【医療監修】後縦靱帯骨化症はなぜ起こる?|姿勢・足指・脊柱アライメントから読み解く新メカニズム

目次

はじめに

こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。

後縦靱帯骨化症(OPLL)は、脊椎後方の後縦靱帯が硬くなり、骨化が進むことで脊髄や神経を圧迫し、首・肩・背中・腕・脚のしびれや歩きにくさなどが生じることがある疾患です。国内では中高年を中心に報告され、加齢変化や遺伝的背景が関与すると考えられています。

近年の研究では、姿勢や脊柱アライメント、身体にかかる力学的ストレスが、脊椎周囲の環境に影響する可能性が議論されています。とくに長時間の前屈姿勢や重心バランスの偏りなど、日常生活における身体の使い方は、脊柱への負担を理解する際の一つの視点になります。

そのため、医療的評価と併せて、立ち方・歩き方・足元環境など“身体全体のバランス”を見直すことが、日常生活をより快適に過ごすための参考になる場合があります。本記事では、OPLLを構造・バイオメカニクスの観点から分かりやすく解説します。

後縦靱帯骨化症(OPLL)とは?

後縦靱帯骨化症(OPLL)は、首の後ろ側にある後縦靱帯が徐々に硬くなり、骨化が進む疾患です。脊髄や神経を圧迫することで、首・肩・腕・手・足のしびれ、歩きにくさなどが現れることがあります。特に日本やアジアで多く報告されており、厚生労働省の指定難病にも分類されています。

一般的には「遺伝」「加齢」「代謝異常」などが関係すると考えられていますが、近年の研究では、それだけでは説明できないケースも指摘されています。画像所見では強い骨化があるのに症状が軽い人もいれば、骨化がわずかでも生活に支障が出る人もいる—この “ギャップ” こそ、OPLLの難しさです。

ここで意外に感じるかもしれませんが、症状の強さには、姿勢や重心のかけ方、歩行パターンなど、脊椎以外の要素が影響する可能性が議論されています。例えば、背骨の自然なカーブが失われた「フラットバック」や、足指がうまく使えず重心が後ろに偏る歩行パターンでは、頚椎〜胸椎にかかる張力が変化し、局所のストレス分布が変わることがあります。

もちろん、OPLLの原因を姿勢だけで説明することはできません。しかし、脊椎だけを見ても理解できない症状が存在するという視点は、診療報告や力学研究からも支持されています。骨化そのものにアプローチできなくても、姿勢や身体バランスの見直しが、日常生活の快適さに寄与する可能性がある—その点が注目されている理由です。

YOSHIRO

後縦靱帯骨化症は指定難病で、現代医療では治らない病気とされています。ただし、レントゲンの結果が全てではありません。

ただし、椎間板ヘルニア脊柱管狭窄症でもよく指摘されるように、画像上の圧迫と症状の強さは必ずしも一致しないことがあります。後縦靱帯骨化症においても、骨化が進んでいても症状が軽い人がいたり、逆に画像ではわずかな所見でも強い痛みやしびれを訴える人がいるという報告があります。

この“ズレ”には、姿勢・筋緊張・血流・感作(sensitization)・歩行パターンなど、脊椎以外の要因が関与する可能性が議論されています。つまり、症状は神経の圧迫だけで説明できないケースが存在する、という視点です。

あわせて読んでみてね

後縦靱帯骨化症の意外な原因とは?

一般的には、後縦靱帯骨化症の発症メカニズムはまだ完全には明らかになっていないとされています。これまでの医学文献では、次のような要素が関連要因として報告されています。

遺伝的要因:家族にOPLL患者がいる場合、発症リスクが高まることが研究で示されています。

加齢:加齢に伴い、靱帯が骨化しやすくなります。

糖尿病や肥満:これらの代謝性疾患が、骨化のリスクを高める要因とされています。

性別:OPLLは、男性に多く発生する傾向があり、女性の約2倍のリスクがあるとされています。

こうした報告はありますが、「なぜ靱帯が硬くなり、骨に近い構造へ変化していくのか」という点については、生理学・力学的な視点から考えることで、別の理解が見えてくる場合があります。

