足指ドクターによる解説
YOSHIRO YUASA
湯浅慶朗
足指博士、足指研究所所長、日本足趾筋機能療法学会理事長、ハルメク靴開発者。元医療法人社団一般病院理事・副院長・診療部長。MRC認定歯科医院の顧問の経歴もあり。専門は運動生理学と解剖学。足と靴の専門家でもあり、姿勢咬合治療の第一人者でもある。様々な整形疾患の方(7万人以上)を足指治療だけで治してきた実績を持つ。
はじめに
鼻呼吸は、単に呼吸をするためだけでなく、全身の健康維持に多くの役割を果たしています。日常的に鼻呼吸を意識することで、身体の機能を最大限に活かし、健康を維持することができます。口呼吸だからといって、単に口を閉じるだけでは根本的に解決はしません。口呼吸を改善するためには、単に口を閉じるだけではなく、足指の機能を改善し、全身の姿勢をニュートラルポジションに戻すことが不可欠です。これにより、上気道の確保や口腔周囲筋のリラックスが促され、根本的な問題が解決されます。
概要
口呼吸は、鼻ではなく口を通じて呼吸することを指し、健康に悪影響を及ぼすことがあります。口呼吸は、姿勢の悪化、ストレートネック、鼻詰まり、アレルギーなどが原因で起こります。口呼吸は、乾燥による口腔内のトラブル、睡眠障害、疲労感の増加、集中力の低下、さらには免疫力の低下を引き起こす可能性があります。ここでは、なぜ足指が変形すると口呼吸になるのか、そのメカニズムや解決方法についてお話ししていきたいと思います。
症状
口呼吸の症状は多岐にわたります。まず、口腔内が乾燥しやすくなり、唇の乾燥や口臭、虫歯、歯周病のリスクが増加すると言われています。また、睡眠中の口呼吸は、睡眠時無呼吸症候群の原因となり、いびきや頻繁な目覚め、日中の疲労感や集中力の低下を引き起こすとされています。さらに、口呼吸は上気道の乾燥と炎症を招き、喉の痛みや咳が続くことがあります。
口呼吸による酸素摂取量
アメリカニュージャージーの歯科医、Yosh Jeffersonは、口呼吸が酸素供給量を18%減少させると述べています。口呼吸は、鼻腔で行われるべき空気の浄化や加湿が不十分になるため、酸素の取り込み効率が低下します。また、口呼吸によって一酸化窒素の生成が不足し、これが気道の拡張を妨げ、結果として酸素供給が減少します。この減少が全身の健康に悪影響を及ぼし、特に成長期の子供にとっては深刻な問題となります (Med Xpress)。
酸素供給力低下による症状
酸素供給力が18%低下すると、以下のような影響が考えられます:
身体的影響
1.疲労感の増加:
酸素が不足するとエネルギー生産が効率的に行われず、全身の疲労感が増加します。
2.集中力と認知機能の低下:
脳への酸素供給が減少することで、集中力や記憶力が低下し、学習や仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。
3.運動能力の低下:
筋肉への酸素供給が不足すると、運動中に早く疲れやすくなり、持久力が低下します。
健康リスク
1.睡眠障害:
酸素不足は睡眠時無呼吸症候群のリスクを高め、睡眠の質を低下させます。
2.免疫力の低下:
酸素が不足すると免疫システムが弱まり、感染症にかかりやすくなります。
3.心血管系への影響:
酸素不足は高血圧や心臓病のリスクを増加させる可能性があります。
酸素供給量の減少は、これらのさまざまな健康リスクを引き起こすため、適切な呼吸法や生活習慣の改善が重要です。
発生要因
90%以上の方は不良姿勢による口腔周囲の筋肉の問題です。口呼吸の発生要因として姿勢の悪さが大きく関与しています。猫背やストレートネックなどの不良姿勢は、首や上半身の位置を変化させ、上気道を圧迫します。これにより、鼻からの空気の流れが制限され、十分な酸素摂取が困難になります。その結果、口呼吸が促進されます。また、不良姿勢は舌骨筋群が下方に引っ張られる形になるので、よほど強く口を閉じることを意識をしないと、無意識下では口呼吸を引き起こす主要な要因となります。
