【医療監修】体重よりアライメントが重要な理由― 体重管理だけでは変形性膝関節症が止まらない構造的背景

はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
変形性膝関節症(膝OA)の相談で、非常によく聞く言葉があります。
「体重を減らせば膝は楽になりますか?」
「痩せれば進行は止まりますか?」
確かに、体重は膝にかかる負荷の一因です。
しかし臨床で多くの膝OAの方を見てきて、私ははっきり感じています。
体重を減らしても、膝の状態がほとんど変わらない人が非常に多い
という事実です。
この記事では、
- なぜ体重だけでは説明できないのか
- なぜ同じ体重でも差が出るのか
- 膝OAを本当に左右している要素は何か
を、「アライメント」という構造の視点から整理します。
「体重が原因」という説明が生む誤解
膝OAの説明では、
体重が増える
↓
膝への負担が増える
↓
軟骨がすり減る
というシンプルな図式がよく使われます。
しかし、この説明には大きな抜け落ちがあります。
同じ体重でも、膝の壊れ方はまったく違う
実際には、
体重が重くても膝が安定している人
体重が軽くても膝痛が進行する人
が存在します。
もし体重だけが原因なら、
体重 × 年数 = 膝OAの重症度
になるはずですが、現実はそうなっていません。
この差を生むのが アライメント です。
アライメントとは何か
アライメントとは簡単に言えば、
骨と関節がどの角度・方向で荷重を受けているか
という「力の通り道」のことです。
膝関節では特に、
大腿骨
脛骨(下腿骨)
足部
が、どの位置関係で立ち・歩いているかが重要になります。
体重は「量」
アライメントは「かかり方」
この違いを理解しないと、膝OAは整理できません。
膝OAを決めるのは「どこに体重が集まるか」
体重が同じでも、
膝の内側に集中する人
外側にも分散できている人
では、膝の消耗速度がまったく違います。
この内外の偏りを作るのが、
O脚
X脚
下腿骨の傾き
です。
この点については、以下の記事で詳しく整理しています。
▶︎【医療監修】O脚が進行する本当のメカニズム― 年齢や体重では説明できない「膝が開いていく構造」

▶︎【医療監修】変形性膝関節症で下腿骨はなぜ傾くのか?― O脚・X脚を作る“本当の構造的原因”とは ―

なぜ体重を減らしても膝が楽にならないのか
体重を減らしても膝が楽にならない人には、共通点があります。
それは、
荷重ラインが変わっていない
という点です。
O脚のまま
下腿骨が内側に倒れたまま
足部アライメントが崩れたまま
で体重だけを減らしても、
「歪んだ通り道を、軽くなった荷物が通る」
だけの状態になります。
結果として、
痛みは一時的に軽くなる
しかし歩行や立位で再び負担が集中する
という経過をたどります。
体重よりも重要な「接地と支点」
膝OAの方を観察すると、
踵から強く着く
足指が使えていない
前足部で体重を受けられない
という共通した特徴が見られます。
この状態では、
足元で支えられない
↓
下腿骨が傾く
↓
膝関節内で圧が偏る
という連鎖が起こります。
この「足元→下腿→膝」という流れが崩れたままでは、体重管理だけで安定することはありません。
足部アライメントについては、以下の記事で全体像を整理しています。
▶︎【医療監修】足部アライメントが膝を壊す本当の理由― 踵骨・扁平足・回外足から読み解く変形性膝関節症の構造 ―

「痩せているのに膝OA」の正体
臨床では、
BMIが低い
見た目は細い
運動習慣もある
にもかかわらず、膝OAが進行している人も少なくありません。
こうしたケースでは、
体重ではなく
アライメントの崩れが主因
であることがほとんどです。
特に多いのが、
浮き指
屈み指
小指の変形
によって足部支持が失われ、膝が代償しているケースです。
足指変形と膝OAの関係については、以下の記事で整理しています。
▶︎【医療監修】足指の変形が膝の痛みを生む本当の理由― 浮き指・屈み指・内反小趾から読み解く変形性膝関節症の構造 ―

アライメントが変わらない限り、膝は学習し直せない
膝関節は、
「正しい位置で荷重を受ける」
という学習が必要な関節です。
しかし、
足元が不安定
下腿骨が傾いている
膝で支えるしかない
という環境では、膝は常に誤った使い方を強いられます。
これは、
リハビリ中は良い
日常生活に戻ると再発する
という現象の構造的な理由でもあります。
この点については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎【医療監修】変形性膝関節症のリハビリで膝痛が戻る本当の理由― 筋トレ・ストレッチを続けても安定しない構造的原因 ―

まとめ|膝OAを決めるのは「重さ」ではなく「通り道」
- 体重は膝OAの一因にすぎない
- 同じ体重でもアライメントで差が出る
- 重要なのは体重が「どこに集まるか」
- O脚・下腿骨の傾きが膝内側圧を高める
- 足元の支えがアライメントを決定する
変形性膝関節症を考えるとき、
「体重を減らすべきか?」だけで終わらせず、
「その体重をどこで支えているか?」
という視点を持つことが不可欠です。
それが、膝OAを構造的に理解する第一歩になります。


