脊柱管狭窄症とは?|症状と原因|自分で治す治療法・セルフケア・予防法

足指ドクターによる解説

YOSHIRO YUASA
湯浅慶朗

足指博士、足指研究所所長、日本足趾筋機能療法学会理事長、ハルメク靴開発者。元医療法人社団一般病院理事・副院長・診療部長。専門は運動生理学と解剖学。足と靴の専門家でもあり、姿勢咬合治療の第一人者でもある。様々な整形疾患の方(7万人以上)を足指治療だけで治してきた実績を持つ。

目次

はじめに

脊柱管狭窄症の手術は必要ありません。脊柱管狭窄症の原因としては、脊柱管狭窄症は、加齢や椎間板の変性、脊柱管内の腫瘍、外傷などが挙げられます。神経が圧迫されることによって痛みやしびれ、筋力低下などの症状が現れることがありますが、適切な足指の治療を行うことで、症状を早期に改善させることができます。

概要

日本での推定患者数は数百万人(250〜570 万人:紺野ら、吉村ら)であり、高齢化により脊柱管狭窄症の人口は急増しています。腰・下肢痛を有する患者さんの実態調査(2005 年、戸山ら)では、実に 41%と最も多くを占めるのが腰部脊柱管狭窄症です。疼痛を伴う歩行障害は、高齢者の ADL を低下させるだけでなく社会参加を阻み、QOL の低下とさらには精神的な障害をも招き、介護予防の大きな課題となっています。介護予防、健康寿命延伸実現には本症への対応が大きな課題とも言えます。

脊柱管狭窄症とは、脊柱管が狭窄することによって神経や脊髄が圧迫される疾患です。脊柱管は脊柱骨と椎間板で形成される管状の部分で、神経や脊髄が通っています。脊柱管狭窄症は、加齢や遺伝、脊椎の変形、外傷などが原因となり、神経の圧迫によって症状を引き起こすと言われています。

しかし、脊柱管狭窄症は、脊柱管内の神経組織への圧迫が原因で起こる病気であり、姿勢と密接に関係があります。悪い姿勢は、脊柱に不必要な圧力をかけて脊柱管を狭くし、神経組織への圧迫を引き起こす可能性があります。また、姿勢の悪さによって、脊柱が不自然な角度で曲がったり、黄色靭帯が肥厚することで脊柱管が圧迫されやすくなります。

姿勢が悪いと脊柱管狭窄症が悪化する可能性が高くなるため、日常生活で姿勢に注意を払うことが重要です。良い姿勢を保つことで、脊柱が正しい位置に保たれ、脊柱にかかる負担を軽減することができます。適切な姿勢を保つためには、普段の姿勢をニュートラルポジションという理想姿勢に戻していくことも重要で、正しい姿勢を保つために、足指を正していくことが重要です。

症状

脊柱管狭窄症の症状には、以下のようなものがあります。

脊柱管狭窄症の症状

1)脊髄や神経根への圧迫による痛みやしびれ:特に脊柱管狭窄症が進行すると、腰部や脚部に痛みやしびれが生じることがあります。歩行時や特定の姿勢で症状が悪化することもあります。

2)歩行困難:脊柱管狭窄症が進行すると、脊髄や神経根への圧迫によって足の筋力が低下し、歩行が困難になることがあります。この症状は脊柱管狭窄症の進行度合いによって異なります。

3)肩や腰の痛み:脊柱管狭窄症による神経圧迫によって、肩や腰にも痛みが生じることがあります。

4)しびれや痺れ:脊柱管狭窄症によって神経が圧迫されることで、手や足のしびれや痺れが起こることがあります。

5)失神やめまい:脊柱管狭窄症によって脊髄や神経根に圧迫が生じると、体のバランスを保つための神経が影響を受け、失神やめまいが起こることがあります。

これらの症状がある場合は、早めに適切な足指の治療を受けることが重要です。

原因・発症のメカニズム

脊柱管狭窄症の発生要因

脊柱管狭窄症は、主に加齢や慢性的な運動不足による脊椎の変形が原因とされています。また、過去の外傷や遺伝的要因も関与する場合があります。脊柱管狭窄症の発生要因としては、一般的な医学では以下のようなものが挙げられます。

原因

1)脊椎の変形:脊柱管狭窄症は、脊椎の変形によって脊柱管内の神経組織や血管が圧迫されることで引き起こされることがあります。これは加齢や慢性的な負荷によって生じることがあります。