メカニズム
シンプルに説明すると、①靴の種類・履き方→②足指変形→③踵重心→④猫背(反り腰)→⑤ストレートネック(頭が前に出る)→⑥上気道の閉塞/舌骨上・下筋群の伸長→⑦口呼吸というメカニズムです。
靴の種類や履き方などによって、靴の中で足がすべると、「かがみ指」や「浮き指」になります。かがみ指や浮き指になると体重が後ろに移動し「かかと重心」になるので、後ろに倒れそうな姿勢を上体を曲げることでバランスを取ろうとします。小指の変形がある場合には「猫背」、親指の変形がある場合には「反り腰」になりやすいです。正しい姿勢については以下の記事を参照してください。
足指がしっかりと広がって伸びていれば、前方に50%・後方に50%の体重がかかる理想的なバランスになります。しかし浮き指やかがみ指になると、地面に接地する面積が少なくなり、かかとに体重が移動します。
猫背や反り腰になると、頭も前に出してカラダのバランスを取ろうとします。これが頚椎前弯(けいついぜんわん)・ストレートネックと呼ばれるものです。頭が前に出た状態が続くと、頭を支えている筋肉が過剰に緊張して肩こりや首こりが発生します。首こりや肩こりについてはこちらの記事を参照してください。
このような顎上がりの姿勢でバランスをとるようになると、口腔周囲の問題を引き起こす原因になるのです。ここで重要なのは、舌骨上筋群と舌骨下筋群という筋肉があごの下にあるという点です。
舌骨筋下筋群とは?
まず体幹と舌骨を結ぶ筋肉があります。それが舌骨下筋群呼ばれ以下の4つの筋肉の総称です。
起始 | 停止 | 作用 | |
甲状舌骨筋 | 甲状軟骨 | 舌骨 | ・舌骨を引き下げる ・嚥下時に喉頭を引き上げる |
胸骨舌骨筋 | 胸骨柄と胸鎖関節 | 舌骨 | ・舌骨を引き下げる ・嚥下の最終段階で喉頭を舌骨を引き下げる。 |
肩甲舌骨筋 | 肩甲骨(肩甲切痕より内側の上縁) | 舌骨 | ・舌骨を引き下げる ・嚥下の最終段階で喉頭を舌骨を引き下げる |
胸骨甲状筋 | 胸骨柄(後面) | 甲状軟骨 | ・舌骨を引き下げる ・嚥下の最終段階で喉頭を舌骨を引き下げる |
筋肉には必ず起始・停止が存在します。起始とは、筋、とくに骨格筋の端(はし)が骨などに付いている場所のうち、体の中心に近い(=近位にある)、あるいはその筋が収縮したときに、より小さくしか動かない骨のある側の端のこと。 その筋の起始でない側の付く部位のことを停止または付着といいます。
舌骨上筋群とは?
舌骨上筋群とは、頭蓋または下顎骨と舌骨を結ぶ筋肉で、以下の4つの筋肉の総称です。
起始 | 停止 | 作用 | |
オトガイ舌骨筋 | 下顎骨 | 舌骨 | ・嚥下時に舌骨を前方に牽引する ・開口を補助する |
顎舌骨筋 | 下顎骨 | 舌骨 | ・嚥下時に舌骨を前方に牽引する ・咀嚼時に開口と側方運動を補助する |
顎二腹筋 | 下顎骨 | 舌骨 | ・ 嚥下時に舌骨を挙上させる ・下顎骨の引き下げを補助する |
茎突舌骨筋 | 側頭骨 | 舌骨 | ・ 嚥下時に舌骨を挙上させる ・下顎骨の引き下げを補助する |
主に嚥下の際に舌骨を舌骨を前方に挙上させる作用があります。嚥下動作においては非常に重要な筋肉です。特に舌癖や異常嚥下癖には深い関連性があり、MFTだけでは解決できない理由が理解できると思います。また開口筋としても働いているため、収縮することにより口を開ける作用があります。
- 猫背と舌骨上筋群の関係
舌骨上筋群の中でも顎舌骨筋とオトガイ舌骨筋に注目してみましょう。起始が下顎骨であるということがポイントになります。下顎骨に連結しているということは、下顎骨の位置、または舌骨との距離によって影響を受けるということです。