YOSHIRO

姿勢バランスや脊柱への荷重配分の変化が、靱帯に継続的なストレスを与えるという考え方は、近年注目されている視点のひとつです。

後縦靱帯骨化症(OPLL)の発症メカニズムは、現在の医学ではまだ完全には解明されていません。加齢・遺伝的背景などの要素が関与する可能性が報告されています。

一方で、一部の研究や臨床現場では、長時間続く姿勢の乱れ(猫背・反り腰など)が脊柱の力学環境に影響し、後縦靱帯に機械的負荷(メカニカルストレス)が加わりやすくなる点が議論されています。こうした力学的要因が、骨化と関連する可能性について検討が進められている段階です。

そのため、日常生活の中で背骨にかかる負担や姿勢バランスを見直すことは、脊椎を理解するうえでのひとつの視点として注目されています。

上の画像をご覧ください。左は一般的な正常例、右は後縦靱帯骨化症(OPLL)が報告されている例のMRIです。矢印の部分では、後縦靱帯が通常より厚く写り、脊柱管のスペースが狭く見えることがあります。

では、両者にはどんな違いがあるのでしょうか?

大きなヒントのひとつが「姿勢(脊柱アライメント)」です。

左の正常例では、背骨がゆるやかなS字カーブを描き、全体で荷重を分散しやすい状態です。一方、右の画像では、背骨がまっすぐに近づき、いわゆる平背(フラットバック)や猫背に類似した配列が確認されるケースがあります。

このような脊柱アライメントの違いは、背骨まわりにかかる力学的ストレスや、靱帯の負担に影響する可能性が議論されています。ただし、姿勢の違い=OPLLの原因と断定できるわけではなく、加齢・体質・代謝・遺伝など、複数の要因が関与すると考えられています。

そのため、画像所見だけで判断するのではなく、日常生活の姿勢・歩行・足元環境なども含めて総合的に捉える視点が大切です。

YOSHIRO

MRI画像を遠目で見るようになると、正常な人との違いがわかるようになります。

機械的負荷と後縦靱帯骨化症の関係

後縦靱帯骨化症(OPLL)は、加齢や遺伝だけでなく、「力学的ストレス(メカニカルストレス)」が背景にある可能性が指摘されています。

1995年、福山医師らは、ウサギを対象とした基礎研究で、脊椎に人工的な張力・圧縮力を継続的に加えた場合、約6か月後に後縦靱帯周囲で骨化性変化が生じ始めるケースがあることを報告しました(Fukuyama et al., 1995)。

スクロールできます
後縦靱帯には機械的負荷はかからない
後縦靱帯には機械的負荷がかかる

この研究は、OPLLの発生が「加齢変化だけで説明できないこと」、そして靱帯に繰り返しかかる力(姿勢・荷重バランス・アライメント)が、生体反応として骨化に関与する可能性を示唆しています。

特に、長時間の猫背・平背(フラットバック)・反り腰など、脊柱アライメントが崩れた状態が続くと、後縦靱帯に持続的な張力がかかりやすくなると考えられています。

ただし、これは動物実験に基づく知見であり、人にそのまま当てはまるとは限りません。OPLLは多因子疾患であり、遺伝・加齢・代謝・生活環境など複数の要素が関連する可能性があります。

そのため、OPLLを理解する際には、「骨の問題」だけでなく、姿勢・歩行・足元環境まで含めた全身的な視点が重要とされています。

最新の治療研究と展望

姿勢を本来のニュートラルポジションに近づけることで、後縦靱帯骨化症(OPLL)に伴う負担が軽減され、症状の進行を抑制できる可能性が指摘されています。一方で、現在の医学的知見では、いったん骨化した靱帯そのものを元の組織へ完全に戻す治療法は確立していません。

しかし、ここで希望を失う必要はありません。

私がこれまでに担当した後縦靱帯骨化症・黄色靭帯骨化症の方の中には、腰や背中の痛み、下肢のしびれが強く、痛み止めを服用しながら車椅子で生活されていたケースもありました。医療機関から「歩行が再開できる可能性は低い」と説明されていましたが、姿勢環境を丁寧に整えていった結果、約3ヶ月で杖歩行が可能となり、6ヶ月後には背部痛やしびれの訴えが大幅に減少した例もあります。

もちろん、すべての方に同じ変化が起こるわけではありません。しかし、こうした臨床経験が積み重なったことで、「骨化=終わり」ではなく、生活の質(QOL)がまだ変えられる余地があるのではないか——そう考えるようになりました。

実は1990年代から、靱帯骨化症の研究分野では「靱帯に加わる持続的な張力(メカニカルストレス)」が骨化過程に関与する可能性が報告されてきました。姿勢が崩れることで脊椎に不均一な力がかかり、その力が長期間続くと、靱帯細胞が変化しやすくなるという研究です。

