【医療監修】モートン病の本当の原因と全体像― 足指・前足部・血流・骨盤までを「構造」で整理する

はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
私はこれまで10万人以上の足と姿勢を評価し、臨床データと研究知見をもとに「足指 → 重心 → 姿勢 → 痛み」という因果構造を追い続けてきました。
その中で、モートン病(モートン神経腫)と呼ばれる前足部の痛みは、一般的な説明だけでは整理しきれないケースが多いと感じています。
足の指の付け根あたりが痛い
歩くとピリッとする
靴を履くと悪化する
指の間に小石が挟まったような違和感がある
こうした症状が続くと、多くの方はこう思います。
「神経が圧迫されているんだろう」
「足の前だけの問題なんだろう」
もちろんそれも一部では正しいのですが、臨床の現場で多くの足を見ていると、どうしてもそれだけでは説明できないケースに出会います。
私が強く感じているのは、この一点です。
足指・重心・骨盤のズレが、痛みを固定化させている
ケースがある。
この記事では、モートン病を「局所の病名」ではなく、身体の使い方の“構造”として整理します。
▶︎【医療監修】モートン病と診断されたのに痺れがない?|足指の変形(屈み指)から考える痛みの正体

モートン病とは?(まずは基礎)
モートン病は、一般的に
第3趾と第4趾の間(3-4間)
または第2趾と第3趾の間(2-3間)
に痛み・しびれ・灼熱感(熱い感じ)・違和感が出る状態を指します。
症状の特徴としては、次のような訴えが多いです。
歩行中に増える
立ち続けると出る
靴(特につま先が細いもの)で悪化する
裸足や休むと落ち着くことがある
ここで重要なのは、
モートン病を「神経が悪い病気」と決めつけると原因を見失う
ことがあるという点です。
神経の問題が“関係している可能性”はあります。
しかし臨床では、それだけで片付かない痛みが多い。
だから私は、モートン病を「環境の問題」として捉え直す必要があると考えています。
まず結論|モートン病は「環境の問題」として起きることがある
私はモートン病を、臨床的にこう整理しています。
筋肉の過緊張
前足部への負担の集中
血流障害(循環の悪化)
この3つが関係しながら起きる「環境の問題」である可能性がある。
ただし、ここで大切なのは、
この3つが必ず同時に重なって起きているとは限らない
ということです。
1つが強く出るだけで痛みが成立することもありますし、現実には互いに影響し合いながら連鎖していることが多いと感じています。
そして、この3つの“土台”を作っているのが、足指の崩れであるケースが非常に多いです。
なぜモートン病は「前足部に負担が集中する」と起きやすいのか
モートン病の痛みが出やすい人には、共通する足の使い方があります。
それは簡単に言うと、
足の前側だけで体を支え続けている
という状態です。
本来、足は
かかと
足裏のアーチ
足指
この3点で荷重を分散しながら、歩行中の衝撃を逃がします。
ところが、
足指がうまく使えない
体重移動が偏っている
足の前側で踏ん張る癖がある
こうした条件が重なると、前足部に負担が集中します。
結果として、前足部では何が起きるか。
中足骨の間にストレスが集まる
筋肉が固まり、逃げ場がなくなる
循環が落ち、回復しにくくなる
そしてその
「逃げ場のない状態」が、痛みとして表面化してくる。
私はこの流れを、モートン病の“構造”として捉えています。
重要|モートン病の“引き金”は足指にあることが多い
ここは、私の臨床でかなり強く感じている部分です。
モートン病の方は、足指のどこかに問題があることが多いです。
特に多いのは、
屈み指(かがみ指)
浮き指
そして、
屈み指がダントツに多い。
屈み指があると、足の指は
地面を押すための“支点”
ではなく
縮こまって固まる“ブレーキ”
のような状態になりやすいからです。
すると歩行中に、
前足部の一部に圧が集まる
逃げ場がなくなる
筋肉が過緊張する
循環が落ちる
この連鎖が成立しやすくなります。
【医療監修】屈み指があるとモートン病になりやすい理由―足指の付け根に負担が集中する構造

モートン病は「血流障害(循環の悪化)」とも関係する可能性がある
足の痛みを見ていると、循環は軽視できません。
足は心臓から最も遠い場所で、しかも日常的に
靴の圧迫
冷え
ふくらはぎの筋ポンプ低下
足指の可動性低下
こうした条件が重なりやすい構造です。
循環が落ちると、組織は
回復しにくい
過敏になりやすい
張りやすい
こうした状態になりやすく、
結果として痛みが長引くことがあります。
モートン病が「日によって痛みが違う」「歩くと出る」という形を取りやすいのも、こうした“環境依存”の要素が絡むからだと私は考えています。
▶︎【医療監修】モートン病と血流障害(循環の悪化)― しびれ・冷え・痛みが重なる理由

