足指ドクターによる解説
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YOSHIRO YUASA
湯浅慶朗
足指博士、足指研究所所長、日本足趾筋機能療法学会理事長、ハルメク靴開発者。元医療法人社団一般病院理事・副院長・診療部長。MRC認定歯科医院の顧問の経歴もあり。専門は運動生理学と解剖学。足と靴の専門家でもあり、姿勢咬合治療の第一人者でもある。様々な整形疾患の方(7万人以上)を足指治療だけで治してきた実績を持つ。東京大学石井直方名誉教授の弟子でもある。
はじめに
黄色靭帯骨化症(OLF:ossification of ligamentum flavum)は、脊椎の後方にある黄色靭帯が骨化し、脊髄や神経を圧迫することで様々な神経症状を引き起こす疾患です。主に高齢者に多く見られ、胸椎や腰椎に影響を与えることが多いです。この疾患は、放置すると歩行困難や筋力低下などの重篤な症状につながる可能性があります。手術をしても、一度しびれが出てしまうと改善が難しく、しびれが残っている人が多く、治す薬も進行を止める薬もない状態なので、しびれたらしびれを緩和する薬などと、対症療法しかありません。
実は、黄色靭帯骨化症の発生要因が「姿勢」の問題であることは1990年代から多くの研究で明らかにされています。黄色靭帯骨化症の予防と症状の軽減には、脊椎への負担を減らし、姿勢をニュートラルポジションに戻すことが重要だったのです。そのため、ひろのば体操やYOSHIRO SOCKSを使って足元から姿勢を整え、全身のバランスを改善する方法が注目されています。
黄色靱帯骨化症(OLF)とは?
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黄色靱帯骨化症(OLF)は、脊椎の後ろ側にある「黄色靱帯」が骨化してしまう疾患です。黄色靱帯は、脊柱を支え、脊髄を保護する役割を持つ靱帯ですが、これが骨化することで、脊髄や神経を圧迫し、神経障害や痛み、しびれなどの症状を引き起こすとされています。特に下部の胸椎に発生することが多く、進行すると下肢の脱力やしびれ・下肢のこわばり・腰背部の痛み、・下肢の痛みなど、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
ただし、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と同じで、黄色靱帯骨化症も実は神経が圧迫されることで痛みやしびれが出ているわけではありません。痛みや痺れの原因は、全く別の部分が問題となって引き起こしています。詳細は以下の記事を参照にして下さい。
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黄色靱帯骨化症の症状
黄色靭帯骨化症の症状は、骨化が進行し、脊髄や神経を圧迫することで現れます。主な症状には以下がありますが、先に述べたように黄色靱帯骨化症は神経が圧迫されることで痛みやしびれが出ているわけではありません。痛みや痺れの原因は、全く別の部分が問題となって引き起こしています。
• 腰や背中の痛み:骨化した靱帯が神経を圧迫することで発生します。
• 下肢のしびれや筋力低下:脊髄や神経が圧迫されると、足や脚に影響が出ることが多いです。
• 歩行困難:進行すると、歩行時にふらつきやバランスの問題が生じることがあります。
• 排尿・排便障害:重症になると、神経の圧迫によりコントロールが難しくなることがあります。
この中で、下肢の麻痺、排尿・排便障害がある場合は、神経圧迫が原因なので、早期の治療が必要です。
診断方法
黄色靱帯骨化症は、主に画像検査を通じて診断されます。主な検査方法として以下があります:
• X線(レントゲン):脊椎の骨化状態を確認します。
• MRI(磁気共鳴画像):脊髄や神経への圧迫の状態を詳細に評価します。
• CT(コンピュータ断層撮影):骨化の範囲や骨の構造を詳しく確認します。
黄色靱帯骨化症の治療法
一般的な黄色靱帯骨化症の治療は、症状の進行度や骨化の範囲に応じて選択されます。
1.保存療法
症状が軽度であれば、保存療法が選択されることがあります。これには、次のような方法があります。
• 薬物療法:痛みや炎症を抑えるために、消炎鎮痛薬や神経保護剤が処方されます。