筋肉には至適長という生理学的な長さがありますので、猫背や反り腰により顎上がりの姿勢となると、起始と停止の距離が伸びることによって過剰に緊張したり伸長されてしまいます。その結果として舌骨に付着した舌骨上筋群は収縮を伴わなくても、下顎骨を引き下げる作用が強くなったり、嚥下動作の際に舌骨の挙上を阻害する(異常嚥下癖を引き起こす原因になる)ことがあります。正しい嚥下機能のためには、舌骨と下顎骨の位置関係にも注意をすることが大切であることがわかります。
- 猫背と舌骨下筋群の関係
舌骨下筋群の中でも肩甲舌骨筋と胸骨舌骨筋に注目してみましょう。起始が肩甲骨・胸骨であるということがポイントになります。肩甲骨や胸骨に連結しているということは、肩甲骨や胸骨の位置、または舌骨との距離によって影響を受けるということです。
- 猫背による下顎後退
猫背・顎上がりの姿勢になると、舌骨上筋群や舌骨下筋群が伸長されることにより舌骨が後方・下方に牽引されることがわかったかと思います。これは頭部と体幹のアライメントの影響を受けているからです。
①猫背によって顎上がりの姿勢は頚椎の過剰な前弯・ストレートネックを引き起こします。頭部が前方に移動した状態です。上位頚椎が過伸展した姿勢になると、広頚筋が伸張をされます。
②これにより、広頚筋の停止部である下顎骨下縁、咬筋筋膜、笑筋、口角下制筋、下唇下制筋下が下方に牽引するので、それらの筋肉を介して口輪筋も引っ張られる状態になります。
③広頚筋が引っ張られれば、下顎が下方・後方に引かれるので開口位(口呼吸)になりやすくなり、連動して口唇も下方へ引かれることになります。
猫背や反り腰の姿勢のお子様や高齢者で口呼吸が多いのも、単に筋力だけの問題ではなく解剖学的なアライメントが原因となっていることが説明できます。MFTによる効果が低い場合は、これらのアライメントをしっかりと観察することにより、より容易に口唇閉鎖力を向上させたり、鼻呼吸を促すことができるようになります。
ストレートネックによる筋肉の張力
張力-長さ曲線は、筋肉の張力(力)とその長さの関係を示すグラフです。この曲線は、筋肉が生成できる最大張力が筋肉の長さに依存することを示しています。
筋肉の収縮と張力
最適な長さ(至適長): 筋肉が生成できる最大張力は、その最適な長さ(通常、安静時の長さ付近)で達成されます。この長さでは、アクチンとミオシンのフィラメントが最も効果的に相互作用します。
過伸展と過収縮: 筋肉が最適な長さから外れると(過伸展または過収縮)、生成される張力は低下します。過伸展時にはフィラメント間の重なりが少なくなり、過収縮時にはフィラメント間の重なりが多すぎて効果的な相互作用が阻害されます。
つまり筋肉の長さによって張力が変わるということです。筋力を最大発揮させるためには、適切な筋肉の長さというものが存在しています。それが「生体長」といいます。
生体長とは?
関節可動域の中間の筋肉の長さのことです。活動張力が頂点(筋力が100%発揮できる)のところが生体長で、筋長100%のときを言います。上腕二頭筋(力こぶといわれるところ)の場合、肘関節の全可動域は150度(屈曲145度、伸展5度)です。ちょうど中間位を考えると屈曲75度くらいのところが上腕二頭筋の生体長になります。重たい物を抱えるとき肘をまっすぐに伸ばしたり、過度に曲げるよりも力が入りやすいのは生体長が関係しているんです。
活動張力(筋出力)は生体長の時に最大発揮する?
筋肉の長さが短い場合(中間位より緩んでいる状態)や、長い場合(中間位より伸ばした状態)では張力は減少します。数字で表すと筋肉の長さの100±60%(40%以下・160%以上)です。つまり、筋肉の長さが伸びすぎていても縮みすぎていても、うまく活動張力(筋出力)を発揮できないということです。
張力ー長さ曲線を計算してみよう!
