質問:外反母趾の手術はどうしても避けたいです。代わりに役立つエクササイズはありますか?
—福岡市の和田さんより投稿
足指ドクターによる解説

YOSHIRO YUASA
湯浅慶朗
理学療法士(Physiotherapist)、足指博士、足指研究所所長、日本足趾筋機能療法学会理事長、ひろのば体操・YOSHIRO SOCKS・ハルメク靴開発者。元医療法人社団一般病院理事・副院長・診療部長。専門は運動生理学と解剖学。足と靴の専門家でもあり、姿勢咬合治療の第一人者でもある。様々な整形疾患の方(10万人以上)を足指治療だけで治してきた実績を持つ。東京大学 石井直方 名誉教授の弟子でもある。
結論|外反母趾は“運動”と“足環境の見直し”で改善できます
簡単に言えば、イエスです!
ただし、どれほど改善するかは、外反母趾の重症度と、変形してからの期間に大きく左右されます。

私はこれまで7万人以上の方に、足指から全身の不調を改善するケアを行ってきましたが、軽〜中等度の外反母趾であれば手術なしで改善できるケースが非常に多いです。

重度の方でも関節の亜脱臼さえ起こしていなければ形状を変えることはできます。痛み自体は重症度に関係なく改善できますよ。





では、どのように改善するのでしょうか?
大きなカギになるのが、以下の3つのポイントです。
【1】母趾ストレッチ(ひろのば体操)
ひろのば体操で母趾の内側にある硬くなった筋肉(内在筋)と腱を、やさしくストレッチすることで、親指の位置と動きを正しい軌道に戻します。
このストレッチは外反母趾の矯正の第一歩ですが、これだけでは不十分なこともあります。特に長期間変形が続いた人は、筋肉や腱のバランスが崩れており、追加の対策が必須になります。

軽度であれば1日5分、中等度であれば1日10分、重度であれば1日30分を目安に頑張ってみてください。
【2】足に合った“広い靴”と、足指の形を守る靴下を選ぶ

外反母趾は間違った靴選びによって引き起こされることが多く、足指が圧迫されると、ストレッチの効果も打ち消されてしまいます。


私が開発した「YOSHIRO MODEL」の靴は、外反母趾のリスクを避けるために、足指の自然な広がりを保てる構造になっています。

さらに、靴下の素材と構造も非常に重要です。
滑りやすい素材や、強く締めつける靴下は足指の自由な動きを妨げ、筋肉を使わなくなり、外反母趾が進行することがあります。

足指をやさしく広げ、正しい軌道に誘導するYOSHIRO SOCKSを併用することで、靴内でのブレを抑えながら、足指の機能を再教育することができます。


「靴を履く時間が少ないのに外反母趾になった」と言う人も少なくありません。靴下が外反母趾の原因というのは盲点になっています。
【3】正しい使い方を学ぶ「足指再教育エクササイズ」
単に「動かす」だけではなく、「どう動かすか」が非常に重要です。
以下は、外反母趾の改善に特に有効な3つのエクササイズです。
● 小股歩き
→ 足趾の筋肉を鍛える基礎運動


「地面を足指全体でしっかりと蹴る」というのが大切。ほとんどの人はこれができていないので、足の筋肉が落ちています。
● 砂浜や芝生を歩く
→ 足の裏の筋肉(足底筋)を活性化

週1回でもいいので、30分ほど芝生の上を裸足で歩いてみて下さい。足裏の感覚が変わっていることがわかると思います。
● 足指ジャンケン(グー・チョキ・パー)
→ 足指の独立性と協調性を高める



手術を避けたいなら、今すぐできる行動とは?
手術を回避したい方に私が必ず伝えることは、「ストレッチ」「靴」「靴下」この3つをセットで見直すこと。
たった1つの方法では足りません。
足の形を変えるには、「足にかかる力の総合設計」が必要です。
それを理解し、日常の中で実践できれば、外反母趾はあなた自身の手でコントロールできるのです。
まとめ|外反母趾は“正しく使えば”改善できる
- 外反母趾は手術しなくても改善できる場合が多い
- 母趾ストレッチ(ひろのば体操)は最も基本的で効果的な第一歩
- 足指をしめつけない靴・靴下の選び方が再発防止のカギ
- 足指の筋肉を鍛えることで、自然なアーチと姿勢も改善される
- 3点セット(運動・靴・靴下)を同時に見直せば、根本改善も可能