• リハビリテーション:背筋や体幹の強化、姿勢改善によって脊椎への負担を軽減し、症状の進行を抑えます。
• 生活習慣の改善:適切な姿勢の維持や、体重管理が推奨されます。
2.手術療法
症状が進行し、神経圧迫が強い場合は、手術が推奨されます。主な手術法には次のものがあります。
• 椎弓形成術:骨化した靱帯を取り除き、脊髄や神経への圧迫を軽減する手術です。
• 椎弓切除術:より広範囲な除去が必要な場合に行われる手術です。
現在の医療技術では、骨化した黄色靱帯を元に戻すことはできません。治療の主な目標は、症状を軽減し、神経への圧迫を防ぐこと、または解放することです。これにより、四肢麻痺などの重度の脊髄症状の発生を防ぎます。また、既に症状が出ている場合には、それ以上の進行を防ぐことが治療の目的となります。
黄色靱帯骨化症の原因
一般的に、黄色靱帯骨化症の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下のような要因がリスクとして挙げられています。
1. 遺伝的要因:家族歴がある場合、発症リスクが高まることが報告されています。
2. 加齢:加齢による靱帯の硬化や変性が骨化を引き起こすと考えられています。
3. 生活習慣:過度な負荷や姿勢の悪さが靱帯に負担をかけ、骨化を促進する可能性があります。
4. 糖尿病:糖尿病との関連も指摘されており、リスク要因となる可能性があります。
黄色靱帯骨化症(OLF)の原因は、加齢や遺伝的要因に加えて、姿勢が重要な要因であると考えられています。特に、長期間の猫背や反り腰など、不良姿勢が脊椎に過剰な機械的負荷(メカニカルストレス)がかかり、黄色靱帯に張力や圧力がかかり続けるため、これが骨化を促進する可能性があります。姿勢の改善は、進行を抑制し、症状の悪化を防ぐために非常に重要です。
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上の写真を見てみてください。正常な人と、黄色靱帯骨化症がある人のMRIの写真です。矢印の部分の靭帯が肥大して神経を圧迫しています。正常な人と黄色靱帯骨化症の人の違いはなんだと思いますか?
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それは「姿勢」です。左の写真(正常)は背骨がS字に弯曲(わんきょく)して理想的なカーブをしていますが、右の写真(黄色靱帯骨化症)は背骨がまっすぐしています。いわゆる平背(フラットバック)・猫背のタイプです。
機械的負荷と黄色靱帯骨化症の関係
2021年にYin Zhaoらによって発表された研究では、4~12週間にわたり背骨に引張ストレスを加えた結果、黄色靭帯の骨化が確認され、骨関連分子(BMP-2、RUNX-2など)の発現が増加しました。骨化は時間が長いほど進行し、特に12週間後に顕著でした。引張応力が黄色靭帯骨化症(OLF)を引き起こし、骨化が促進されることが確認されました。
胸腰部黄色靭帯への周期的引張応力が黄色靭帯の骨化を誘発する生体内実験研究(2021年9月1日)
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この研究は、背骨の靱帯の骨化が、単なる加齢や遺伝だけではなく、**機械的な力(姿勢の悪さや圧力)**が重要な要因であることを示しています。特に、長時間の猫背や反り腰といった姿勢が脊椎に悪影響を与え、靱帯の骨化を促進する可能性があるため、日常生活での姿勢の改善が重要です。
最新の治療研究と展望
姿勢を本来の状態に戻すことで、黄色靱帯骨化症(OLF)の進行を抑えられる可能性はありますが、一度骨化した靱帯が元に戻ることは、現在の医学では難しいとされています。
私が関わった患者様の中には、腰や背中の痛み、下半身のしびれを抱え、車椅子生活を余儀なくされていた方もいました。医師からは「もう歩けない」と言われたその方も、治療を開始して3ヶ月で歩行器を使い始め、6ヶ月後には痛みやしびれが改善しました。
靱帯の骨化は、持続的な張力が原因と言われていますが、その張力は姿勢の悪さから来ています。姿勢をニュートラルに戻すことで、靱帯への張力を取り除き、私はこの理論に基づいてリハビリを行い、患者様の症状改善を目指しています。