2)外傷:過去の外傷や事故によって、脊柱管内の神経組織や椎間板に損傷が生じた場合、脊柱管狭窄症の発症リスクが高まることがあります。

3)遺伝的要因:遺伝的な要素も脊柱管狭窄症の発症に関与しているとされており、家族歴がある場合には注意が必要です。

しかし近年の研究では、悪い姿勢が脊椎の変形を引き起こすことで脊柱管狭窄症のリスクが高まると言われるようになりました。足指研究所での臨床研究においても、悪い姿勢によって背骨が歪み、そのメカニカルストレスにより黄色靭帯が肥厚し、脊柱管内の神経や血管が圧迫されることで脊柱管狭窄症が引き起こされることがわかっています。ですので、脊柱管狭窄症にならないためにも、正しい姿勢に戻して日常生活を送ることが重要です。

上の写真を見てみてください。正常な人と、脊柱管狭窄症がある人のMRIの写真です。赤い部分が黄色靭帯が肥大して神経を圧迫しています。正常な人と脊柱管狭窄症の人の違いはなんだと思いますか?

それは「姿勢」です。左の写真(正常)は背骨がS字に弯曲(わんきょく)して理想的なカーブをしていますが、右の写真(脊柱管狭窄症)は背骨がまっすぐしています。いわゆる平背(フラットバック)・猫背のタイプです。

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正しい姿勢
平背
反り腰
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正しい姿勢
平背(または猫背)

黄色靱帯が肥厚する原因の一つとして姿勢が関連しています。平背・猫背になってしまうと生理的なS字カーブではなくなるため、特定の部位に過剰な負荷がかかり、その部位の靭帯が過度に伸びたり、炎症を起こしたりして肥厚することがあります。特に首や背中など、重要な部位の靱帯が肥厚すると、慢性的な腰痛や首の痛みといった症状が引き起こされる可能性があるため、正しい姿勢を保つことが重要です。MRIで悪い部分だけを見ると狭窄していることに問題があるのですが、脊柱管が狭窄する原因が「姿勢」にあるのです。

姿勢の分類

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脊柱の弯曲の特性からロードシス(反り腰)カイホロードシス(猫背+反り腰)フラットバック(平背)スウェイバック(猫背)の4つに分類しています。この分類は、一般的な姿勢分類として世界的に普及しています。反り腰・猫背・平背のいずれでも脊柱管狭窄症になる可能性が高くなります。

正常な人と、脊柱管狭窄症の人の背骨のカーブの違い

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正常な人のMRI
脊柱管狭窄症の人のMRI①
脊柱管狭窄症の人のMRI②
脊柱管狭窄症の人のMRI③

脊柱管狭窄症の力学的なメカニズム①

黄色靱帯は骨と骨をつなぎ、脊柱を支え、保護する役割がある。

背骨の黄色靭帯は、椎体と棘突起の間に付着しています。椎骨の後方に位置し、脊椎動脈と神経を通過する靱帯の一種です。この靭帯は黄色い脂肪組織から成り、脊柱の柔軟性を保ちつつサポートする役割を果たしています。

通常、人の背骨はS字のカーブを描いています。先ほどのイラストであるようなまっすぐな配列にはなっていません。正常なS字カーブの状態では、黄色靭帯(おうしょくじんたい)が緩(ゆる)い状態となっています。

猫背や反り腰になる=靭帯が引っ張られる
靭帯が炎症を起こし肥大化する

ところがS字カーブの状態で緩かった黄色靱帯は、猫背や反り腰によりS字カーブが崩れてしまうと、背骨の骨同士の距離ができることで張力(上下に引っ張られる力:メカニカルストレス)が発生します。張力がかかることで黄色靭帯の線維が引っ張られ、その結果、靭帯が肥大化することがあります。これは、靭帯が負荷に応じて適切に反応し、強化される過程の一部として考えられますが、このメカニカルストレスが持続すると靭帯が骨化することもあるので注意が必要です。

また、張力によって血液の流れが滞ると、栄養や酸素が靭帯にきちんと供給されないため、靭帯が炎症を起こしたり、肥大したりすることがあります。その結果、関節や筋肉の動きが制限されたり、痛みを引き起こすことがあります。血流障害による靭帯の肥大は、適切な理想姿勢を保つことが重要で、そのために足指のケアが大切とされているのです。

