【医療監修】顎関節症セルフケア大全|顎を触る前に整えるべき“首・姿勢・足元”

目次

はじめに

こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。

顎関節症の相談を受けていると、必ずと言っていいほど出てくる言葉があります。

「顎が痛いので、顎をほぐしたらいいですか?」

「マウスピースを作ったけど、また戻りました」

「整体もストレッチもやったのに、結局変わりません」

ここで一つ、はっきりお伝えします。

顎関節症は、顎だけを触っても“戻る人”がいます。

なぜか。

顎が悪いからではありません。

あなたが弱いからでもありません。

顎が頑張らないといけない“条件”が残っているからです。

顎関節症は、顎の病気というより

顎が「固定に使われ続ける状態」になっている

ことが多い。

そしてその固定を生む条件は、顎の外側にあります。

首が前に出る

肩が上がる

重心がズレる

足元が不安定になる

この土台が残っている限り、顎はまた頑張らされます。

この記事では、顎関節症のセルフケアを

「顎を触る前に整えるべき順番」で整理します。

顎をほぐす前に、戻る条件を減らす。

これが、遠回りに見えて一番ムダが少ないやり方です。

症状の入口を整理したい方は、先にこちらの記事を読むと理解が早くなります。

▶︎【医療監修】顎関節症の症状一覧|痛み・クリック音・開口障害…“あなたのタイプ”はどれ?

まず結論|顎関節症セルフケアは「顎から始めない方がうまくいく」

顎が痛いと、誰でも顎をどうにかしたくなります。

でも臨床で見てきた現実はこうです。

顎をほぐす

マウスピースをつける

ストレッチする

整体に通う

これで

その場は楽になっても、戻る人が多い。

この「戻る」を止めるには、顎の外側の条件を減らす必要があります。

僕が顎関節症のセルフケアで最も重視している順番はこれです。

1)顎を守っている緊張を抜く(噛みしめの解除)

2)首の前突を減らす(顎がズレにくい形に戻す)

3)体の左右差を減らす(片側負担を減らす)

4)足元の不安定を減らす(顎で踏ん張らなくていい体にする)

顎を触るのは、そのあとです。

顎関節症は「顎が壊れている」よりも

顎が頑張らされる構造が残っているケースが多い。

だからセルフケアも、構造から変えた方が戻りにくいんです。

顎関節症セルフケアで最初にやるべきこと|「顎を休ませる」こと

顎関節症の人は、顎が休めていないことが多いです。

顎を動かしているわけじゃないのに

ずっと力が入っている。

これが、痛み・音・開けにくさの土台になります。

まず確認|安静時は“歯が当たらない”のが正常

普通、口を閉じてリラックスしているときは

上の歯と下の歯は、少し離れています。

これが正常です。

ところが顎関節症の人は、安静時に歯が当たっています。

この状態が続くと、顎の筋肉が休めません。

今日からできる基本|「歯を離す」を1日100回やる

難しいことは要りません。

気づいたら、歯を離す。

それだけです。

やり方(10秒でできる)

  1. 唇は軽く閉じる
  2. 歯は当てない
  3. 舌は上あごに軽く置く(押し付けない)
  4. 肩の力を抜く

この姿勢を1回つくるだけで、顎は休めます。

顎関節症は、努力して治すというより

休ませて戻す感覚が大事です。

ここが本題|症状が違っても「戻る条件」は共通している

顎関節症の症状は人によって違います。

痛い人

鳴る人

開かない人

耳が詰まる人

頭痛が出る人

でも僕が見てきた中で、長引く人ほど共通していることがあります。

それが、

顎の外側が崩れている

ということです。

顎関節症が長引く人ほど「顎の外側」が崩れている

顎が悪いのではありません。

顎を使わないと体が安定しない状態になっている

ことが多いんです。

よくある“戻る条件”のセット

  • 首が前に出る
  • 肩が上がる
  • 重心がズレる
  • 顎が固定に使われる(噛みしめ)

顎関節症を治そうとしているのに戻る人は、ここを見落としがちです。

顎を整えても、首が戻す。

首が戻ると、顎が戻る。

これが、顎関節症が繰り返す一番の理由です。

さらに深い話|その首の前突は「足元」から始まることがある

首が前に出ると、顎はズレます。

でも首が前に出る原因が、首だけとは限りません。

僕が臨床で確信しているのはここです。

足元が不安定だと、人は首を前に出してバランスを取ります。

典型的な流れ

足指が使えない

重心が崩れる

骨盤が傾く

首が前に出る

顎がズレる

この図は、顎関節症の人に多い“体の連鎖”です。

つまり顎関節症は、顎の症状なのに

足元から始まっているケースがあるということです。

症状別|顎関節症セルフケアの考え方(痛み・音・開けにくさ)