2006年に塚本らによって発表された研究では、脊椎靭帯の骨化が繰り返しの引張ストレスによって引き起こされることを示すため、ラットに10Nの周期的引張力をかけたところ、靭帯に骨化と軟骨形成が見られました。組織の変化はヒトの脊椎靭帯骨化に類似しており、引張応力が靭帯骨化の重要な原因であることが強く示唆されました。
2007年に発表された研究では、胸部黄色靱帯骨化症(TOLF)の進行における機械的ストレスの役割を調査しています。TOLF患者から得た靱帯細胞にストレッチを加えると、骨形成に関連する遺伝子(ALP、Runx2、osterixなど)の発現が増加しました。さらに、特定のシグナル経路(p38およびERK1/2)がこれらの遺伝子発現を調整していることが示され、TOLF細胞における骨形成分化に重要な役割を果たしていることが分かりました。
2012年に発表された研究では、周期的引張ひずみが黄色靱帯骨化(OLF)に及ぼす影響を調査し、骨化に関わるβ-カテニン、Runx2、Sox9、オステオポンチンなどの遺伝子発現を分析しました。結果、引張ひずみがこれらの遺伝子の発現を増加させ、骨化が促進されることが確認されました。特に、β-カテニンシグナル伝達経路が骨形成に重要な役割を果たしていることが示唆されています。
2020年にRui Gaoらによって発表された研究では、黄色靱帯骨化症(OLF)における骨形成のメカニズムを調査しています。特に、骨形成に関与する遺伝子(RUNX2、Osterix、ALP、OCN)の発現が、OLF群で高く、機械的ストレスが骨化を促進することが明らかになりました。また、IHHシグナル伝達経路も骨形成に関与し、局所ストレスがこの経路を活性化して骨形成を促進していることが示唆されています。シグナル伝達の阻害によって骨化の抑制も確認されました。
**Cyclic Tensile Strain(周期的引張ひずみ)**とは、材料や細胞に繰り返し引っ張る力を加えることを指します。この力が周期的に繰り返されることで、細胞や組織は応力に反応し、骨形成や組織の変化を引き起こすことがあります。特に骨形成や靱帯の研究では、機械的負荷として用いられ、靱帯細胞や骨芽細胞に対する影響を調べる際に利用されることが多いです。
1995年から2021年にかけての研究では、OLFの発症メカニズムとして黄色靭帯の機械的ストレス(圧力や伸張)が原因であることは周知の事実となっています。
黄色靱帯骨化症の力学的なメカニズム①
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平背や猫背になると、脊柱の自然なS字カーブが失われ、脊椎にかかる負担が偏ります。この結果、黄色靱帯に持続的なメカニカルストレス(圧縮力や張力)がかかりやすくなり、黄色靱帯の骨化が促進される可能性があります。このメカニズムは黄色靱帯骨化症と同様です。
S字カーブは脊椎にかかる負荷を分散する役割を果たしているため、これが失われることで靱帯にかかる負担が増加し、黄色靱帯骨化症のリスクを高める要因となります。MRIで悪い部分だけを見ると黄色靭帯に問題があるのですが、黄色靭帯が肥大する原因が「姿勢」にあるのです。
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猫背の場合、頚椎に圧力がかかる一方、胸椎から腰椎にかけて張力が発生します。
反り腰の場合、腰椎に圧力がかかる一方、頚椎から胸椎にかけて張力が発生します。
ただし、姿勢の種類は人それぞれであり、単純に猫背はここ、反り腰はここ、というように断言することは難しいです。しかし正しい姿勢に見られる背骨のS字カーブが崩れることで、黄色靭帯にメカニカルストレス(圧縮力や張力)がかかることは確かなので、姿勢の悪い人やすでに黄色靱帯骨化症があるという人は、この機会に姿勢を見直してみると良いでしょう。
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ストレートネックは、首の自然な湾曲が減少し、脊椎に不自然な負荷がかかる状態です。この状態では、首や背中の筋肉が過度に緊張し、黄色靱帯に持続的な引張応力が発生することがあります。持続的な機械的ストレスが、黄色靱帯骨化症(OLF)の進行を促すリスクを高める可能性があるとされています。正常な姿勢を保つことは、これらのリスクを軽減し、骨化症の進行を抑えるために重要です。
