【医療監修】あなたの「腰椎すべり症」、原因は“腰”ではないかも?——姿勢と足指から見直す新常識

目次

はじめに|“痛む場所”ではなく、“負担を生みやすい構造”に目を向けてみませんか?

「長く歩くと足がしびれる」「腰に力が入りづらい」「病院では“すべり症”と説明されたけれど、どう向き合えばよいのか分からない」——。

そんなお悩みを抱えていませんか。

腰椎すべり症は、背骨の一部が前後にずれた状態を指し、周囲の組織に負担がかかりやすくなるとされています。ただ、腰だけをケアしても変化が感じにくい方がいるのも事実です。

私は理学療法士として10万人以上の足と姿勢を観察してきました。その経験から、腰椎すべり症の背景には、足指の機能低下・骨盤の傾き・重心のずれなど、姿勢全体の構造が複合的に関与するケースがあると感じてきました。

また近年の研究でも、骨盤の位置や歩行時の重心移動が腰部への負担に影響しうる可能性が示唆されています。

本記事では、医学的な概要から、日常生活の中で意識できる環境づくりの工夫まで、「構造を整えて負担を減らす」という視点を分かりやすく解説していきます。

「手術以外に取り組める考え方は?」「原因の仕組みをもっと深く理解したい」

そう感じている方にとって、新しい発見のきっかけになれば幸いです。

概要|腰椎すべり症とは?構造的視点で捉える“ズレ”の背景

腰椎すべり症(ようついすべりしょう)は、背骨の一部である「腰椎」が本来の位置から前方または後方にずれた状態を指します。

そのズレにより、周囲の組織に負担がかかり、腰の不快感や下肢のしびれ、歩行時の違和感として自覚されることがあります。

一般的には加齢変化や関節の不安定性が背景とされますが、近年の研究や臨床観察では、姿勢や全身のアライメント(配列)も関連しうるという報告が増えています。

腰椎すべり症の主なタイプ

大きく分けると次の2つのタイプが知られています。

1|変性すべり症

加齢に伴う椎間板や椎間関節の変化により、腰椎がやや不安定になり、ズレが生じるタイプ。

中高年に見られることが多いとされています。

2|分離すべり症

腰椎の後方部分(椎弓)に繰り返し負荷がかかることで“分離”が生じ、すべりが起きるタイプ。

スポーツを行う若年層にもみられることがあります。

どちらも構造的な“ズレ”に着目した分類で、痛みの感じ方や日常での負荷には個人差があります。

骨盤の傾きと“すべり”の関係性

腰椎すべり症は腰だけの問題と捉えられがちですが、近年は骨盤の角度や体幹の前後バランスが、すべり症の進行と関連する可能性が報告されています。

たとえば、以下のような知見があります。

参考文献:Global sagittal spinal alignment in patients with degenerative low-grade lumbar spondylolisthesis.J Orthop Surg (Hong Kong). 2019 Sep-Dec;27(3):2309499019885190.

報告されている“傾向”

  • 骨盤が過度に前傾または後傾していると、腰椎にかかる負担が増えやすい傾向
  • 骨盤傾斜角(PI)が大きい人は、変性すべり症に関連する可能性
  • 姿勢の崩れ(SVA値の変化)によって、腰椎に不均等な力が加わりやすい

これらの研究は、腰椎のズレが単純に“加齢だけの結果”ではなく、全身のアライメントとの関連も考えられることを示唆しています。

姿勢と腰椎すべり症の関連

臨床現場でも、姿勢の特徴と腰部の負担には次のようなパターンが見られることがあります。

  • 猫背や平背など、生理的カーブの変化
  • 骨盤の過度な前傾・後傾
  • 反り腰による、腰椎の伸展ストレス
  • 左右差(脚長差・わずかな側屈姿勢など)