顎関節症は、症状の入口が違うだけで

やるべきことが変わります。

ここでは、代表的な3パターンに分けます。

痛みが中心の人|顎を動かすより「負担を減らす」

顎が痛い人がやりがちなのが

顎を大きく動かす

顎を強く押す

ゴリゴリほぐす

これです。

でも痛みが強い時期は、顎が守りに入っています。

その状態で刺激を入れると、余計に固まることがあります。

痛い人が優先するべきこと

  • 歯を離す回数を増やす
  • 食事は柔らかいものに寄せる
  • 大きく口を開けない(あくび注意)
  • 片側だけで噛まない
  • まず睡眠を整える

痛みは「壊れているサイン」より

「負担が集中しているサイン」

として出ることが多いです。

だから痛い人ほど、顎を攻めるより

顎を休ませる方向が大事です。

音が中心の人|音より「動きのズレ」を見る

クリック音があると不安になります。

でも音は、危険のサインとは限りません。

問題は、

音が鳴ること

ではなく

音が鳴るほど“動きがズレていること”

です。

音がある人がやるべきこと

  • 口を開けるとき「まっすぐ」を意識する
  • 急に大きく開けない
  • 顎を横にずらして開けない
  • 首を前に出したまま口を開けない

音が鳴る人ほど、顎だけでなく

首の前突とセットで崩れていることが多いです。

開けにくさが中心の人|無理に開けない

口が開かない人ほど焦ります。

でもこのタイプは、無理に開けると悪化することがあります。

開けにくい人が優先すること

  • 開ける練習より「緊張を抜く」
  • 首・肩の力を抜く
  • 歯を離す
  • まず寝起きの顎の重さを減らす

顎関節症は、頑張るほど固まるタイプがある。

ここを理解しているだけで、悪化を防げます。

首のセルフケア|顎関節症を戻す“首の前突”を減らす

顎関節症の人は、首が前に出ていることが多いです。

ストレートネック気味の姿勢ですね。

首が前に出ると、顎は後ろに押されやすくなります。

そして顎は、噛みしめで固定しやすくなります。

壁チェック(10秒)|首の前突を確認する

壁に

かかと

お尻

背中

をつけて立ちます。

このとき

後頭部が壁につかない

つけようとすると顎が上がる

首の後ろが苦しい

なら、首が前に出ている可能性があります。

首の前突を減らすコツ|「顎を引く」ではなく「頭を戻す」

顎を引こうとすると、力みます。

大事なのは

顎を引く

ではなく

頭の位置を戻す

です。

意識するポイント

  • 目線を少し下げる
  • 肩をすくめない
  • 胸を張りすぎない
  • 口は軽く閉じる
  • 歯は当てない

首が戻るだけで、顎はかなり安定しやすくなります。

姿勢のセルフケア|顎関節症は「片側負担」を減らすと楽になることがある

顎関節症の相談で多いのが左右差です。

右だけ痛い

左だけ鳴る

片側だけ噛みにくい

このタイプは、顎の問題というより

体の左右差が顎に出ていることがあります。

片側負担の人に多いクセ

  • 片足重心
  • 片側で噛む
  • 片側で荷物を持つ
  • 片側でスマホを見る
  • 片側で寝る

顎関節症は、顎が左右の筋肉で吊られて動く関節です。

だから体の左右差があると、顎の左右差も固定されやすい。

今日からできる修正

  • 立つとき、左右に体重を均等に乗せる
  • 椅子に座るとき、骨盤を片側に逃がさない
  • 片噛みをやめる(気づいたら左右)
  • 頬杖をやめる

足元のセルフケア|顎関節症を“顎で踏ん張らない体”に戻す

ここが、足指研究所として一番伝えたいことです。

顎関節症が長引く人ほど、足元が崩れていることが多い。

これは、僕の臨床経験からの結論です。

足元が崩れると、なぜ顎が頑張るのか?

人間は、体が不安定だと固定したくなります。

本来、固定は足元でやるべきです。

でも足指が使えないと、固定の場所が上に逃げます。

それが顎です。

典型的な流れ

足元が不安定

体が揺れる

首が前に出る

顎で固定する(噛みしめ)

顎がズレる・痛む・鳴る

だから顎関節症は、顎だけで解決しないことがあるんです。

足元チェック|顎関節症の人がまず見るべき3つ

1)靴の中で足が滑っていないか?

靴の中で足が滑ると、足指が踏ん張れません。

踏ん張れないと、重心が崩れます。

重心が崩れると、顎が固定に使われます。

2)片足立ちでふらつかないか?

片足でふらつく人ほど、体が安定していません。

体が安定していない人ほど、噛みしめが増えやすい。

3)足指が地面についているか?