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猫背の人は、胸椎や腰椎のS字カーブが正常な状態よりも減少しています。これにより背骨がまっすぐになり、黄色靱帯には持続的な引張応力が発生します。この引張応力が続くことで、黄色靱帯の骨化が進行し、黄色靱帯骨化症を引き起こすリスクが高まります。正常な姿勢を保つことは、これらのリスクを軽減し、骨化症の進行を抑えるために重要です。
黄色靱帯骨化症の力学的なメカニズム②
平背や猫背による脊柱の自然なS字カーブの消失が黄色靱帯骨化症の原因だとすれば、なぜ、平背や猫背になるのかを考えなければなりません。シンプルに説明すると、以下のメカニズムです。
ヒールの高い靴や先が細い靴などが、足の自然な動きを妨げ、足指の変形を引き起こします。
足指が地面を正しく捉えられなくなり、バランスが崩れます。
足指の機能が低下すると、重心が後方にずれます。
重心の変化により、骨盤が後ろに傾き、正しい姿勢が維持できなくなります。
骨盤後傾によって、背骨全体のバランスが崩れ、猫背や反り腰の状態になります。
本来の脊柱の自然なカーブが消失し、脊椎を支える靭帯に負担がかかります。
背骨への持続的な負荷が黄色靱帯にストレスをかけ、骨化を促進します。
このメカニズムについて詳しくみていきましょう。
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かがみ指や浮き指になると、かかと寄りに体重が乗る(踵重心)ようになります。本来、足の裏は前方50%・後方50%の割合で体重が乗っています。足指の変形や機能不全があると、足指で体重を支えることができなくなるため、後方に体重が移動するわけです。
踵重心になれば後ろに姿勢が倒れそうになるのですが、体幹を前に倒したり後ろに反らせることでバランスを取ろうとします。これを姿勢制御ともいいます。そうすると平背や猫背になるのですが、背骨の生理的なS字カーブがなくなることで、背骨の骨同士をつないでいる靭帯に持続的な引張応力が発生することなのです。
姿勢の分類
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脊柱の弯曲の特性からロードシス(反り腰)、カイホロードシス(猫背+反り腰)、フラットバック(平背)、スウェイバック(猫背)の4つに分類しています。この分類は、一般的な姿勢分類として世界的に普及しています。
セルフチェック
姿勢のセルフチェック
まず、自分の真横からの姿勢をスマホなどで撮影してみましょう。スマホの中心点がカラダの中心にくるように撮影します。水平器の位置がおへその位置にくるようにすると良いでしょう。
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その次に、耳垂(耳たぶ)と足の外果(外くるぶし)を線で結びます。その直線の中に、①膝の中心、②大転子(股関節)、③肩峰(肩の中心)が通っていれば理想姿勢です。線をひきのが面倒であれば、定規などを耳たぶと外くるぶしの位置に合わせます。
③が、①と⑤を結んだ線よりも後ろにあれば猫背(骨盤後傾)
③が、①と⑤を結んだ線よりも前にあれば反り腰(骨盤前傾)
この姿勢だと黄色靱帯骨化症のリスクが高くなるので注意が必要です。
足趾機能不全とは
足の指(足趾)が正常に機能しなくなる状態を足趾機能不全といいます。通常、足の指は歩行や立位、バランスの保持において重要な役割を果たしますが、機能不全が生じると、これらの動作が困難になり、歩行や姿勢に問題が発生します。足の指がうまく動かない、足の指に力が入らない、と感じたら足趾機能不全です。まずは下の3つの動きが全てできるかどうか確認してみて下さい。
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親指がうまく曲げられない、ひらかない、上に上げることができないのであれば「親指の機能不全」
小指がうまく曲げられないとか、ひらかないのであれば「小指の機能不全」
第2〜4指が曲げられなかったり、ひらかないのであれば「2〜4指の機能不全」
足指の変形
