【医療監修】寝指は手術だけ?──「切る前に整理すべきこと」と、手術が検討される本当の条件

はじめに|「このまま放っておいて大丈夫ですか?」
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
寝指について相談を受けていると、
一定数、必ずこう聞かれます。
- これって手術が必要ですか?
- いずれ切らないといけないんでしょうか?
- 今のうちに病院に行った方がいいですか?
不安になる気持ちは、とても自然です。
ただし結論から言うと、
寝指=すぐに手術が必要
というケースは、決して多くありません。
この記事では、
- 寝指で手術が検討されるケース
- 手術が選択されやすい誤解
- 切る前に必ず整理しておくべき視点
を、臨床と構造の両面から整理します。
なお、寝指そのものの原因や、
体操・靴・インソール・テーピングなどを
どう判断すればよいかについては、
以下の記事で全体像を整理しています。
▶︎ 【医療監修】寝指はどうすればいい?── 小指が横を向く原因と「やっていいケア・避けたい対処」の判断ガイド

結論|寝指は「手術が第一選択」ではありません
最初に結論です。
寝指は、
- 進行しても
- 変形が固定していても
それだけで手術が必要になる状態ではありません。
多くの場合、
- 痛み
- 炎症
- 皮膚トラブル
- 日常生活への支障
こうした「別の要因」が重なったときに、
はじめて手術が検討されます。
そもそも寝指の手術とは何をするのか
寝指(カーリートゥ)で行われる手術は、主に
- 腱の処理
- 関節の矯正
- 骨の配列調整
といったものです。
目的は、
- 指の向きを変える
- 靴に当たらないようにする
- 皮膚トラブルを減らす
といった「形状と接触」の問題を解消することです。
重要なのは、
使われ方を再教育する手術ではない
という点です。
手術が検討されやすいケース
臨床的に、手術の話が出やすいのは次のような場合です。
① 靴に当たって強い痛みが出続ける
- どの靴でも当たる
- 小指の外側が常に炎症を起こす
- 靴を履けないレベルの痛み
このようなケースでは、
生活の質を守る目的で手術が検討されます。
② タコ・魚の目・皮膚トラブルが慢性化している
- 皮膚が繰り返し傷つく
- 潰瘍に近い状態になっている
- 感染リスクが高い
といった場合も、
局所処置としての手術が選択されることがあります。
③ 他の足部変形と複合している
- 内反小趾
- 強い開帳足
- 外反母趾との併発
など、複数の変形が絡む場合、
全体のバランス調整の一環として
手術が検討されることもあります。
「変形している=切るしかない」という誤解
非常に多い誤解があります。
それは、
- 形が戻らない
- 指が横を向いたまま
- 固まっている
= 手術しかない
という考え方です。
しかし寝指は、
位置の問題というより、使われ方の問題
として固定しているケースがほとんどです。
そのため、
- 手術で一度形を変えても
- 歩き方・荷重が変わらなければ
- 再び似た方向に負荷がかかる
という可能性は残ります。
手術をしても「環境」が変わらなければ再発する理由
寝指の背景には、
- 足が靴の中で滑る
- 外側荷重が強い
- 小指が支点として使われていない
といった条件があります。
これらが変わらないまま手術をすると、
- 形は整った
- でも使われ方は同じ
という状態になります。
結果として、
- 違和感が残る
- 別の部位に負担が移る
- 安定感が出ない
といった相談につながるケースも見られます。
切る前に必ず整理しておくべき3つの視点
手術を考える前に、
最低限整理してほしいポイントがあります。
① 痛みの原因は「寝指そのもの」か?
実際には、
- 靴の当たり
- 室内履き
- 外側荷重
が主因であるケースも非常に多いです。
▶︎ 関連記事
【医療監修】寝指が痛い時にやってはいけないこと

② 日常環境は変えられているか?
- 靴のサイズ
- 靴紐の使い方
- スリッパの有無
- 靴下の滑り
ここを変えずに手術を選ぶのは、
原因を残したまま結果だけを変える選択になります。
▶︎ 関連記事
【医療監修】寝指を悪化させない靴の選び方

【医療監修】スリッパが健康と姿勢に与える影響とは?

③ 「治したい」のか「困っている」のか
とても大切な視点です。
- 見た目が気になる
- 将来が不安
- でも今は生活に支障はない
この場合、
急いで切る理由はありません。
一方で、
- 痛みで歩けない
- 靴が履けない
- 皮膚トラブルが続く
という場合は、
医療的介入を含めた判断が必要になります。
手術は「最終手段」であって「失敗」ではない
誤解してほしくない点があります。
私は、
- 手術はダメ
- 切るのは間違い
と言っているわけではありません。
必要な場面では、正しい選択です。
ただし重要なのは、
- 何のために
- どこまで改善したいのか
- 手術後に何を変えるのか
ここを整理せずに選ぶと、
満足しにくくなる、という事実です。
手術を検討するかどうかは、
寝指全体の中では「最終判断」にあたります。
今の段階で何を優先すべきか、
手術以外の選択肢を含めた整理は、
以下の記事を起点に考えてください。
▶︎ 【医療監修】寝指はどうすればいい?── 伸ばす?鍛える?放置?迷った人のための判断ガイド

まとめ|寝指は「切るかどうか」より「どう使うか」
寝指において大切なのは、
- 形を戻すこと
- 真っ直ぐにすること
その前に、
小指が無理に働かなくて済む使われ方
を取り戻すことです。
手術は、
- それでも困るとき
- 日常生活が守れないとき
に、初めて現実的な選択肢になります。
まずは、
- 環境
- 荷重
- 歩き方
ここを整理したうえで、
必要なら医療と相談する。
それが、
寝指と向き合う最も安全な順番です。