これらは単一の原因ではなく、立ち方・座り方・歩き方・靴環境などの日常習慣の積み重ねによって生じることも少なくありません。

そのため、腰だけに注目しても十分に説明がつかないケースがあるのです。

見落とされがちな視点|姿勢の“土台”は足指にある

とくに軽視されやすいのが、足指の機能低下です。

足指が浮いていたり、屈んでしまったり、接地が不十分な状態が続くと、

  • 重心が踵に偏りやすくなる
  • 骨盤が後傾しやすい環境が生まれる
  • 背骨のS字が崩れ、腰部に負荷がかかりやすくなる

という“姿勢の連鎖”が起こりやすくなります。

足元のわずかな変化が、足 → 膝 → 骨盤 → 腰椎へと積み重なる構造があるため、

「姿勢を整える第一歩として足指から見直す」という考え方は、姿勢研究の分野でも重要な視点とされています。

足指そのものが腰椎すべり症の原因と断定できるわけではありませんが、

姿勢の土台を整えることで、腰部の負担を分散する一助となる可能性はあります。

症状|“腰だけの痛み”では説明しきれない、腰椎すべり症で現れやすい体のサイン

腰椎すべり症では、腰の不快感だけでなく、姿勢バランスの変化や神経周囲の環境の影響によって、さまざまなサインが現れることがあります。

以下は一般的に知られている症状と、その背後にある“構造的な要因”をわかりやすく整理したものです。

1|腰の痛み(動作や姿勢によって変化しやすい)

腰に「重だるさ」や「鋭い痛み」を感じることがあります。

とくに次のような動作や姿勢では負担がかかりやすい傾向があります。

  • 反る
  • ひねる
  • 長時間の立位・座位

これらは、腰椎の可動域や椎間関節・靱帯への負荷が関連する可能性があるとされています。

2|下肢のしびれ・神経痛様の違和感

腰から臀部、太もも、ふくらはぎ、足先にかけて、

  • 「ビリビリ」
  • 「ジンジン」
  • 「重だるい」

といった感覚を覚えることがあります。

これは、腰椎のズレが神経の通り道付近の環境に影響し、感覚が変化することがあるといった考え方が一般的です。

ただし、

  • 画像上ズレがあっても症状がない人
  • わずかなズレで強い違和感が出る人

など個人差が大きく、「圧迫=痛み」とは限らない点も重要です。

3|歩行のしにくさ・間欠的な足の重さ

「しばらく歩くと足がしびれる」「立ち続けると足が重くなる」

そんな“歩行のしにくさ”を訴える方もいます。

これは、歩行姿勢や重心の変化により、

  • 神経
  • 血行
  • 周囲の組織の動き

に影響が出る可能性があると説明されることがあります。

とくに脊柱管狭窄が合併している場合は、間欠的に歩行がしにくくなることがあるといわれています。

4|姿勢の不安定さ・動作のしにくさ

「後ろに反りにくい」「前屈がつらい」「体がグラつく」など、

姿勢保持のしづらさを感じる方もいます。

背景としては、

  • 腰椎の配列変化
  • 骨盤の傾き
  • 脊柱全体のバランス変化

など、構造的な要因が重なって動きにくさが出る可能性があります。

補足|症状は人によって大きく異なります

腰椎すべり症は、画像検査と自覚症状が必ずしも一致しない特徴があります。

  • ズレがあっても痛くない人
  • ズレが小さくても強い違和感が出る人

など、幅広いパターンがあります。

そのため、「痛みの度合い=重症度」と単純に判断できるわけではありません。

医療機関の受診について

病院で「原因がはっきりしない」「説明が曖昧だった」という声を聞くことがありますが、

腰椎すべり症は姿勢・足元・生活習慣など多因子的な面もあるため、日常の変化が説明されにくいケースもあります。

ただし、次のようなサインがある場合は、念のため専門医に相談すると安心材料になることがあります

  • 痛みやしびれが数日以上つづく
  • 歩くとふらつく
  • つまずきやすい
  • 排尿・排便の違和感(馬尾神経の問題が疑われることがある)
  • 日常生活が大きく制限されている

これは決して手術をすすめる意図ではなく、**万が一のリスクを早めに除外しておくための“安全確認”**という位置づけです。

そのうえで、この記事では「構造的な視点を取り入れた日常ケア」について分かりやすく整理していきます。。

原因・発症のメカニズム

——「腰椎がズレる」背景にある構造的な視点とは?