浮き指や屈み指があると、足で支える力が落ちます。

すると上半身が前に倒れやすくなり、首が前に出ます。

その結果、顎がズレやすくなります。

足元の崩れが気になる方は、こちらの記事もつながります。

▶︎【医療監修】顎関節症と浮き指・屈み指の関係|踏ん張れない足が“顎の不安定”を作る理由

▶︎【医療監修】顎関節症と外反母趾の関係|内側重心が“顎の位置”に影響する可能性

▶︎【医療監修】顎関節症と寝指・内反小趾の関係|外側重心が“顎の左右差”を作る流れ

よくある失敗|顎関節症セルフケアで逆に悪化するパターン

顎関節症のセルフケアは、やり方を間違えると悪化します。

ここは先に止めておきます。

痛いのに無理に口を大きく開ける

痛い時期は、防御反応が強いです。

無理に開けると、さらに固まります。

顎を強く押す・ゴリゴリ揉む

顎まわりは繊細です。

強い刺激は、逆に緊張を上げることがあります。

「顎だけ」整えて満足してしまう

顎を整えても、首と足元が戻す人がいます。

顎関節症のセルフケアは

顎を触るより、顎が頑張らない条件を増やすことが重要です。

まとめ|顎関節症は「顎を触る前」に勝負が決まる

顎関節症のセルフケアは、

顎をほぐす

顎を動かす

顎を押す

これが正解とは限りません。

長引く人ほど、顎の外側が崩れています。

首が前に出る

肩が上がる

重心がズレる

足元が不安定になる

顎が固定に使われる(噛みしめ)

この「戻る条件」を減らすことが、最優先です。

そして最後は必ずこれです。

顎関節症は、顎だけの問題ではありません。

足指→重心→姿勢→顎

この連鎖を見直したときに、はじめて戻りにくくなる人がいます。

次に読むなら、顎関節症が「戻る人」の共通点を整理したこの記事が一番つながります。

▶︎【医療監修】顎関節症が治らない理由|マウスピース・整体・ストレッチで戻る人の共通点

足指への3つのアプローチ

— ただし、順番があります

私は2006年以降、病院における臨床の場で、体操・靴下・歩き方・靴の指導を中心に、足指の変形や機能不全、そしてそれに関連する整形外科的な不調に対する対応を行ってきました。

外反母趾、内反小趾、かがみ指、浮き指、寝指、足趾機能不全に加え、膝・腰・股関節・姿勢といった問題についても、足指からの介入を軸に経過を観察してきた臨床の積み重ねがあります。

これは理論だけの話ではありません。長年にわたる臨床数と経過、データの蓄積の中で、「動かす・保つ・使い続ける」という視点が共通して重要であることが整理されてきました。

その結果として、ここで紹介しているひろのば体操・YOSHIRO SOCKS・YOSHIRO WALKという3つのアプローチに集約されています。

1. ひろのば体操

足指を「動かして」広げて伸ばす

ひろのば体操は、足趾機能不全によって低下しやすい足指の可動性や感覚入力を取り戻し、足指が本来の動きを発揮しやすい状態をつくることを目的に考案された体操です。

外反母趾・内反小趾・屈み指・浮き指・寝指など、足指がうまく使われにくくなっている状態に対して、日常で取り入れやすいアプローチの一つです。

2. YOSHIRO SOCKS

広がって伸びた足指を「保ち続ける条件」をつくる

YOSHIRO SOCKSは、足の中で起こりやすい「滑り」「指の押し込み」「アーチの崩れ」といった足元環境のストレスに着目し、

  • 足指が広がりやすい
  • 足指が伸びやすい
  • 足裏のアーチが保たれやすい

足元環境を整えることを目的に設計された靴下です。外反母趾・内反小趾・屈み指・浮き指・寝指・足趾機能不全など、足指の使われ方が関与するケースで検討される選択肢の一つです。

3. 小股歩き

日常動作の中で、足指が“使われ続ける”状態をつくる

小股歩きは、歩幅を抑えることで足指を感じながら地面を捉えやすくする歩き方です。

体操や足元環境の見直しと組み合わせることで、足指に関わる筋活動が起こりやすい条件をつくる考え方として紹介しています。

無理なく続けられる形を選んでください

・体操から始める人

・足元環境から見直す人

・両方を組み合わせる人

どれか一つに決める必要はありません。足指の問題は、方法よりも「続けられる条件」が大切です。


まず迷っている方へ

— どれから始めるか迷ったら、ここを基準にしてください —

  • 体操が続かなかった人
  • 歩き方を意識する余裕がない人
  • 靴をすぐに変えられない人

この場合は、

② YOSHIRO SOCKS(足元環境を整える) から始めるのが現実的です。

足指は「動かす前に、使われる環境」が整わないと戻りやすいため、

まずは日常の中で 足指が使われにくい状態を減らす ことが優先されます。


すでに体操ができている方へ

① ひろのば体操 + ② YOSHIRO SOCKS

動かした足指を、そのまま保てる条件が重なることで、

足指が使われやすい状態が続きやすくなります。


余裕が出てきた方へ

③ 小股歩き を組み合わせることで、 日常動作の中でも足指が“使われ続ける”条件が整っていきます。

※どれか一つを「完璧にやる」必要はありません。

足指の問題で大切なのは、無理なく続けられる順番を選ぶことです。

次に知りたいことを選んでください

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