足指ドクターによる解説

YOSHIRO YUASA
湯浅慶朗
理学療法士(Physiotherapist)、足指博士、足指研究所所長、日本足趾筋機能療法学会理事長、ひろのば体操・YOSHIRO SOCKS・ハルメク靴開発者。元医療法人社団一般病院理事・副院長・診療部長。専門は運動生理学と解剖学。足と靴の専門家でもあり、姿勢咬合治療の第一人者でもある。様々な整形疾患の方(10万人以上)を足指治療だけで治してきた実績を持つ。東京大学 石井直方 名誉教授の弟子でもある。

妻のO脚が治った。──足指が導いてくれた、僕の原点
20年前、私の妻は長年O脚に悩んでいました。膝や股関節にまで痛みが出ており、正直に言うと、医療者である私自身も「O脚は構造的な問題で、なかなか治るものではない」と考えていました。
ところが、ある日ふと5本指ソックスを履かせてみたところ、妻はこう言いました。
「小指が地面についてる感じがする」「足の内側に力が入るようになった」と。
わずかな感覚の変化でしたが、足の小指を揉んだりしているうちに、その1週間後、妻の脚はまっすぐに整い、膝や股関節の痛みも消えていたのです。
※この体験は、2013年6月5日付の西日本新聞「お茶の間学」欄でも紹介されました。
O脚の原因は「足指の機能不全」
新聞記事でも触れたように、O脚や膝の痛みの大きな原因は「足指が正しく使えていないこと」にあります。

足の親指が外側(小指側)に向かって曲がる状態を指します。

足の小指が内側(親指側)に向かって曲がる状態のことを指します。

指が下向きに曲がりっぱなしで伸ばすことができない状態のことを指します。

親指が他の指の爪と比べて上方向に曲がって浮いてしまう状態を指します。

小指が地面から浮いてしまう状態を指します。そのほかの指にも見られることがあります。

指の爪が横を向いている状態のことを指します。特に小指や薬指に多く見られます。
こうした変形があると、足裏のアーチが崩れ、体全体の重心バランスが乱れます。その結果、膝・股関節・腰への負担が増し、痛みや姿勢不良を引き起こすのです。
改善のカギは「足指の再教育」
私は、妻の体験をきっかけに「足指の再教育」という考えにたどり着きました。
具体的には、
- ひろのば体操:足指を反らせて伸ばし、アーチを整える
- YOSHIRO SOCKS:滑らず適圧で足指を支え、動きを呼び戻す
こうしたアプローチにより、足指がまっすぐに伸び、自然に地面を押し出せる状態を作ることができます。これは年齢に関わらず有効であり、実際に80代の方の腰痛・膝痛改善例も確認されています。
医療費・社会課題への展望
私は臨床の現場で「結果が出ないリハビリ」に限界を感じていました。診療報酬は積み上がっても、患者さんの本当の回復にはつながらない──。
そこで「足指から整える」アプローチを確立することで、
といった課題に取り組めると確信しています。
まとめ|小さな足指が全身を変える
「たかが足の小指」と思うかもしれません。ですが、その1本が膝や腰を守り、姿勢を整え、痛みのない生活を支えます。
O脚や膝の痛みに悩んでいる方は、ぜひ「足指から整える」アプローチを試してみてください。それは、私が大切な人を救えた方法であり、今も皆さんに届けたい原点なのです。