腰椎すべり症は、背骨の一部(腰椎)が前方にずれ、腰まわりに負担を感じやすくなる状態を指します。

一般的には、

  • 加齢による変性
  • 椎間板や関節の劣化
  • 外傷
  • 先天的な骨構造の特徴
  • 姿勢不良
  • 体重増加

など、複数の要因が組み合わさって生じるとされています。

ここまでは従来よく知られている部分ですが、

私が臨床で10万人以上の身体を観察してきた中で感じたのは、

“姿勢の崩れ → 骨盤の傾き → 腰椎への負荷”

という力学的な連鎖が、結果として“ズレやすい状態”をつくるケースが少なくないことです。

ここから先は、医学的な診断を行うものではなく、

姿勢の構造的な視点としてお読みください。

メカニズム①|骨盤の傾きと腰椎の負担の関係

多くの方に共通して見られるのが、骨盤の「後傾」です。

本来は少し前に傾いている骨盤が後ろに倒れると、背骨のS字カーブが弱まり、腰椎に真下からの圧力がかかりやすい姿勢になります。

▶ 臨床観察の比較

状態仙骨の傾斜角度(SS角)備考
正常約22°〜28°S字カーブが保たれる
骨盤後傾傾向約11°〜13°平背(フラットバック)になりやすい
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正常な人のMRI
腰椎すべり症の人のMRI①
腰椎すべり症の人のMRI②
腰椎すべり症の人のMRI③
腰椎すべり症の人のMRI④
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この姿勢変化は、以下の研究でも報告されています:

Global sagittal spinal alignment in patients with degenerative low-grade lumbar spondylolisthesis.J Orthop Surg (Hong Kong). 2019 Sep-Dec;27(3):2309499019885190.

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正しい姿勢
平背(または猫背)

骨盤が後傾するだけで、腰椎が前方に滑りやすい姿勢になる可能性があるという力学的な視点です。

メカニズム②|足指の変形 → 重心のズレ → 骨盤後傾の連鎖

では、なぜ骨盤が後傾してしまうのか?

臨床現場で数多く観察してきたのが、

かがみ指(指が曲がる)・浮き指(指が接地しない)

といった足指の形や機能の変化です。

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足指がまっすぐだと姿勢も良い
骨盤が後傾して猫背に
骨盤が後傾して反り腰に

これらがあると、

  1. 靴・靴下・床環境により足指がうまく使えなくなる
  2. 足指が変形し、浮き指・かがみ指が生じる
  3. 後方重心になり、骨盤が後傾する
  4. 骨盤後傾により、猫背または反り腰になる
  5. 背骨のS字カーブが失われる
  6. 腰椎に垂直方向の圧力が集中しやすくなる
  7. 腰椎すべり症のリスクが高まる

という構造上の連鎖が生じるケースが多くあります。

▶ 足指の機能と足の向きの関係(例)

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正常な足指の機能であれば足の向きはまっすぐになる
親指の機能不全があると足の向きは内側になる
小指の機能不全があると足の向きは外側になる
足指の状態足の向き姿勢への影響の傾向
正常まっすぐニュートラル姿勢に移行しやすい
親指の機能不全(外反母趾内側へ(回内足)X脚・猫背傾向
小指の機能不全(内反小趾寝指外側へ(回外足)O脚・反り腰傾向

※ これらは「傾向」であり、個人差があります。

見落とされやすい「骨盤後傾+反り腰」の組み合わせ

もっとも負担が大きくなりやすいのが、

骨盤が後傾しているのに、腰だけ反ってしまう姿勢です。

  • バレエ・モデル姿勢
  • 背筋を伸ばす意識が強い人
  • 骨盤が後傾したまま歩行を矯正するケース

などで見られます。

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骨盤は前傾し、腰椎は前弯している
骨盤は後傾し、腰椎前弯は減少
骨盤は後継し、腰椎前弯は増加
姿勢状態腰椎への負担
猫背骨盤後傾+腰椎後弯負担中〜高
反り腰骨盤前傾+腰椎前弯一部に過剰な圧力
骨盤後傾+反り腰背骨全体が崩れ、極端に反る最も負担が高く、ズレやすい
猫背の人が背筋を伸ばしても反り腰になるだけ!

外見上は「背筋が伸びている」ように見えても、
骨盤と背骨のバランスが合っていないため、腰椎に負担を感じやすくなることがあります。

姿勢を整えるには「足指」から見直す視点

姿勢を変えようとして「胸を張る」「腰を反らす」だけでは、

根本のバランスが整わないことがあります。

構造的な視点で見ると、

  • 足指の接地
  • 重心の位置
  • 骨盤の傾き
  • 背骨のカーブ

がすべて連動しています。

そのため、まず足指を観察し、

“どの指がうまく使えていないか”という視点を持つことが、

姿勢づくりの土台として役立つ場合があります。

セルフチェック|あなたの姿勢には“腰まわりへ負担がかかりやすい要因”があるか?

