと締めてください。

10.自宅で取り入れる具体的な方法

インソールに豚革を貼る

化繊やツルツルした革などの滑りやすい素材は、インソールに不向きです。実際に靴の中敷を外して靴下のまま上を滑らせてみると、ほとんどの場合はスルスルと足が動いてしまいます。一方、シボと呼ばれる肌目がある豚皮の表皮は摩擦が生まれやすく、足が滑りにくいのが特徴です。足が滑ると指の変形や開帳足・外反母趾につながるため、インソールは形状だけでなく表面素材にもこだわることが大切です。

豚皮インソールの作り方

こちらの動画では豚皮を使ったインソールのカスタマイズ方法について説明しています。ご参考になれば幸いです。

定期的な交換を

豚皮も使い続けると表面がツルツルして足が徐々に滑るようになります。できれば6ヶ月に1度は豚皮を張り替えるようにしてみてください。豚皮のおもて面とうら面がありますが、基本的にどちらを表面にしても構いません。スエード面は起毛しているので滑り止め効果は非常に高いのですが、靴を履くときに履きにくくなるため、靴の履き口が広ければスエード面を表面にすることをおススメします。

7.実例紹介:屈み指が治った!YOSHIRO STUDIOでの改善例

私が臨床で指導しているYOSHIRO STUDIOでは、多くの方が「YOSHIRO SOCKS + ひろのば体操」のみで劇的な改善を遂げています。ここではほんの一部ですが、痛みなく日常生活を送りながら指の変形を治した事例を紹介します。

屈み指の改善例1(40代・女性):3ヶ月で第2・3指の曲がりが大幅に解消

腰椎椎間板ヘルニアの強い痛みとしびれに悩まされていた患者さんが受診されました。半年間の入院生活を余儀なくされるほど深刻な症状で、歩行や立ち上がりも思うようにいかない状態でした。手術を回避したいとの強い希望があり、さまざまなリハビリを試されたそうですが、大きな改善は見られなかったといいます。ところが足を拝見すると、屈み指がはっきりと確認できました。

さらに、ヘルニアで神経が圧迫されているとされる部位と、デルマトームの神経支配図から想定される症状の範囲が一致していないことに気づき、私は「足指の変形による仙腸関節の機能障害が、あたかもヘルニアの症状を増幅しているのではないか」と確信しました。そこで足指を整え、姿勢を改善していくことを提案し、具体的にはYOSHIRO SOCKSやひろのば体操を組み合わせたリハビリを行いました。

日々の積み重ねで姿勢が少しずつ変化するとともに、痛みやしびれも次第に和らいでいったのです。そして定期的に撮影していたCTでは、当初はっきりと認められたヘルニアが自然に消失していることが確認されました。今では杖を手放し、8,000歩以上の散歩ができるまでに回復し、階段の上り下りやスーパーの買い物も楽にこなせるようになったと伺いました。

仕事復帰のめども立ったと笑顔で報告してくださる姿を見るたびに、私も大きな喜びを感じます。身体の土台である足指と姿勢の改善が、結果的にヘルニアや腰痛の緩和につながることを、あらためて強く実感しています。今後も、一人ひとりの患者さんの状態を丁寧に診させていただきながら、最善のアプローチを模索し続けたいと思います。もし腰痛や足指の不調でお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ足指からのアプローチを試してみていただきたいと心から願っています。歩み出せると信じています。

屈み指の改善例2(70代・女性):2週間で姿勢が変化し、パーキンソンも軽減

先日、70代の女性が私の外来を訪れました。他院でリハビリ中に腰椎の圧迫骨折を起こし、パーキンソン症候群も抱えていらっしゃる方です。初診時は強い屈み指の影響で身体が大きく前かがみになり、杖なしでは歩けないほど腰の痛みに苦しんでいました。さらにご自宅では息子さんと二人暮らしですが、炊事・洗濯・掃除といった家事をすべて一人でこなさなければならず、買い物にも車で行かねばならないため、「何としても腰を良くしたい」という切実な思いをお持ちでした。

そこで私は、YOSHIRO SOCKSとひろのば体操を毎日しっかりと続けていただき、1日6000歩を目標に歩くよう提案しました。すると、わずか2週間後には姿勢に変化が現れ、1年後には背筋をまっすぐ伸ばして歩けるようになったのです。腰痛もほとんど消え、杖を手放して生活できるようになったばかりか、パーキンソン症候群の症状までほとんど見られなくなりました。

先日その方がかかりつけの病院を受診された際、「症状がまったく進行していないね、何か特別なことをしているの?」と医師に驚かれたそうです。私もそのお話を笑顔で報告してくださった姿を見て、胸が熱くなりました。一見遠回りに思えるかもしれませんが、屈み指の改善や歩行習慣がご本人の回復を大きく後押しするということを、改めて実感しています。これからも患者さん一人ひとりの人生に寄り添い、最良のサポートを提供していきたいと強く願っています。

屈み指の改善例3(80代・女性):長年の靴による屈み指が、2週間で伸び始める

70代の女性が私の外来を訪れました。看護師として定年まで懸命に働いてこられ、一人暮らしを続けていらっしゃる方です。定年後から少しずつ腰が曲がりはじめ、変形性腰椎症と診断されただけでなく、膝の痛みや正座の困難にも悩まれていました。いくつもの整形外科を受診しては「年のせい」と片付けられ、リハビリを試しても大きな効果は得られず、このままでは歩けなくなるのではないかと外出も億劫になっていたそうです。