つまり、姿勢そのものをニュートラルに近づけ、靱帯へかかる過剰な張力を減らすことができれば、将来的に症状の進行を緩やかにする可能性がある——この考え方は、従来の“変えられない病気”というイメージとは異なる視点を与えてくれます。

私自身、最初に「理論」を知っていたわけではありません。現場で患者さんの姿勢を整えていくうちに「痛み方や歩き方が変わる人がいる」という事実を目の前で見続け、その後に論文を探し、MRIをじっくり読み込むようになりました。

背骨のS字カーブが崩れると、特定部位の後縦靱帯に引張や圧縮の偏りが生まれ、その局所的なメカニカルストレスが、症状の現れ方や進行に影響しているのではないか——そのような仮説に至ったのです。

臨床から仮説が生まれ、研究がそれを補強し、また新しい希望につながっていく。

医学はまだ完成していません。だからこそ、未来は変えられます。

2006年、塚本らはラット尾椎靱帯に10Nの周期的な引張ストレスを与える実験を行い、靱帯内に軟骨形成や骨化が生じることを報告しました。観察された組織変化は、ヒト脊椎靱帯の骨化所見と類似しており、繰り返されるメカニカルストレス(張力)が骨化の一因となり得る可能性が示唆されています。

Repetitive tensile stress to rat caudal vertebrae inducing cartilage formation in the spinal ligaments: a possible role of mechanical stress in the development of ossification of the spinal ligaments. Spine. 2006.

2006年、古川らは後縦靱帯骨化症(OPLL)に関する基礎研究を行い、OPLL患者由来の靱帯細胞が**機械的ストレス(圧縮・伸張刺激)**を受けると、骨形成に関与する遺伝子発現が上昇することを報告しました。この結果から、持続的なメカニカルストレスが骨化の進行に関与する可能性が示唆されています。

Current topics in pharmacological research on bone metabolism: molecular basis of ectopic bone formation induced by mechanical stress. 2006.

2021年、Yin Zhaoらはラット40匹を用いた実験で、胸腰部黄色靱帯に4〜12週間の周期的引張ストレスを与えました。すると、黄色靱帯に骨化がみられ、BMP-2・RUNX2など骨形成関連分子の発現が時間依存的に増加したことを報告しています。この結果は、持続的なメカニカルストレスが黄色靱帯骨化(OLF)に関与する可能性を示唆しています。

Cyclic Tensile Stress to Rat Thoracolumbar Ligamentum Flavum Inducing the Ossification of Ligamentum Flavum: An In Vivo Experimental Study. 2021.

1995年から2021年までの複数の基礎・細胞・動物研究では、後縦靱帯が長期間の機械的ストレス(圧縮・牽引・姿勢負荷)に反応し、骨化を促す分子変化を示す可能性が報告されています。

まだ議論の途中ではありますが、OPLLの背景には力学的要因が関与しうるという視点が、研究分野で少しずつ共有されつつあります。

YOSHIRO

私は理論を先に学んで実践に当てはめるのではなく、臨床現場での経験から仮説を立て、その後に理論として裏づける“ボトムアップ型”のアプローチを取ってきました。

後縦靱帯骨化症の力学的なメカニズム①

スクロールできます
正しい姿勢
平背(または猫背)


平背や猫背になると、脊柱の自然なS字カーブが失われ、脊椎にかかる負荷が均等に分散されにくくなります。その結果、後縦靱帯に持続的なメカニカルストレス(圧縮力や張力)が加わりやすくなり、骨化の進行に関与する可能性が指摘されています。

S字カーブは、衝撃吸収と荷重分散という重要な役割を担っています。そのため、このカーブが失われると、靱帯や周囲組織への負担が増え、後縦靱帯骨化症と関連する姿勢的特徴として報告されることがあります。

MRIでは後縦靱帯の肥厚部分に目が向きがちですが、実際には「脊柱全体の配列(姿勢)」が背景に存在しているケースもあり、靱帯変化だけでなく、構造全体を捉える視点が重要です。