足指は、立位や歩行時において体重を支える重要な役割を果たします。特に足のアーチは、体全体のバランスを保つために重要です。足指にはそれぞれの役割がありますが、足指が変形すると、足部の筋力が低下し、足のアーチが崩れ、足全体のバランスが乱れます。これが膝、腰、そして背中にまで影響を及ぼし、姿勢の悪化を招きます(Hand-Standing理論)。まずは自分の足指を観察し、外反母趾・内反小趾・浮き指・屈み指・寝指などの変形がないか確認しましょう。
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足指が下向きに曲がり伸ばすことができない
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足の親指が外側にくの字に曲がっている
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足の小指が内側(親指側に向かって)に曲がっている
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親指が他の指の爪と比べて上方向に向いている
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小指が地面から浮いている
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指の爪が横を向いている
セルフチェックシートで簡単チェック
外反母趾・内反小趾かどうかを簡単にチェックするシートもあります。A4サイズの用紙に印刷して、立った状態で足を乗せてみましょう。
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黄色靱帯骨化症の改善方法
黄色靱帯骨化症(OLF)の発症リスクを軽減するためには、日常生活での姿勢を適切に保つことが重要です。その中でも、「ひろのば体操」や「YOSHIRO SOCKS」を活用することで、姿勢をニュートラルポジションに戻し、脊椎にかかる負荷を減らすことが期待できます。
黄色靱帯骨化症の力学的なメカニズムが分かれば、その原因となるものに対してアプローチを行えば良いだけです。悪くなった部分だけを治療しても改善しないのは、原因となるものを排除できていないからです。
①靴の種類・履き方→正しい靴選び・正しい靴の履き方
②足指変形(かがみ指・浮き指)→ひろのば体操・YOSHIRO SOCKS
③後方重心 ④骨盤後傾 ⑤猫背/反り腰→小股歩き
姿勢の改善例
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ひろのば体操とは?
ひろのば体操は、足趾(足の指)の機能を改善するための体操で、姿勢や身体のバランスを整える効果があります。足の指を正しく使えるようになると、全身のアライメント(整列)が改善され、骨盤や脊椎への負荷が軽減されます。これにより、背骨にかかる過度な圧力を減らし、黄色靭帯骨化症の進行や症状の悪化を予防するのに役立ちます。
1日3回(1回5分程度)以上を目安に行うことを推奨しています。また、ひろのば体操のあとは足指が動きやすくなるため、足指のパー・グー・チョキの練習を5分程度行うことをオススメしています。
YOSHIRO SOCKSとは?
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YOSHIRO SOCKSは、足趾の機能や変形をサポートし、正しい歩行や姿勢を促進する特別な靴下です。足の指がしっかりと広がり、足全体が自然に使えるようになる設計になっています。これにより、足元から姿勢を改善し、脊椎への負荷を軽減します。1日8時間以上履くこと、6,000歩以上のウォーキングを推奨しています。
足趾機能不全の予防と日常生活での注意点
適切な靴選び
足趾機能不全を予防するためには、日常生活での足の使い方や姿勢に注意することが重要です。長時間の立ち仕事や歩行を避ける、適切な靴を選ぶ、定期的に足のストレッチやマッサージを行うなど、足にかかる負担を減らすことが求められます。適切な靴の選び方は、下記の記事を参考にしてみてください。男性の場合にはNew BalanceのM990、女性にはハルメクのYOSHIRO MODELをオススメしています。
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また、足の筋肉や関節を常に柔軟に保つために、ひろのば体操を日課にするのも効果的です。さらに、YOSHIRO SOCKSを日常的に使用することで、足の指を自然に動かせる環境を整え、足趾機能不全の予防につなげることができます。
