足指ドクターによる解説
YOSHIRO YUASA
湯浅慶朗
理学療法士、足指博士、足指研究所所長、日本足趾筋機能療法学会理事長、ハルメク靴開発者。元医療法人社団一般病院理事・副院長・診療部長。専門は運動生理学と解剖学。足と靴の専門家でもあり、姿勢咬合治療の第一人者でもある。様々な整形疾患の方(7万人以上)を足指治療だけで治してきた実績を持つ。
トゥスプリングは、運動靴を含むほとんどの靴に備わっていて、靴のつま先を変形させる靴の特徴です。トゥスプリングとは、靴のつま先部分が地面または支持面からどれだけ離れているかのことです。ほとんどの種類の履物におけるトゥスプリングの現在の業界の標準は 15 度です。つまり、 ほとんどの靴は、足指を不自然に伸びた(15度に上がった)位置に保持、または固定されています。
固定化が問題となる理由
この15度という角度でのトゥスプリングの固定化は問題があります。なぜなら、つま先はバランスのとれた腱の引っ張りシステムで機能しているからです。足指は上から引っ張る腱と下から引っ張る腱のバランスが完璧にとれています。足指を伸ばした(15度に上がった)位置に固定する従来の靴を何年も履いていると、足指の上部の腱は、足指の下部と側面の腱よりも引っ張りが強くなります。 この不均衡は、 足の指の部分が細くなったりする靴の悪影響と相まって 、屈み指や浮き指として総称されるさまざまな足指の変形や、下肢と膝の特定の問題を引き起こす可能性があるのです。
足の指の付け根への局所的な圧力
靴底が厚く、柔らかい靴底で、不自然なトゥスプリングが付いている靴を履くということは、足の指の付け根に非常に大きな圧力がかかることを意味します。この局所的な圧迫は、神経腫を含む多くの異なる母趾球の問題につながる可能性があります。かかとから足指先まで完全にフラットな靴は、体重の力を前足全体に分散させ、足の指の付け根と、この部分を通る神経や血管などの敏感な組織への負担を軽減します。
ただ注意して欲しいのは、すでに足指の変形があり、踵重心になっている人にとっては、フルフラットで靴底が厚い靴は足の健康にとって悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、靴の設計においては、靴底の高さとトゥスプリングの角度を緻密に計算されたものを選ぶ必要があるのです。
ハルメクと共同で開発した靴には、緻密に計算をして設計されたYOSHIRO MODELというものがあります。YOSHIRO MODELは、かかとと前足部(つま先を含む)を少し前傾にし、足と足首を安定させ、体重の力を足全体に分散させ、自然なアーチサポートを可能にするインソールを搭載してます。ニュートラルポジションプラットフォームと、簡単に曲げたりねじったりできるソール、足指の部分が最も広いボックスを組み合わせた靴は、足を強化し、足を快適で健康な状態に保ちます。