猫背の場合、頚椎に圧縮ストレスが生じやすく、その反対側である胸椎〜腰椎には張力がかかりやすくなります。

反り腰では、腰椎に圧縮ストレスが集中しやすく、頚椎〜胸椎側には相対的な張力が発生することがあります。

ただし、姿勢のタイプや骨格特性は個人差が大きく、「猫背=必ずここに負荷がかかる」「反り腰=この部位が悪くなる」と単純に断定することはできません。

しかし、正しい姿勢にみられる背骨のS字カーブが崩れると、脊柱の荷重分散機能が低下し、後縦靱帯を含む背骨周囲の組織にメカニカルストレス(圧縮力・張力)が加わりやすくなる可能性は、複数の研究で指摘されています。

そのため、姿勢や生活動作を丁寧に見直すことは、脊柱への負担を理解するうえで有益な視点になります。

スクロールできます
正常な人の頚椎カーブ
後縦靱帯骨化症の人の頚椎カーブ
後縦靱帯骨化症の人の頚椎カーブ
後縦靱帯骨化症の人の頚椎カーブ
YOSHIRO

姿勢だけでは変わらない——それを教えてくれたのが“足指”との出会いでした。

このときに整理した考え方が、私が提唱している「Hand-Standing理論」です。

人が逆立ちをするとき、バランスを保つために最初に働くのは体幹ではありません。
指を大きく広げ、床を“つかむ”ように使うことで、無意識に重心が制御されます。

足も同じです。
足指が地面を適切に捉えられなくなると、重心は不安定になり、
骨盤や背骨が代償的に姿勢を調整し始めます。

つまり、姿勢は「背骨から作られる」のではなく、
足指から起動する——この視点が Hand-Standing理論の核心です。

後縦靱帯骨化症の力学的なメカニズム②

もし平背や猫背によるS字カーブの消失が後縦靱帯へのメカニカルストレスと関連するのであれば、そもそも「なぜS字カーブが失われるのか」を考える必要があります。

私が臨床で一貫して観察してきた流れは、次のような力学的連鎖です。

①靴の種類・履き方、不適切な構造や素材の靴下
→②足指変形(かがみ指・浮き指など)
→③後方重心
→④骨盤後傾
→⑤猫背/反り腰
→⑥生理的S字カーブの消失
→⑦後縦靱帯への持続的ストレス

このような“足指から始まる姿勢の連鎖”が、後縦靱帯の環境に影響する可能性があります。

スクロールできます
足指がまっすぐだと姿勢も良い
骨盤が後傾して猫背に
骨盤が前傾して反り腰に

屈み(かがみ)指浮き指になると、体重が前足部へ乗りにくくなり、かかと寄り(踵重心)で立つ傾向が強まります。踵重心では身体が後方に倒れそうになるため、無意識に体幹を前に倒したり、後ろに反らせたりしてバランスを取ろうとします。これは「姿勢制御」と呼ばれる働きです。

この調整が繰り返されることで、背骨のS字カーブが失われ、平背や猫背のような姿勢パターンにつながる場合があります。脊柱のアライメントが乱れると、仙骨や腰椎にかかる力の分布が偏りやすくなり、腰部へのストレス増加と関連することが報告されています。

POINT

「浮き指」や「屈み指」が単独で見られる場合、姿勢変化は初期段階であることが多い印象です。そこに「外反母趾」「内反小趾」「寝指」などの指機能の乱れが重なると、重心がより偏り、姿勢に影響するケースがあります。

①浮き指・屈み指+親指の機能低下(外反母趾) → 骨盤が後傾しやすい傾向
②浮き指・屈み指+小指の機能低下(内反小趾) → 骨盤が前傾しやすい傾向
③浮き指・屈み指+薬指の機能低下(寝指) → 骨盤が前傾方向へ影響することがある

スクロールできます
正常な足指の機能であれば足の向きはまっすぐになる
親指の機能不全があると足の向きは内側になる
小指や薬指の機能不全があると足の向きは外側になる
YOSHIRO

運動連鎖って一定の方程式はあるけど、一概に外反母趾だからこうなるってわけではないんです。ただ指標としての一例だよってことです。

姿勢の分類

スクロールできます

脊柱アライメントは、生理的なS字カーブの特徴から大きく4つに分類されることが一般的です。

  1. ロードシス姿勢(反り腰)
  2. カイホロードシス姿勢(胸椎後弯+腰椎前弯)
  3. フラットバック姿勢(平背)
  4. スウェイバック姿勢(骨盤前方偏位+猫背)

これらの分類は、バイオメカニクスや理学療法の分野で広く紹介されており、国際的にも姿勢評価の基本的なフレームとして用いられています。ただし、実際の姿勢は個人差が大きく、複数の特徴が混在する場合もあります。

