【医療監修】脊柱管狭窄症と骨盤後傾の関係― 腰が逃げられなくなる人の共通構造

はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
脊柱管狭窄症について相談を受けていると、多くの方が同じような悩みを口にされます。
- 姿勢には気をつけている
- 背筋は伸ばすようにしている
- 猫背にならないよう意識している
それでも、
- 立っていると腰がつらい
- 歩くとだんだんしんどくなる
- 夕方になるほど症状が強くなる
という状態が続いている人は少なくありません。
この背景には、
「骨盤後傾」という見逃されやすい構造的問題
が関わっていることが多くあります。
この記事では、
- 骨盤後傾とは何か
- なぜ脊柱管狭窄症と相性が悪いのか
- なぜ治療を受けても安定しにくいのか
を、恐怖ではなく構造整理として解説していきます。
骨盤後傾とは何か
骨盤後傾とは、簡単に言えば、
骨盤が後ろに倒れ、腰椎の自然なカーブが失われている状態
を指します。


横から見ると、
- 腰の反りが少ない
- 背骨全体が直線的
- お尻が下がって見える
といった特徴が見られます。



一見すると、
- 猫背ではない
- 背筋は伸びている
- 姿勢は悪くなさそう
に見えるため、
本人も周囲も問題に気づきにくい
のが骨盤後傾の厄介な点です。
なぜ骨盤後傾だと脊柱管狭窄症が不安定になるのか
脊柱管狭窄症では、

- 神経の通り道が狭くなっている
- その周囲に負担が集中しやすい
という前提があります。
ここに骨盤後傾が加わると、構造的に次のことが起こります。
腰椎のカーブが減少する
↓
背骨が衝撃を分散できなくなる
↓
動きの逃げ場がなくなる
結果として、
立位・歩行時の荷重を、腰椎が直接受け止める構造
が完成してしまいます。
これは、
「腰がズレる」「狭いところに圧が集まる」
というより、
腰が“支え役”を引き受けてしまっている状態
と言った方が正確です。
「安静にしても変わらない」理由はここにある
骨盤後傾がある人の多くが、
- 安静にしても根本的に変わらない
- リハビリ中は楽だが戻る
- 良い日と悪い日を繰り返す
という経過をたどります。
これは治療が悪いのではなく、
日常生活に戻った瞬間、同じ構造が再開される
ためです。
立つときも、
- 骨盤が動かない
- 腰で踏ん張る
- 足元で支えられない
という条件が揃っていると、
痛みが落ち着いても
再び負担が積み重なっていきます。
この点については、治療の誤解という視点から以下の記事で詳しく整理しています。
▶︎ 【医療監修】なぜリハビリや電気治療を続けても良くならないのか
― 痛みが消えても「構造」が変わらない本当の理由

骨盤後傾は「腰だけ」の問題ではない
重要なのは、骨盤後傾が
骨盤単独で起きていることはほとんどない
という点です。
多くの場合、
- 足元で地面を捉えられていない
- 足指が接地していない
- 外側重心になっている
といった状態が背景にあります。
足で支えられないため、
骨盤が後ろに倒れて安定を取る
↓
腰が固定される
↓
背骨の逃げ場が消える
という連鎖が起こります。
この「足元→骨盤→背骨」の流れは、
脊柱管狭窄症を慢性化させる共通土台でもあります。
▶︎ 【医療監修】脊柱管狭窄症を慢性化させる足指変形
― 外反母趾・浮き指・屈み指という共通土台

骨盤後傾と似て非なる「平背・反り腰」との違い
骨盤後傾は、しばしば
- 平背(フラットバック)
- 反り腰
と混同されます。
しかし実際には、
- 骨盤後傾:支えを失った結果の固定
- 平背:背骨全体の可動性低下
- 反り腰:一部への過剰集中
と、構造の意味が異なります。
それぞれの違いについては、以下の記事で個別に整理しています。
▶︎ 【医療監修】脊柱管狭窄症と平背(フラットバック)の関係
― 背骨のカーブが消えると何が起きるのか

▶︎ 【医療監修】脊柱管狭窄症と反り腰の関係
― 一見よさそうな姿勢が負担を増やす理由

骨盤後傾がある人に多い日常のサイン
次のような感覚がある場合、骨盤後傾が関与している可能性があります。
- 立っていると腰が重い
- 座ると楽だが立つとつらい
- 歩くと腰に力が入りやすい
- 足指で地面を捉えている感じがない
これらはすべて、
腰が本来以上に役割を背負っているサイン
です。
まとめ|骨盤後傾は「原因」ではなく「結果」である
骨盤後傾は、単なる姿勢のクセではありません。
- 足元で支えられない
- 骨盤が安定しない
- 腰が支え役になる
という流れの
結果として現れる構造です。
脊柱管狭窄症を考えるとき、
- 痛みの場所
- 画像所見
だけで判断するのではなく、
どこで体を支えているか
という視点を持つことが重要です。
骨盤後傾は、そのヒントを最も分かりやすく示してくれるサインの一つです。