腰椎すべり症は、加齢・生活習慣・姿勢・骨盤の傾きなど、さまざまな要因が重なって生じるとされています。

ここでは、医学的な診断ではなく、姿勢力学の観点から“腰まわりに負担がかかりやすい可能性”を確認するためのセルフチェックをご紹介します。

とくに「骨盤後傾+反り腰」の組み合わせは、腰部にストレスがかかりやすいとされており、姿勢ケアを考えるうえで知っておくと役立ちます。

以下のチェックは、あくまで自分の姿勢の癖を把握するための目安としてご活用ください。

チェック①|“耳たぶからかかと”の直線で姿勢タイプを見分ける

【やり方】

  1. スマホを横向きにして床と水平に構える
  2. 正面ではなく、真横から全身を撮影  ※できれば第三者に撮ってもらいましょう
  3. 撮影した写真に、耳たぶ(耳垂)と外くるぶし(外果)を結ぶ直線を引きます

【理想姿勢】

この直線の上に次の3点が通っていれば、姿勢は理想的です。

  • ① 膝の中心
  • ② 股関節(大転子)
  • ③ 肩の中央(肩峰)

【ズレている場合】

  • 股関節・肩が線より後方にある猫背・骨盤後傾タイプの可能性
  • 頭が前に出ている → ストレートネックを併発していることも
ポイント

猫背があると、脊柱のS字カーブが崩れ、腰椎がズレやすくなります。

チェック②|“骨盤後傾+反り腰”の組み合わせに要注意

近年、腰椎すべり症の進行に最も影響するとされるのが、骨盤後傾と反り腰が共存する姿勢タイプです。

これは非常に矛盾した姿勢に見えますが、実際に多くの方がこのタイプに該当しており、気づかずに腰椎へ過剰なストレスをかけています。

やり方(2ステップ)

①【骨盤後傾の確認】

  • 外くるぶし(外果)と股関節(大転子)を結んだ線を引く
  • この線よりも前に膝の中心があれば、骨盤が後傾している可能性

②【反り腰の確認】

  • 股関節(大転子)と耳たぶ(耳垂)を結んだ線を引く
  • この線よりも後ろに肩峰(肩の中心)がある場合、腰椎が過剰に前弯=反り腰の傾向

この2つのズレが同時にある場合、腰椎に上下から“ねじれ+圧縮”のストレスが加わり、腰椎すべり症を引き起こす構造的条件が揃っていると考えられます。

参考研究|脊柱と骨盤角度の関係を調べた報告

脊柱と骨盤アライメントの関係については以下の研究で報告されています。

腰椎すべり症の進行性と脊柱-骨盤アライメント(PI, SS, LLなど)との相関を調査した研究では、姿勢パラメータが疾患の進行と強く関連していることが明らかになっています。

参考文献:Lai Q, Gao T, Lv X, Liu X, et al.Correlation between the sagittal spinopelvic alignment and degenerative lumbar spondylolisthesis.BMC Musculoskelet Disord. 2018 May 16;19(1):151.

ただし、病気の発症や進行を判断できるものではなく、あくまで姿勢研究の一例としてお読みください。

あなたの姿勢はどうでしたか?

写真を撮るだけで、

・重心の位置

・骨盤の傾き

・背骨のカーブ

・足指との連動

といった“姿勢のクセ”が見えてきます。

重要なのは、

「今の自分の立ち方・体の使い方」を知ること

姿勢を見直す第一歩は、

“自覚すること”から始まります。

足指の変形セルフチェック|あなたの姿勢バランス、実は“足指の使い方”が関係しているかもしれません

腰や姿勢の問題は「背骨のゆがみ」と捉えられがちですが、

そのもっと下にある“足指”の状態が崩れることで、

重心バランスや姿勢の安定性に影響が出るケースが多く見られます。

ここでは、医学的な診断ではなく、

姿勢力学の観点から足指の状態を確認するためのセルフチェックをご紹介します。

足指の変形の種類と、観察するときのポイント

以下のような特徴がある場合、

足裏の支持性や重心コントロールに影響が出やすい“傾向”があります。

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かがみ指
外反母趾
内反小趾
親指の浮き指
小指の浮き指
寝指

かがみ指(ハンマートウ)