セルフチェック

姿勢のセルフチェック

まず、自分の真横からの姿勢をスマホなどで撮影してみましょう。スマホの中心点がカラダの中心にくるように撮影します。水平器の位置がおへその位置にくるようにすると良いでしょう。

スクロールできます
①と⑤を結んだ線に全ての点がある理想姿勢
③が線よりも後ろにある猫背
③が線よりも前にある反り腰

その次に、耳垂(耳たぶ)と足の外果(外くるぶし)を線で結びます。その直線の中に、①膝の中心、②大転子(股関節)、③肩峰(肩の中心)が通っていれば理想姿勢です。線をひきのが面倒であれば、定規などを耳たぶと外くるぶしの位置に合わせます。

POINT

③が、①と⑤を結んだ線よりも後ろにあれば猫背(骨盤後傾)
③が、①と⑤を結んだ線よりも前にあれば反り腰(骨盤前傾)

この姿勢だと後縦靱帯骨化症のリスクが高くなるので注意が必要です。

足趾機能のセルフチェック

足趾機能不全は、足指が本来の役割どおりに動かなくなる状態を指します。足指は、立位バランス・推進力・姿勢制御に関わる重要な構造であり、機能低下があると歩行や姿勢に影響することがあります。

まずは、次の3つをチェックしてみてください。

スクロールできます
全ての指を曲げることができるか
全ての指をひらくことができるか
意識的に親指だけを上げることができるか
POINT

・親指がうまく動かない →「親指機能低下」

・小指がうまく動かない →「小指機能低下」

・第2〜4趾が動かない →「2〜4趾機能低下」

YOSHIRO

私の臨床経験では、脊椎のトラブルを抱える方の中に、足指が思うように動かしづらいと感じる方が一定数みられます。足趾機能と全身バランスには関連が議論されており、足元の状態を確認することは、姿勢や歩行を考えるうえで有益な視点になり得ます。

足指の変形のセルフチェック

足指は、立位や歩行で体重を支え、足のアーチを保つうえで欠かせない役割を担っています。しかし、外反母趾・内反小趾・浮き指・屈み指・寝指などの変形が生じると、足部の筋活動が乱れ、アーチが崩れ、重心やバランスが不安定になります。その影響は足だけにとどまらず、膝・腰・背中へと波及し、姿勢の乱れを招くことがあります(Hand-Standing理論)。まずはご自身の足を観察し、指の向き・接地・動きに異常がないか確認してみましょう。