脊柱管狭窄症の力学的なメカニズム②

シンプルに説明すると、①靴の種類・履き方→②足指変形(かがみ指・浮き指)→③後方重心→④骨盤後傾/前傾→⑤猫背/反り腰→⑥生理的S字カーブの消失→⑦黄色靱帯が肥大化→⑧脊柱管が狭窄というメカニズムです。

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足指がまっすぐだと姿勢も良い
かがみ指(浮き指)になると猫背に
かがみ指(浮き指)になると反り腰に

かがみ指や浮き指になると、かかと寄りに体重が乗る(踵重心)ようになります。踵重心になれば後ろに姿勢が倒れそうになるのですが、体幹を前に倒したり後ろに反らせることでバランスを取ろうとします。これを姿勢制御ともいいます。そうすると平背や猫背になるのですが、背骨の生理的なS字カーブがなくなることで、黄色靭帯の線維が引っ張られ、その結果、靭帯が肥大化して脊柱管を狭窄させるということなのです。

いずれも足指の変形による姿勢変化で起こることですので、姿勢や脚の形を作っている「足指」を治療しない限りは、脊柱管狭窄症の治療に何の意味も持たないことがわかるでしょう。

足指の変形と原因について

ほとんどの現代人は、間違った靴・靴下の選び方、履き方などによって足指が変形し、土台が崩れています。詳細は以下のサイトに記載しているので参考にされてください。

検査・セルフチェック

脊柱管狭窄症の症状には、腰痛や坐骨神経痛、脚のしびれや痺れ、歩行困難などがあります。もし脊柱管狭窄症を疑う症状がある場合は、以下のセルフチェック方法を試してみてください。

セルフチェック

1)痛みやしびれが続く場合
2)歩行時に痛みが増す場合
3)外反母趾や膝の曲がりなどの変形が見られる場合
4)尿や便の通じが悪くなる場合

これらの症状がある場合、脊柱管狭窄症が原因である可能性があります。足指を正して姿勢を良くしていき、正しい靴選びや靴の履き方をすることで早期の改善が可能となります。

痺れのセルフチェック

脊柱管狭窄症で神経が圧迫されると、神経症状(痛みやしびれ)が起こります。「どこが狭窄しているのか」によって、神経症状がでる部位(おしり、ふくらはぎなど)がちがいます。

それをチェックするために「デルマトームの神経支配の図」というものがあります。デルマトームとは、皮膚分節や皮膚感覚帯とも呼ばれ、脊髄から出る神経根ごとの皮膚表面の感覚(触覚、痛覚、温度覚)の領域を表したものです


・C2〜8(頚神経2番目〜8番目) ・T1〜12(胸神経1番目〜12番目) ・L1〜5(腰神経1番目〜5番目)

例えば、脊柱管狭窄症で腰椎の4番目の神経根が障害されると、L4と記載されている部分に感覚障害が現れることが分かります。下の図の部分に感覚障害(しびれや知覚鈍麻)や筋力低下(脱力感)が出ていれば「脊柱管狭窄症」である可能性が高いです。正し、腰の部分だけ症状が出るということはなく、太もも〜足先まで症状が出るのが一般的です。

脊柱管狭窄症の診断には、この知覚鈍麻が重要になります。知覚鈍麻の部位によって脊柱管狭窄の位置・神経炎を起こしている神経の高さが分かります。この神経の高さとMRIの画像が一致して、脊柱管狭窄症と診断できるのです。ほとんどの人は狭窄している部分と、出ている症状の部分が違うと思います。

もしMRI画像だけで判断していたり、「狭窄している部分」と「症状が出る部分」がデルマトームと違えば脊柱管狭窄症ではない可能性が高いのです。

姿勢のセルフチェック

まず、自分の真横からの姿勢をスマホなどで撮影してみましょう。スマホの中心点がカラダの中心にくるように撮影します。水平器の位置がおへその位置にくるようにすると良いでしょう。

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その次に、耳垂(耳たぶ)と足の外果(外くるぶし)を線で結びます。その直線の中に、①膝の中心、②大転子(股関節)、③肩峰(肩の中心)が通っていれば理想姿勢です。線をひきのが面倒であれば、定規などを耳たぶと外くるぶしの位置に合わせます。

①・②・③のいずれかが直線からズレている場合は、猫背か反り腰の状態で、首を前に出して立っている状態だと思います(反り腰の一部の方を除く)。どうでしたか?ほとんどの方が猫背や反り腰だったのではないでしょうか?