診察してみると、足先には屈み指や浮き指の症状が見られました。恐らく、仕事中に長年使用していたナースサンダルやストッキングの影響が大きいと考え、私はYOSHIRO SOCKSとひろのば体操を毎日の習慣に取り入れるよう提案しました。すると、わずか2週間ほどで足指が正しい位置に近づき、1年後には腰の曲がりがほとんど目立たなくなったのです。

それまで強く感じていた膝の痛みも気づけば消失し、正座まで難なくこなせるようになったと笑顔で報告してくださいました。友人やご近所の方々から「姿勢が良くなったね」と褒められるたびに、本人の表情もいきいきとしていきます。今では家庭菜園を楽しみ、歩けなくなるかもしれないという不安からも解放された様子です。こうして患者さんの生活が再び輝きを取り戻す姿を拝見すると、私も大きな喜びを感じ、これからも身体の土台である足指から健康を支えていきたいと強く思います。

その他のケース

椎間板ヘルニア
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猫背
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関節リウマチ
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8.一般的な病院治療と手術――その前にできること

病院でよく提案される方法

ハンマートゥの症状の一部を軽減するために、おおよそ次のことを提案されます。

  • つま先から少なくとも 0.5cmゆとりのある、ゆったりとした靴を履く
    →+1.0cmでないと解決しません。
  • 痛みを軽減するためにつま先の位置を変える靴内のインソールまたはパッド
    →インソールやパッドでは解決しません
  • 足の指を伸ばして強化する特別なエクササイズ
    →タオルギャザリングが主ですが、逆効果になります。
  • つま先をテーピングまたは副木で固定して真っ直ぐにする
    →効果は低く、見た目の問題があります。
  • 痛みや腫れを軽減するためにつま先にアイスパックを貼る
    →一時的な痛みや腫れの軽減には効果があります。
  • 痛みや腫れを抑えるイブプロフェンやナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)
    →一時的な炎症を抑えるのには効果があります。
  • 重度の腫れまたは痛みを伴う足指関節へのステロイド注射
    →根本的な改善策ではないので、繰り返しの治療になります。

ハンマートゥが重度の場合は、矯正するために手術を受けることがあります。痛みが悪化している場合、つま先が非常に硬い場合、手術になる可能性があります。 手術にはいくつかの選択肢があります。

関節形成術:曲がった足の指の下にある関節の半分を取り出し、平らになるようにします。 
関節固定術:曲がった足の指の下の関節全体を取り出し、ワイヤーを挿入して治癒するにつれてまっすぐにする。
腱の転移:つま先の下の腱をつま先の上部に取り付けて、つま先をまっすぐにします。 
基節骨切除術:ハンマートゥの下の骨の根元を切除します。

これらの方法は、確かに痛みを緩和したり、変形をある程度まっすぐに見せる効果はあります。しかし足指本来の機能を回復させるわけではなく、再発や他の部位への影響を防ぎきれないことも多いのです。とりわけ手術は体への負担も大きく、元に戻せないリスクを伴います。

● まずはセルフケアを試そう

私が提唱する「ひろのば体操」や「YOSHIRO SOCKS」を使った方法は、手術や痛み止めが必要ない軽度~中等度の屈み指であれば、十分に改善が期待できます。痛みや違和感が強い方でも、まずは専門家と相談しつつ、これらのアプローチを試してみることをおすすめします。

もちろん重度で骨が変形固定している場合は、手術が必要になるケースもありますが、それでも手術後のケアによって再発を予防する効果もあります。

9.まとめ――手軽なケアで屈み指は驚くほど改善できる

屈み指(かがみゆび)は、病院で「特に治療の必要なし」と言われるケースも多く、つい放置しがちです。しかし、放置することで転倒リスクや姿勢バランスの崩れ、腰痛・膝痛などの全身的問題に発展する可能性があります。とりわけ、高齢者や成長期の子どもは足指変形の影響が大きく、早期のセルフケアが重要です。

本記事でご紹介したように、「ひろのば体操」を毎日5分程度行うだけでも、足指の柔軟性や筋力が高まり、屈み指の改善が期待できます。また、「YOSHIRO SOCKS」を取り入れることで、日常生活の動きの中で自然と足指を正しい位置へ導き、滑りや指の曲がりを防ぐ効果が得られます。

● 具体的な行動ステップ

1. 足指をチェックする:隠れ屈み指を含め、自分の足指がどの程度曲がっているのか把握する

2. 靴やスリッパを見直す:サイズや履き方、素材を改善して「足が滑らない」環境を整える

3. ひろのば体操を習慣化:1日5分からでOK。お風呂上がりや寝る前に継続

4. 必要に応じてYOSHIRO SOCKSを併用:より効率的に足指矯正を進めたい方におすすめ

5. 効果を記録する:写真やメモで足指の変化を記録し、モチベーション維持に活用

屈み指は「難しい」「治らない」と思われがちですが、実は多くの場合、筋力低下や誤った足の使い方が原因です。セルフケアをコツコツと積み重ねれば、驚くほど短期間で目に見える改

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