スクロールできます
かがみ指

足指が下向きに曲がり伸ばすことができない

外反母趾

足の親指が外側にくの字に曲がっている

内反小趾

足の小指が内側(親指側に向かって)に曲がっている

親指の浮き指

親指が他の指の爪と比べて上方向に向いている

小指の浮き指

小指が地面から浮いている

寝指

指の爪が横を向いている

セルフチェックシートで簡単チェック

外反母趾・内反小趾かどうかを簡単にチェックするシートもあります。A4サイズの用紙に印刷して、立った状態で足を乗せてみましょう。

私の経験——歩く日常を取り戻すまで

私は、後縦靱帯骨化症と診断された頃から、日常生活に大きな不安を抱えるようになりました。

最初に違和感を覚えたのは、首から背中にかけての重だるい痛みと、手足のしびれでした。

畑仕事や少し長く歩くだけでもつらく、今まで当たり前にできていた動作が、少しずつ難しくなっていきました。

病院では「骨化が進んでいる」「神経の圧迫があるため、今後さらに症状が出る可能性がある」と説明を受け、正直、不安でいっぱいでした。

リハビリや薬を続けましたが、はっきりとした手応えは感じられず、

「このままどうなってしまうんだろう」という気持ちが強くなっていきました。

やがて手術を勧められ、「少しでも歩けるようになれば」と思い手術を受けました。

手術直後は一時的に楽になった感覚もありましたが、時間が経つにつれて歩行が再び難しくなり、両足に装具をつける生活になりました。

首や背中の痛み、手足のしびれも強くなり、外に出ることはほとんどなくなりました。

車椅子での生活になり、1日の大半をベッドの上で過ごすようになった頃は、「このまま寝たきりになるのではないか」と感じていました。

足指を見られたのは、正直意外でした

そんなとき、知人の話をきっかけに、湯浅慶朗先生のことを知りました。

「足を診る先生」と聞き、最初は半信半疑でしたが、何か変わるきっかけになればと思い、思い切って受診しました。

診察でまず言われたのが、「浮き指」と「内反小趾が目立ちますね」という一言でした。

正直、それまで自分の足指の状態を気にしたことは一度もありませんでした。

でも、足指の状態が姿勢や体のバランスに影響し、それが首や背中への負担につながっている可能性があると説明を受け、

「そういう見方もあるのか」と、少し気持ちが前向きになったのを覚えています。

毎日の中で、少しずつ変わっていったこと

湯浅先生から教わったのが、「ひろのば体操」と、5本指の靴下である YOSHIRO SOCKS でした。

体操は難しいものではなく、足指をゆっくり動かすシンプルな内容でした。

最初は、正直「これで何が変わるんだろう」と思っていました。

でも、朝起きたとき、昼間テレビを見ながら、夜寝る前と、できる範囲で毎日続けました。

YOSHIRO SOCKSも、日中はなるべく履くようにしました。

足指が自然に広がる感覚があり、「今までこんなふうに足を使っていなかったんだな」と感じたのを覚えています。

しばらく続けているうちに、

「あれ、今日は首の重さが少し違うかもしれない」

「しびれを意識する時間が減っている気がする」

そんな日が少しずつ増えていきました。

ベッドから、一人で起き上がれた日

ある日、ベッドの上で体を起こそうとしたとき、介助なしで、スッと起き上がれたことがありました。

それまでは誰かの手を借りるのが当たり前だったので、「今、自分で起きた?」と、しばらく状況が飲み込めなかったほどです。

そこから少しずつ、

杖を使って立つ

数歩歩く

家の中を移動する

ということが増えていきました。

今では、日常の身の回りのことを一人でこなせる場面が増え、以前よりも体を動かすことへの不安が減ってきたように感じています。

足元を見直すという選択肢

後縦靱帯骨化症という診断が変わったわけではありません。

ですが、足元の使い方や姿勢を意識することで、体の感じ方や日常生活の過ごしやすさが変わってきた、それが今の率直な実感です。

あのとき、足指を見てもらうという選択をしていなければ、今の生活はなかったかもしれません。

誰でも今日からできるセルフケア

まずは、足指を「動かせる状態」に戻すこと。

ここ、めちゃくちゃ大事です。

やるのと、やらないのとで、

この先の身体の使い方、本当に差が出ます。

そのために、

私が必ず最初に勧めてきたのが

足の指を広げて伸ばす「ひろのば体操」です。

ひろのば体操は、

足指を広げて、伸ばして、

足指が本来もっている機能を

思い出してもらうための、

とてもシンプルな体操です。

分かってるけど、続かない。

ひろのば体操って、

痩せたい人も、

正座したい人にも、

ちゃんと歩きたい人にも、

姿勢を整えたい人にも、

できれば全員にやってほしい体操です。

でも、

「分かってるけど続かない」

これが現実。

だったら、

体操でやっていることを、

日常の中でサポートしてくれる靴下を作ろう。

患者さんの

O脚や、膝・股関節・腰・背中の痛みを

どうにかしたくて。

その一心で、

改良に改良を重ねながら、

かなり本気で靴下を作り続けてきました。

それが、

YOSHIRO SOCKSを作った理由です。

正しい靴選び・履き方

ひろのば体操やYOSHIRO SOCKSで

足指を「動かせる状態」に戻しても、

そのあと履く靴や、履き方次第で、

足指はすぐに使えなくなってしまいます。

だから私は、

ひろのば体操やYOSHIRO SOCKSとあわせて

「靴の選び方」と「靴の履き方」も

必ずお伝えしています。

YOSHIRO SOCKS・ひろのば体操
の使用・実践の記録

外反母趾

スクロールできます

内反小趾

スクロールできます

屈み指

スクロールできます

浮き指

スクロールできます

寝指

スクロールできます

姿勢

スクロールできます
ヘルニアがみられる例
変形性腰椎症がみられる例
変形性膝関節症がみられる例
脊柱管狭窄症がみられる例
変形性腰椎症がみられる例
変形性膝関節症がみられる例
変形性腰椎症がみられる例
猫背がみられる例
猫背がみられる例
ストレートネックがみられる例
側弯症がみられる例
O脚がみられる例

※写真は足指および姿勢の状態を観察した一例です。状態には個人差があります。

目次