治療

脊柱管狭窄症の治療法には、一般的には以下のような方法があります。

一般的な治療

1)非手術的治療方法

  • 薬物療法:炎症や痛みを軽減するための鎮痛剤や抗炎症薬が処方されることがあります。
  • 生活習慣の改善:運動や姿勢の改善、体重管理などが重要です。物理療法や理学療法などを受けることも効果的です。
  • 注射療法:痛みを軽減するために、ステロイドや局所麻酔剤を注射することがあります。

2)手術的治療方法

  • 脊椎形成術:神経圧迫を緩和するため、脊椎の形状を修正する手術です。
  • 椎弓切除術:頚椎管や腰椎管の狭窄を解消するため、椎弓の一部を切除する手術です。
  • 脊柱固定術:脊椎を固定するために、スクリューやプレートを使って脊柱を安定させる手術です。

狭窄した脊柱管を元に戻すためには、適切な身体活動や姿勢の修正、体重管理などが重要です。上記の治療(保存療法)は一時的に症状が緩和することもありますが、脊柱管狭窄症が治るということはありません。また、経験上、「脊柱管狭窄症」と診断されている方で手術が必要な症例は1%にも満たない程度です。

基本的に根治させるには足指ケアを行い、姿勢を改善させることで椎間板が摩耗しないようにすることと、黄色靭帯に張力が加わらないようにすることが重要です。

脊柱管狭窄症状を軽減するために、以下の薬物療法が一般的に使用されます。あくまで一時的に緩和するためのものなので、根本的に治すというわけではありません。

1)鎮痛剤:痛みを軽減するために処方されることがあります。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェン(パファノール)などが一般的に使用されます。

2)筋弛緩剤:筋肉の緊張を和らげるために使用されることがあります。これにより、脊柱管内の圧迫が軽減され、症状の改善が期待されます。

3)ステロイド注射:短期間のステロイド注射が炎症を軽減し、痛みを軽減するのに効果的な場合があります。

4)抗てんかん薬:神経痛や痺れなどの神経症状を軽減するために使用されることがあります。

運動と理学療法

脊柱管狭窄症の理学療法には、以下のような方法がありますが、ほとんど効果はありません。

運動療法と理学療法

1)ストレッチング: 筋肉の柔軟性を高め、腰椎や脊柱の可動域を改善するためのストレッチングが行われます。特にハムストリングスや腰部の筋肉のストレッチングが中心です。

2)強化トレーニング: 脊柱周囲の筋肉を強化するためのトレーニングが行われます。脊柱の安定性を高めるためにコアトレーニングが中心です。

3)ポストラルリエデュケーション: 正しい姿勢や動作を学び、日常生活での姿勢や動作の改善をサポートします。

4)マニュアルセラピー: 手技を用いて筋肉の緊張を緩和し、関節の可動域を改善します。

5)電気療法や磁気療法: 痛みや炎症の軽減を目的として電気療法や磁気療法が行われることがあります。

6)ウォーキングや水泳などの有酸素運動: 適度な有酸素運動を行うことで筋力や持久力を高めます。

手術

脊柱管狭窄症の手術療法は、重症な症状を改善するために行われる場合があります。手術の方法は患者の症状や状態によって異なりますが、一般的には以下のような方法があります。

手術の種類

1)脊椎固定手術:脊柱管狭窄症が進行している場合に行われ、脊柱の特定の部位を固定する手術です。これにより脊柱の安定性が増し、痛みやしびれの症状が改善されることがあります。

2)椎弓切除手術:椎弓と呼ばれる脊椎の一部を取り除く手術で、脊柱管の圧迫を解消し、神経の圧迫を緩和することができます。

3)脊柱管拡張手術:脊柱管を広げる手術で、脊柱管が狭窄している場合に行われます。神経の圧迫を緩和し、症状の改善が期待されます。

脊柱管狭窄症は手術をしても良くならない場合があります。手術は通常、痛みや症状の改善を目的として行われますが、すべての患者にとって効果的な治療法とは限りません。手術後にも症状が改善せず、姿勢が悪くなると再発や合併症が起こる可能性もあります。

セルフケア

脊柱管狭窄症を改善する足指ストレッチ「ひろのば体操」

1日1回5分を目安にやってみましょう。2〜3日やってみて症状に変化が見られないときは、1日2〜3回に回数を増やしてみることをお勧めします。目標は足指のパーが30秒間できるようになることです。