  • 指が曲がったまま伸びにくい特徴
  • 歩行時に屈筋が過剰に働きやすく、筋バランスに偏りが生じやすい

外反母趾

  • 親指が人差し指側へ向きやすい特徴
  • 親指の外転動作が使いづらくなるため、足幅や重心位置に影響が出ることがある

内反小趾(テーラーズバニオン)

  • 小指が親指方向へ倒れやすい特徴
  • 外側への体重移動が起こりやすく、O脚傾向や外側荷重と組み合わさることがある

浮き指(親指/小指/2〜4指)

  • 指が地面に接地しにくい状態
  • 靴・靴下・床の滑りやすさなどの影響を受けると、重心が安定しづらい

寝指(特に第4・5趾)

  • 爪が真上でなく横方向を向きやすい特徴
  • 小趾外転筋の働きに偏りが生じ、指の向きや地面への接地に影響することがある

写真を撮って“まずは今の状態を知る”

  1. スマホを足の真上に構える
  2. 左右の足指の向き・接地状況を比較する
  3. 指の角度・爪の向き・指先の左右差などを観察する

観察の目的は、診断ではなく、自分の体の使い方のクセを知ることです。

専用チェックシートで“見える化”をサポート

より観察しやすいよう、

立ったまま足を乗せるだけで角度や向きの「目安」が分かる

セルフチェックシートをご用意しています。

いずれも、

姿勢のクセを理解するためのサポートツールとしてご活用ください。

(※医学的な診断を行うものではありません)

足趾機能不全セルフチェック|“動かしにくい指”が姿勢バランスに影響することがあります

姿勢や歩行のクセは、背骨や骨盤だけでなく、

そのもっと下にある “足指がどれだけ使えているか” によっても変化する傾向があります。

足指は、単に体を支えるパーツではなく、

重心の調整・姿勢保持・バランス感覚の微調整に関わるセンサー的な役割を担っています。

しかし現代では、靴・靴下・床環境などの影響により、

足指を十分に使わず生活することが多くなり、

指の動きが鈍くなる=足趾機能不全の傾向が見られる方が増えています。

足趾機能不全とは?

ここでいう「足趾機能不全」とは、医学的診断ではなく、

足指が本来の可動性や使い方を発揮しづらい状態を指す、構造観察上の用語です。

例としては次のような特徴が挙げられます。

  • 十分に曲げられない
  • 指を横に広げにくい
  • 親指や小指を意識的に動かしづらい
  • 指先がうまく接地しない

このような状態が続くと、足裏や重心コントロールに偏りが生じ、

全身の姿勢バランスに影響が出ることがあります(三者因果の一因という位置づけ)。

3つのセルフチェック|あなたの足指は“どれだけ動かせる”?

以下の動きができるか、まずは優しく試してみてください。

これは 医療的な検査ではなく、体の使い方を知るための“構造観察” です。

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全ての指を曲げることができるか
全ての指をひらくことができるか
意識的に親指だけを上げることができるか

ひとつでもやりにくい動きがあれば、どの指が苦手なのか を観察することが大切です。

📌 指別の“動きにくさ”から読み取れる構造傾向

指の部位よく見られる動きの特徴姿勢バランスへの影響として“起こりやすい傾向”
親指(母趾)上げづらい/開きづらい回内足・X脚傾向・骨盤後傾が組み合わさりやすい
小指(小趾)外に開きにくい/曲げにくい回外足傾向・O脚傾向・内反小趾や寝指との併存が多い
第2〜4趾曲げ伸ばしが苦手/反応が鈍い屈筋優位になりやすく、かがみ指の背景因子になりやすい

腰椎すべり症に悩んだ私が、足指から姿勢を見直し、再びバレエに向き合えるようになるまでの記録

私は幼いころからクラシックバレエに打ち込んでいました。

しかし中学3年のある日、突然、腰に強い痛みを覚えるようになりました。

複数の医療機関で検査を受け、「腰椎すべり症」と説明を受けましたが、処方いただいた鎮痛薬や注射では、日常生活での不安や制限が続いていました。バレエのレッスンにも徐々に行けなくなり、その頃は“何をどうしたらよいのか”分からない不安が大きかったことを覚えています。

そんな中、知人の紹介で、体の使い方や姿勢に詳しい専門家の方とお会いする機会がありました。

その方から、「腰の不調には、足指の使い方や姿勢バランスが複合的に関わっていることがある」というお話を伺い、それまで意識してこなかった“足元”という視点を初めて知りました。