ここからが本題|モートン病は「前足部だけの問題」で終わらない
ここが、この記事の核です。
モートン病の痛みを
足の指の間の神経
靴の圧迫
だけで説明しようとすると、
「靴を変えたのに治らないのはなぜ?」
「注射しても戻るのはなぜ?」
この疑問が残ります。
そこで私は、モートン病をこう整理します。
前足部に痛みが出ていても、
骨盤(仙腸関節)の機能障害が関係している
ケースがある。
つまり、痛みが
局所の問題として出ている
ように見えて
全身の構造の結果として出ている
ことがある、ということです。
モートン病の痛みと仙腸関節|2つの構造パターン
ここからは、私が臨床で整理してきた2つのパターンを紹介します。
パターン①:外反母趾・内反小趾・寝指 → 左右重心 → 骨盤の歪み → 仙腸関節由来の痛み
足指変形(外反母趾・内反小趾・寝指)
→ 外側重心・内側重心(左右差)
→ O脚・X脚の助長
→ 脚長差(機能的な左右差)
→ 骨盤の歪み
→ 仙腸関節のズレ
→ 仙腸関節炎(機能障害)
→ 放散痛/関連痛
→ 痛み
このタイプは、
前足部が痛いのに、原因の起点が骨盤側にある
というケースです。
「足の前が痛いのに、骨盤?」と思うかもしれませんが、臨床では普通に起こります。
▶︎【医療監修】寝指(小指が横を向く)とモートン病― 外側重心が作る前足部ストレス

パターン②:屈み指・浮き指 → 踵重心 → 骨盤傾斜 → 仙腸関節由来の痛み
足指変形(屈み指・浮き指)
→ 踵重心(後方重心)
→ 骨盤前傾または後傾
→ 仙腸関節のズレ/引っかかり(固さ)
→ 仙腸関節炎(機能障害)
→ 放散痛/関連痛
→ 痛み
このタイプは、
足指が使えない
支えられない
体が後ろに逃げる
骨盤が崩れる
仙腸関節にストレスが集まる
という流れで固定化しやすい印象があります。
▶︎【医療監修】浮き指がモートン病を招く理由― “指で支えられない足”の末路

モートン病の臨床は「2パターン」に分かれる
私はモートン病の相談を受ける中で、経過が大きく2つに分かれると感じています。
① 足指を整えるだけで、早期に痛みが変化しやすい人
このタイプは、前足部への負担集中が主因になっていて、足指の接地と荷重の分散が戻ると違和感が変化しやすい傾向があります。
② 骨盤の歪み(仙腸関節の機能障害)まで整わないと、違和感が残る人
このタイプは、足指の問題が引き金ではあるものの、骨盤側の歪み・固さが残ることで痛みの出方が固定化しているケースです。
AKAで痛みの変化が早まることがあった理由
私は過去に、骨盤の歪みが強い人に対してAKA(関節機能へのアプローチ)を併用し、痛みの変化が早まるケースを多く経験しました。
ただし、ここで重要なのは、
仙腸関節を整えても、
足指の崩れ(重心の崩れ)が残っていれば、再び仙腸関節に負担が戻る
という現実です。
実際、骨盤の歪みが取れるまで生活を見直しきれない人ほど、再発しやすい傾向がありました。
私はモートン病をこう捉えています。
痛みは「局所」
原因は「構造」
再発の鍵は「日常環境」
自宅でできるセルフチェック|あなたのモートン病はどのタイプか?
ここでは、簡単にチェックできる視点を置きます。
前足部集中タイプ(屈み指・浮き指優位)のサイン
指が曲がって伸びにくい
足指が地面に触れていない
立つと前足部が先に疲れる
つま先立ちが無意識に多い
靴下の中で足が滑りやすい
骨盤由来タイプ(左右重心・脚長差優位)のサイン
左右どちらかだけ痛む
片足立ちが苦手
片方の靴底だけ極端に減る
立っているだけで腰が張る
骨盤が傾いている感じがある
このチェックは診断ではありませんが、
「自分の痛みがどの構造で固定されていそうか」を考えるヒント
になります。
モートン病で「やってはいけない対処」が起きやすい理由
モートン病は痛い場所が前足部なので、どうしても
前足部を守る
前足部を鍛える
前足部を押す
こうした方向に進みやすいです。
しかし、もし痛みの背景に
足指の機能低下
重心の崩れ
骨盤の歪み
があるなら、
痛い場所だけをいじっても、構造は変わりません。
結果として、
落ち着いたように見える
でも戻る
このループに入りやすくなります。
モートン病のセルフケアは「前足部」ではなく「支え方」を変える
私はモートン病に対して、最初に変えるべきはここだと思っています。
足指が地面に触れる環境を作る
滑らない足環境を作る
重心が偏らない立ち方に戻す
そして必要なら、
骨盤の歪みを整える
歩行を見直す
ここまでを「セット」で考えるべきです。
▶︎【医療監修】モートン病のセルフケアは「足指を広げて伸ばす」が先― 足指の機能を取り戻す再教育

まとめ|モートン病は「足指から始まる構造の痛み」として整理できる
- モートン病は前足部の痛みとして現れるが、原因は前足部だけで完結しないことがある。
- 筋肉の過緊張・前足部負担集中・循環の悪化が関係する可能性がある。
- 屈み指(鏡指)や浮き指が引き金になり、前足部に負担が集まりやすい。
- 仙腸関節の機能障害が関連痛として絡むケースがある。
- 臨床上は「足指だけで変化する人」と「骨盤まで整えないと残る人」に分かれる。
- 痛みは局所、原因は構造、再発の鍵は日常環境。
モートン病は「神経の病気」と言われやすい一方で、実際には足指の変形や重心の崩れ、生活環境によって痛みが固定化しているケースがあります。
もしあなたが、
靴を変えても落ち着かない
注射しても戻る
前足部だけ見ていても不安が消えない
そう感じているなら、痛い場所ではなく「支え方の構造」から見直す視点を持ってみてください。
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