小指と薬指の間に自分の手の指がスッポリと入るくらいひらくことが理想

 

姿勢を最適にサポートする矯正5本指靴下

これまで綿やシルクで機能性5本指靴下を製作し、臨床現場で多くの患者様に試してきましたが、靴や靴下の中で足が滑るという問題を解決することができませんでした。そこで、繊維会社と2年の歳月をかけて理想的な繊維を完成させ、矯正5本指靴下「YOSHIRO SOCKS」が誕生しました。脊柱管狭窄症に悩んでいる方は、試してみてください。

適度なウォーキングが脊柱管狭窄症を解消する

より効果的にするために

足指ストレッチや矯正5本指靴下(YOSHIRO SOCKS)を履きながら、日常生活を少し変えることで、姿勢を正しい状態で保持し、肩周囲の筋肉の炎症を改善させることができます。

日常生活で気をつけること

・小股で歩くようにする
・坂道や階段を上るなど足指先を使う活動を行う
・室内で履き物を履かないようにする
・1日6,000歩以上歩くように心がける
・靴紐をしっかり絞めるようにする
・オーダーの枕やマットを使わないようにする
・正しい靴選びを心がける
・靴べらを使って靴を履くようにする


足指のストレッチや矯正5本指靴下(YOSHIRO SOCKS)を履いて歩くことで、足指を機能的に使うことができます。①足指変形が改善→②正しい重心位置→③姿勢が改善→④脊柱管狭窄症が解消という流れです。

正しい姿勢は、正しい筋肉によって作られていきます。正しい筋肉は「足指を広げて伸ばした状態」で歩くことでしか作ることができません。そして1日6,000歩以上が望ましく、それ以下であると思うように筋肉がつきません。1日10,000歩を目指してウォーキングを頑張ってみましょう。

その他のセルフケア

脊柱管狭窄症は日常生活でのセルフケアによって症状を軽減することができます。

セルフケア

1)適切な姿勢を保つ:正しい姿勢を保つことで脊柱管にかかる圧力を軽減することができます。長時間同じ姿勢を保つ場合は、足指を広げて伸ばすことが重要です。

2)適度な運動をする:脊柱管狭窄症の患者は安静にする傾向がありますが、定期的な運動を行うことで筋肉を強化し、姿勢を改善に役立ちます。

3)体重の管理:過体重は踵重心になりやすいため、症状の悪化を引き起こす可能性があります。適切な体重を維持することが重要です。

4)痛みの管理:湿布や温熱療法、ストレッチング、マッサージなどを行うことで痛みを和らげることができます。必要に応じて医師の指示に従い痛み止め薬を服用することも重要です。

5)日常生活の工夫:脊柱管狭窄症の症状に合わせて、使いやすい家具やアイテムを利用するなど、日常生活の工夫をすることで症状を軽減することができます。

脊柱管狭窄症のセルフケアは症状の改善に役立つだけでなく、再発を防ぐことにもつながります。しかし、症状が悪化したり、自己処置で改善しない場合は、早めに足指のケアを行うことが重要です。

正しい靴の選び方

足指が変形するいちばんの原因は、靴の選び方と履き方にあります。背骨のトラブルの多くは、足の指をちゃんと使っていないことが原因です。足と方は遠く離れた場所にあるので、ピンとくる人は少ないと思います。「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、足先から頭までカラダは全てつながっているので、脊柱管狭窄症で悩まれている方はこの機会に足元を見直してみてください。

正しい靴下の選び方

純綿やシルク素材のものは滑りやすい

シルケット加工(またはマーセライズ加工)というものがあります。シルケット加工とは、シルクの様な光沢を持たせる加工のことで、糸を苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)の液に浸し、手延べうどんのように糸を伸ばして糸の断面を整える加工のこと。主に綿やシルク繊維(コットン)に対して加工をすることが圧倒的に多いです。

綿の断面が整い発色性もよくなり、加工をすると毛羽も抑えられるため、見た目に高級感があります。なめらかですべるような履き心地なのですが、なめらか(滑らか)ですべる(滑る)というように読んで字が如く、靴の中や靴下の中で足が滑りやすくなります。つまりは足指の変形を起こしやすい素材ということなのです。