立位姿勢をそのまま睡眠時姿勢として再現することが理想的であると言われているが、それにも注意が必要です。立位姿勢が理想姿勢であるのであれば、理想姿勢を固定させることができるので時に問題は生じないと考えます。しかし不良姿勢の場合には、悪い姿勢をそのまま固定させることにもつながり、固定することにより姿勢変化を促すことができない可能性があるため、まずは立位姿勢を理想姿勢に持っていくことが必要です。
例えば2点間の距離を計算するとします。睡眠時姿勢で飲み込みが行いやすい頭の高さが静止張力が100%に近い状態であり、活動張力も100%であると仮定し、その距離が7cmとします。次に立位姿勢において自然な状態で2点間の距離が9cmであるとします。その場合に静止張力にどれくらいの差があるかを見ていきます。計算方法は9cm÷7cm=128%となります。
静止張力が128%のとき、活動張力(筋出力)がどれくらいかというと、上の図を見ると78%(筋出力が22%低下した状態)のところになります。
口呼吸と口唇閉鎖力
口呼吸と鼻呼吸を行う方の口唇閉鎖力のデータがあります。乳幼児ではその差は小さく4%、男女差も10%ほどあり、男性は鼻呼吸の方より口呼吸の方のほうが24%低下、女性では鼻呼吸の方より口呼吸の方のほうが13%低下している。平均すると13%ほどの低下率で、想像よりもその数値は小さいことが理解できます。
例えば上記のような姿勢のAさんの口唇閉鎖力が23.4Nであると仮定します。これが姿勢変化による筋肉の張力で低下している可能性があります。本来の静止張力が30Nである可能性があり、それは22%にもなり、最初に示した「口唇閉鎖力と口呼吸」の項で、口呼吸と鼻呼吸の方の口唇閉鎖力の差が平均13%であることを考えると、姿勢アライメントの変化による口唇閉鎖力の低下の方がはるかに大きいということなのです。
姿勢が悪いと上気道が狭くなる
猫背やストレートネック(首の自然な湾曲が失われる状態)などの姿勢の悪化は、頭の位置が前方に出ることを引き起こします。この前方頭位は、気道を圧迫し、狭くする原因となります。下の写真を見てください。
姿勢が良い人と、姿勢が悪くストレートネックになっている人の「上気道(鼻からの空気の通り道)」を比較した物です。姿勢が良い人の上気道は広く、ストレートネックの人の上気道は狭くなっているのがわかります。そのため、上気道が狭くなると、鼻からの酸素摂取量では足りなくなるため、口呼吸をすることがあります。
口呼吸が悪いという理由だけで、口腔機能訓練を行ったり、口を閉じることを習慣化したり、口テープをすると、慢性的に酸素摂取量が足りなくなる恐れがあり、それこそ健康に害を及ぼす危険性があるのです。また、姿勢が悪いからといって体幹トレーニングをしても、足が根本的な原因なので意味があありません。まずは足指の変形を改善し、正しい姿勢になってもなお口呼吸の癖が残る場合に口腔機能訓練が有効になると思います。
- 口呼吸とアデノイド
歯科の分野では、「口呼吸によってアデノイドが肥大し、姿勢が悪くなる」という意見も聞かれます。上記の写真は体内における感染シミュレーションにより、鼻呼吸と口呼吸とでどの器官にウィルスが付着しやすいかを見たものです。鼻呼吸では上気道付着量が大きく、口呼吸では肺へのウィルス到着量が多いことがわかっています。つまり鼻呼吸においても上気道へのウィルスが付着すること、そして口呼吸と比較しても鼻呼吸の方が付着量が多いこと。アデノイドや上咽頭炎が口呼吸で起こりにくいことが示唆されます。ただし吸い込んだウィルスの27%は鼻から排出されることを考えれば、この部分においては可能性がないわけではありません。しかし、口呼吸でアデノイドが肥大して姿勢を悪くするという機序は考えにくいといえるのです。
このように足指や姿勢の問題を解決せずに、単純に鼻呼吸を強制することが無意味であることがお分かりいただけたでしょうか。大切なことは、口呼吸になった原因である足指を正していくことです。
口呼吸を改善する「YOSHIRO SOCKS」
YOSHIRO SOCKSは、口呼吸を改善するための効果的なツールの一つです。これらの矯正サポートソックスは、足指の変形を改善し、全身の姿勢を整えるのに役立ちます。以下のような効果が期待できます。
YOSHIRO SOCKSの効果
1.足指の機能改善:
外反母趾角
開始時の外反母趾角は19.1°
8週間後の外反母趾角は12.3°
8週間目の平均値は、開始時と比べて、外反母趾角が6.8°改善。外反母趾角改善の作用が確認されました。
※開始前と8週間目の平均値の差
