【医療監修】扁平足にインソールは効果ある?楽になるのに戻る理由と正しい考え方

はじめに|インソールでいいのか迷っている方へ
こんにちは。
足指研究家の湯浅慶朗です。
扁平足といわれて、
インソールを勧められたことはありませんか。
長く歩くとすぐ疲れる
立っているだけで不安定になる
土踏まずが潰れていると言われた
こうした悩みから、
「インソールを入れた方がいいのかな」
と考えて検索された方も多いと思います。
実際にインソールを使って、
歩きやすくなった
少し楽になった
と感じた方もいるはずです。
ただその一方で、
外すと元に戻る
結局変わっていない気がする
そんな違和感を感じている方も少なくありません。
この記事では、
インソールを否定するのではなく、
「楽になること」と「足が変わること」の違いを、
構造と研究の両面から整理していきます。
結論|インソールは「補助」にはなるが「構造」は変わらない可能性がある

まず結論からお伝えします。
インソールは、
足の負担軽減や安定性の補助として
役立つ可能性があります。
しかし、
足の構造そのものが変わるかについては、
明確なエビデンスは十分とはいえません。
つまり、
履いている間は楽になる可能性はあるが、
足の使い方が変わらなければ状態は戻りやすい
ということです。
扁平足に対するインソールの効果(論文ベース)
短期的には負担軽減の可能性
足底板(インソール)は、
歩行時の負担軽減や圧分散に関与する可能性が報告されています。
アメリカを中心とした研究チームによる歩行解析では、インソール使用によって足底圧の分布が変化し、局所的な負担が軽減される可能性が示されています。
さらに、
Nature系列の学術誌「Scientific Reports」に掲載された研究では、インソール装着により筋疲労が軽減される可能性が報告されています。
つまり、
履いている間は楽になる可能性がある
という点は、
研究的にも一致しています。
長期的な有効性は明確ではない
ここが重要です。
オランダの研究グループ Minettchen Herchenröderら(2021年)は、成人扁平足に対するインソールの効果を複数の研究から統合分析しました。
Evidence for foot orthoses for adults with flatfoot: a systematic review
その結果、
「有効性を示す十分なエビデンスはない」
と結論づけています。
つまり、
長期的に構造が変わるかどうかは
はっきりしていないのが現状です。
さらに、
オランダの研究者 Oerlemans ら(2023年)は、児童および成人の可動性扁平足を対象に、足底板(インソール)の効果を複数の研究から統合的に分析しました。
その結果、
成人では痛み軽減の可能性は示されたものの、
研究間のばらつきが大きく
全体として有用と断定することはできない
と結論づけられています。
動きは変わるが機能は変わらない可能性
バイオメカニクス分野の研究では、インソールは歩行時の関節角度や動きには影響するが、足の機能そのものの変化は限定的と報告されています。
つまり、
動きは変わる
負担は減る
しかし構造は変わりにくい
ということです。
外から支えることで起こる変化
足のアーチは筋肉で支えられている
足のアーチは、
骨だけではなく筋肉によって支えられています。

アメリカのバージニア大学の研究者 Headleeらは、足の内在筋を疲労させる実験を行い、アーチの低下(navicular drop増加)を確認しました。
Fatigue of the plantar intrinsic foot muscles increases navicular drop
つまり、
アーチは筋肉で支えられている構造
です。
支え続けると筋肉はどうなるか
さらに、
ウィルフリッド・ローリエ大学のKostas Protopapasらの研究では、長期間の足底サポート使用により、足部内在筋の断面積が減少する可能性が報告されています。



これは、
支える
↓
使わない
↓
弱くなる
という流れを示唆しています。
扁平足の本当の原因|足指が使われていない状態
扁平足は、
単に土踏まずが潰れている状態ではありません。


本質は、
足の使い方です。
本来の足は、
足指で地面を捉える
前足部で支える
アーチで分散する
という順番で機能します。
しかし、
浮き指や屈み指になると、
足指が使われない
前足部で支えられない
状態になります。

その結果、
荷重が後方へ逃げ
アーチが維持できなくなる
これが扁平足です。
足指機能と扁平足の関係(エビデンス)
足趾筋力と扁平足
京都大学大学院医学研究科の研究者 Tashiroらは、被験者の足趾把持力を測定し、扁平足の群では足指の筋力が有意に低いことを報告しています。
Children with flat feet have weaker toe grip strength than those having a normal arch
足趾変形と足部機能
オーストラリアの研究者Karen J. Mickleらは、高齢者の足部機能を調査し、足趾変形や筋力低下が足部機能低下と関連することを示しました。
つまり、
足指が使われない
↓
前足部が使えない
↓
アーチが支えられない
という流れが成立します。
臨床データから見た扁平足の変化(東京大学との共同研究)
ここまで、論文ベースで
「関連」が示されていることを解説しました。
では実際に、
足指にアプローチするとどうなるのか。
東京大学名誉教授 石井直方先生(運動生理学)の助言のもと、2020〜2022年に行った研究では、足指機能に着目した介入を継続した結果、扁平足を含む足部の状態に変化が見られる傾向が確認されています。

扁平足
開始時の足長は平均210mm
24ヶ月後の足長は平均215mm
24ヶ月目の平均値は、開始時と比べて、足長に平均5mmの変化が見られました。
※開始前と24ヶ月目の平均値の差
※グラフは臨床試験における平均値の推移を示したものです
※結果には個人差があり、すべての方に同様の変化が生じるわけではありません
※本データは石井直方名誉教授(東京大学)の助言を得て実施された研究に基づくものです
開始時の足長は平均210mm
24ヶ月後は平均215mm
平均で約5mmの変化が見られました。
この変化が意味すること
足長の変化は単なるサイズ変化ではなく、
前足部の使われ方
アーチバランス
に影響が出た可能性を示唆します。
つまり、
足指が使われることで
足全体の構造に影響が出た可能性
があるということです。
※本データは平均値であり個人差があります
※すべての方に同様の変化が生じることを示すものではありません
なぜインソールだけでは変わりにくいのか

ここまでを整理すると、
インソールは外から支えるもの
足は本来内側から支える構造
という違いがあります。
そのため、
楽になる
依存する
外すと戻る
という状態になりやすくなります。
扁平足を考えるときに大切な視点
扁平足を考えるときは、
アーチを見るのではなく
足の使い方を見ることが重要です。
特に、
足指が接地しているか
踏み返しができているか
靴の中で滑っていないか
これらが大きく影響します。
関連記事
▶︎ 扁平足の本当の原因

▶︎ 靴が足に与える影響

▶︎ インソールの限界

よくある質問
- 扁平足はインソールで治せますか?
-
一時的な安定や負担軽減は期待されますが、
構造そのものが変わるかについては明確なエビデンスはありません。
- なぜインソールを外すと戻るのですか?
-
足の使い方、特に足指機能が変わっていないためと考えられます。
- 扁平足を改善するにはどうすればいいですか?
-
足指が自然に使われる環境を整えることが重要と考えられます。
まとめ|支えるだけでなく「使える足」へ
インソールは、
補助として役立つ場面はあります。
しかし、
足の構造は本来、
自分の筋肉で支えるものです。
外から支えるだけでは、
その機能は変わりにくい。
だからこそ、
支えるだけでなく
使える状態を取り戻す
という視点が重要になります。
扁平足を考えるときは、
土踏まずではなく、
足指の使い方に目を向けてみてください。














































































