もちろんシルケット加工をしていない綿やシルク素材もありますので、そういった素材を選ぶこともひざ痛の予防には大切な要素です。

5本指靴下で足指の機能を発揮させる

一般的な靴下はチューブソックスとも呼ばれ、世界中の方のほとんどがこのタイプの靴下です。長年使われてきた形状なのですが、チューブタイプは足指をうまく使うことができなくなります。そのため5本に分かれた靴下が良いのですが、このタイプにも色々なものがあります。

一番大切にしたいのは、自分自身の足にジャストフィットするか。指先や甲まわりがゆるかったりすると、せっかくの5本指靴下でも「滑り」が発生してしまいます。逆にフィットしすぎて圧迫感を感じる5本指靴下も血行を妨げてしまうためオススメできません。自分が使ってみて「心地よい」と感じる5本指靴下を見つけることが大切です。

矯正力のある靴下も増えてきましたが、試してみると意外にも強力に圧迫するものが多いと思いました。特に土踏まずの部分。アーチをサポートすることは大切なのですが、アーチ構造というのは強く持ち上げすぎると機能を失ってしまう特性があるので、アーチ部分もあまり圧迫感がないものを選ぶようにしましょう。

脱いだ時に「は〜、スッキリした!」と感じたら圧迫が強いということになります。

体験談

毎日、趣味や家族の介護に勤しむ私を見て、「よくそんなに動き回れるね」とまわりは驚きます。というのも、ほんの数ヶ月前まで、私は腰痛のために立つこともままならず、家の中をはっていたことさえあるのです。

自由に動けるようになったのは、ひろのば体操とYOSHIRO SOCKSのおかげです。私の体験をお話ししましょう。

2年前、転倒がきっかけで腰痛になり、カラダは「くの字」に曲がってしまいました。腰と右足首からひざ裏、太ももがひどく痛み、イスから立つのも一苦労でした。腰にコルセットを巻き、外出時には歩行器を使い、休み休みしか歩けません。階段は手すりにつかまりながら一段ごとに両足をそろえて、上り下りしていました。

整体でもよくならず、病院でMRI検査を受けたところ、脊柱管狭窄症と診断されました。手術を勧められましたが、入院が億劫で気が進みませんでした。徐々にカラダは弱っていき、要介護1の認定を受けるほどに。

ある日、家族から「凄いデイケア」があると聞き、週2回ほど通うことにしました。

私は認知症の妻の介護をしないといけないので、なんとか自分の体を良くしないといけないと思ったのです。そして湯浅慶朗先生がやっているデイケアを訪ねました。足をチェックした結果、外反母趾と浮き指があることがわかり、ひろのば体操を習いました。それからデイケアではYOSHIRO SOCKSを履いてのリハビリです。

この日以来、私は痛みを取りたい一心で、暇さえあればひろのば体操を行いました。

1回に要する時間は5分ほどです。多い日は、起床時、朝食後、出かける前、帰宅後、お風呂に入った後、寝る前に行います。すると2カ月後には、足腰がさほど痛まなくなり、薬や湿布、コルセットも不要になりました。11月には、腰もまっすぐに伸びるようになり、要介護1から要支援1になり、歩行器なしで歩くこともできるようになったのです。

階段もゆっくりですが、スムーズに上り下りできるようになりました。「自分で治す」という気持ちを持って、ずっとひろのば体操を続けるつもりです。

参考文献

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2.『足指をそらすと健康になる』湯浅慶朗/著 PHP研究所 2014.6
3.『たった5分の「足指つかみ」で腰も背中も一生まがらない!』湯浅慶朗/著 PHP研究所 2021.6
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湯浅慶朗
足指博士
足指研究の第一人者。足指研究所所長。日本足趾筋機能療法学会理事長。ひろのば体操、YOSHIRO SOCKS、YOSHIRO INSOLE、ハルメク靴の開発者。東京大学や国際医療福祉大学で研究を行う。元医療法人社団一般病院理事・副院長・診療部長・通所リハビリテーションセンター長。足指のスペシャリストとしてNHKガッテン・NHKサキどりに出演。著書多数。テレビ出演は『ガイアの夜明け』『NHKガッテン』『NHK BS 美と若さの新常識』『NHK サキどり』ほか多数出演、著書は『たった5分の「足指つかみ」で腰も背中も一生まがらない!』(PHP出版)など多数。ハルメクとオシャレな矯正靴を共同開発しています。

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