※グラフは臨床試験における平均値の推移
※結果には個人差があり、100%の結果を保証するものではありません。
足指を広げることで、正しい足の使い方を促進し、体全体のバランスを改善します。これにより、姿勢が良くなり、呼吸も自然に鼻呼吸に近づきます。
2.姿勢の改善:
背筋力
開始時の背筋力は71.6kg
8週間後の背筋力は82.9kg
8週間目の平均値は、開始時と比べて、背筋力が116%改善。姿勢の改善の作用が確認されました。
※40代女性の平均背筋力は80kg
※開始前と8週間目の平均値の差
※グラフは臨床試験における平均値の推移
※結果には個人差があり、100%の結果を保証するものではありません。
足指の変形が改善されると、体の重心が正しく保たれ、猫背やストレートネックの改善が見込まれます。これにより、上気道の通りが良くなり、口呼吸から鼻呼吸への移行がスムーズになります。
3.呼吸機能の向上:
口を閉じる力
開始時の口唇閉鎖力は5.6N
8週間後の口唇閉鎖力は7.9N
8週間目の平均値は、開始時と比べて、口を閉じる力が1.41倍に向上。口腔機能の改善の作用が確認されました。
※口唇閉鎖力が弱くなると、口の中が乾燥してう蝕や歯周疾患などに罹患しやすくなったり、歯を取り囲んでいる口唇・頬と舌の力のバランスが崩れて歯並びやかみ合わせが崩れてしまう。
※開始前と8週間目の平均値の差
※グラフは臨床試験における平均値の推移
※結果には個人差があり、100%の結果を保証するものではありません。
姿勢が改善されると、胸郭や腹部の筋肉が適切に機能し、より深い呼吸が可能になります。これにより、酸素供給量が増加し、全身の健康が向上します。
具体的な使用方法
1.ひろのば体操との併用:
YOSHIRO SOCKSを使用しながら、ひろのば体操を行うことで、足指の機能改善と姿勢矯正がより効果的に行えます。これにより、呼吸が改善され、全体的な健康状態が向上します。
2.日常生活での意識:
日常生活での歩き方や姿勢にも注意を払い、足指を意識的に使うことが重要です。適切な靴を選び、正しい姿勢を維持することで、長期的な改善が期待できます。
症例
歯科医院に来られた猫背の女の子。屈み指を改善させると2週間ほどで猫背が改善しました。
足指を見るとこのような感じで、かなり屈んでいることがわかりますね。
口元を見ると初診時には口呼吸になっていますが、2週間後には自然に口を閉じれるようになっています。
さいごに
以前、私は呼吸専門クリニックやMRC認定歯科医院に勤めていたことがありました。そこで疑問を感じていたのは、「姿勢が悪くて口呼吸になっているだけなのに、どうして口ばかりに焦点を当てて治療をしているのだろう?」ということでした。確かに、意識的に無理やり口を閉じれば「鼻呼吸」にすることはできます。歯科院でも口テープやMFTを推奨していますが、それで歯列が良くなったとか、姿勢が良くなった人をみたことがありませんでした。
結局は「床矯正(しょうきょうせい)」や「拡大床(かくだいしょう)」を使用して無理やり顎を広げて歯を並べるというものでした。無理に顎を広げると、口元が突き出てしまったり、噛み合わせが悪くなる原因にもなります。トレーナー矯正というものもありますが、それ単体では効果はないし、「床矯正」や「拡大床」を行うための準備段階のような物なので、MFTやトレーナーって不要なんじゃないの?と思うこともしばしばでした。
うちの子どもは7歳の時に「狭窄歯列」と「反対咬合」と診断されました。その時に「トレーナー」と「拡大床」を勧められましたが、丁重にお断りさせて頂きました。歯が綺麗に並ぶ条件というのは、単純に全身の骨の正しい成長であり、それに伴いあごが正しく成長していくのです。つまり、全身の正しい成長のために最低限何が必要かということを考えて、シンプルに実践することのほうが負担も少なく、時間の無駄もありません。MFTやトレーナーを使用したからといって、アゴだけ成長するというのはありません(倒れていた歯が起きるというのはあります)。
私の子どもには「ひろのば体操+YOSHIRO SOCKS」だけを15歳になるまでやらせただけです。食事のこともやりましたが、それほど厳しいものではありませんし、制限などもありません。口腔機能訓練もやったこともありませんし、運動もほとんどしていません。それでも歯は綺麗に並び、虫歯や歯周病になったこともなく、歯科検診で引っかかることもありません。結果に対するアプローチよりも、原因に対するアプローチの方が確実に治りますが、歯科医院でそれをすることはまずありません。