足の動きを見てもらうと、親指と人差し指があまり開かず、足指が十分に使えていない傾向があるとの指摘を受けました。自分でも動かしてみると確かにうまく使えていないことが分かり、「足指が動かないだけで姿勢まで影響するのだろうか?」と驚いたことを覚えています。

その後は、教えていただいた足指を広げるストレッチや、立ち方・歩き方のクセを見直す習慣を、少しずつ生活に取り入れていきました。また、足元の環境を整えるためのサポートアイテムも併用しながら、体の使い方を意識していく中で、自分の中で “動きの感覚が変わってきた” と感じる場面が徐々に増えていきました。(※あくまで個人の生活習慣の変化による体感であり、医療的効果を示すものではありません)

当時の姿勢写真を見返すと、今とは立ち方のクセが明らかに異なり、

“使い方”を学ぶことで意識が変わったことを実感します。

今では、自分のペースではありますが再びバレエのレッスンに参加できるようになり、踊る時間を取り戻すことができています。

足元からの見直しという考え方に出会えたことは、私にとって大きな転機でした。

「どこが悪いか」だけでなく、「どう使っているか」を知ることで気づけることがたくさんあると実感しています。

この経験が、同じように不安や迷いを抱えている方にとって、何か一つでも前に進むヒントになれば嬉しく思います。

足指の研究から生まれた「環境づくり」という視点

足指研究所では、20年以上の臨床経験と、東京大学・石井直方名誉教授と実施した観察研究を通して、

「足指が使いやすい環境が整うと、姿勢・重心の安定性に関わる“変化傾向”が見られることがある」

という視点を大切にしています。

足指は本来、「広がる・伸びる・接地する」という生理的な動きを持ちますが、

靴・靴下・床の滑りやすさなどによって、その働きが阻害されることがあります。

私たちは、

「どうすれば日常で足指が動きやすい環境を作れるか」

という点を中心に開発と研究を続けています。

【研究データ|足指・姿勢・筋活動の観察記録】

2020〜2022年、東京大学・石井直方名誉教授の指導下で実施。

延べ96名を対象に、以下の構造的特徴の推移を多角的に観察しました。

  • 足指の動き・配置
  • アーチ構造
  • 姿勢指標
  • 体幹支持筋・口腔周囲筋・下肢筋の活動傾向

“足指が使いやすい環境づくり”を行った際、

足指・姿勢・呼吸に関連する筋活動などに構造的な変化傾向が見られました。

研究データの詳細はこちら

【足指が使いやすい体へ|4つのアプローチ】

日常で“足指が働きやすい環境”をつくるための基本ポイントです。

1. ひろのば体操(足指をゆるやかに伸ばす)

2. 靴の見直し(足指が押しつぶされない設計)

3. 小股歩き(足指が自然に使いやすい歩き方)

4. 室内環境の調整(滑りやすい床・スリッパを避ける)

詳しいケア方法はこちら

【YOSHIRO SOCKS|構造とものづくり】

——足指が使いやすい“環境づくり”をめざした生活用品

足指の働きを妨げる「環境」そのものに着目し、

奈良の専門工場とともに、糸・密度・摩擦・張力などを精密に検証してきました。

● 構造のポイント

姿勢の安定性に配慮した
摩擦構造

自然な足指の開きを支える
立体フォルム

重心バランスを考慮した
密度・張力設計

“広げる・伸ばす”動きを引き出す
テンション配置

開帳・扁平傾向に配慮した
縦横方向テンション

母趾〜小趾が整列しやすい
張力バランス

※ いずれも医療的効果を示すものではなく、あくまで「足指が働きやすい状態をサポートする生活用品としての構造」の説明です。

● 製造のポイント

日本製

高密度

極薄

高耐久

高グリップ

吸湿・速乾

  • 日本製:専門工場が ±1mm 単位でテンション管理
  • 高密度:700nmクラスの極細繊維
  • 極薄:約2mmの軽さと安定性
  • 高耐久:生活用品としての強度
  • 扇形フォルム:足指が自然に広がりやすい形状

YOSHIRO SOCKS の構造と設計はこちら

免責事項

本記事は一般的な情報提供であり、治療や効果を保証するものではありません。個人差があります。医療が必要な際は専門医へご相談ください。商品は医療効果を目的としたものではありません。

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