足指の機能を回復させる歩き方
足趾機能不全の予防や改善には、歩き方を工夫することが重要です。その中でも「小股で歩く」ことが効果的とされています。大股で歩くと、足趾をうまく使えず、足の筋肉や神経に負担がかかりやすくなります。一方、小股で歩くことで、足指をしっかりと地面に着けることができ、足趾の機能を維持・強化することができます。
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・後ろ向きで歩く
・後ろ向きで歩く歩幅・スピードで前向きに歩く
・5分程度意識的に小股で歩く
左右の膝が前後に離れすぎないようにすることがコツです。小股で歩くことで、足の筋肉や関節が適切に動き、バランスが取りやすくなります。これにより、足趾機能不全の進行を防ぐだけでなく、全身の姿勢や歩行の安定性も向上します。普段の歩き方を見直し、意識的に小股で歩くことを習慣づけることで、足の健康を守り、日常生活の質を向上させることが期待できます。
黄色靱帯骨化症の手術後も続いた痛みが自力で治った!足指と姿勢改善で克服した成功体験談
私は、手術を受けたものの痛みやしびれが残り、車椅子生活を余儀なくされていた黄色靱帯骨化症の患者です。ケアマネージャーさんの勧めで、湯浅慶朗先生の指導を受け始めました。先生は、足指の変形が姿勢に影響を与え、脊椎に負担をかけていると説明し、私に「ひろのば体操」と「YOSHIRO SOCKS」を勧めました。これらを続けることで、体のバランスが整い、痛みやしびれが少しずつ改善。3ヶ月後には杖で歩けるようになり、6ヶ月後には日常生活がほぼ支障なく送れるまでに回復しました。
最初は効果を信じきれなかったものの、足指と姿勢が私の体全体にどれほどの影響を与えていたかが明らかになりました。足指が正しく使えるようになり、姿勢が自然な形に戻ると、脊椎への負担が減少したのか、私の症状は大きく改善されていきました。寝返り、起き上がり、立ち上がりが介助なしでもできるようになったのです。
手術をしても改善が難しいと言われていたしびれが、姿勢と足指を整えるだけでここまで変わるとは想像もしていませんでした。車椅子生活をしていた私が再び自分の足で歩けるようになり、日常生活を取り戻したこの体験は、本当に奇跡のように感じます。1人でトイレに行けるようになったことも、家族への負担を減らすことができて嬉しかったです。
今でも、ひろのば体操やYOSHIRO SOCKSを毎日欠かさず行い、再発防止と体調維持をしています。私の体験を通じて、黄色靱帯骨化症(特に手術後の後遺症)で悩む方に、姿勢と足指の重要性を伝えたいです。
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黄色靭帯骨化症の手術を受けても日常生活に支障がある方もいらっしゃるかと思います。私が担当した方も10数年前に手術を受けたのですが、少しずつ筋肉のこわばり・しびれ・痛みが強くなったそうです。
再手術が難しいと診断され、車椅子生活をされていました。外出をするにも介助する方がご高齢であること、自宅前の段差があること、車の運転ができないことがあり、1日のほとんどをベッドで過ごされていました。
ケアマネージャーさんからの紹介で来院されましたが、ご本人としては「身の回りのことを自分自身でできるようになりたい」という希望でしたが、思いの外、症状が改善したことに私自身も嬉しかったです。
全国的にみても数少ない疾患のため、私自身の症例数は1人なのですが、絶対に歩けるようにしたいという気持ちの方が強かったことと、ご本人もできることならトイレまで歩いて行けるようになりたいという気持ちが強かったので、相乗効果で回復したのだと思います。
基本的に足指の機能を取り戻すことに時間をかけ、歩くことは二の次にしていました。足指の柔軟性がほとんどなかったので、足指をストレッチするのに30分とか、長い時は1時間ほどしていたと思います。
ようやく膝の上に足が乗るようになって、自分でひろのば体操ができるようになるまでが苦労の連続でした。ひろのば体操をやるにも汗をかきながら大変なご様子でしたが、それからの回復は周りの方が驚くほどでした。
少しでも症状が改善できて本当に良かったと思います。