【医療監修】再生医療(PRP・幹細胞)の限界― 変形性膝関節症で「期待されたのに変わらない」構造的理由

目次

はじめに

こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。

変形性膝関節症(膝OA)の分野では近年、

PRP療法

幹細胞治療

再生医療

といった言葉が頻繁に使われるようになりました。

「軟骨が再生する」

「手術を避けられる」

そう説明を受け、

大きな期待を抱いて治療を選択した方も少なくありません。

しかし現実には、

・一時的に楽になっただけ

・結局また痛みが戻った

・高額だったのに変化を感じない

という声も非常に多く聞かれます。

この記事では、

  • なぜ再生医療が“限界”を迎えやすいのか
  • なぜ軟骨を再生しても膝は安定しないのか

を、構造と力学の視点から整理します。

再生医療は「何を再生しようとしているのか」

PRP療法や幹細胞治療は、

炎症を抑える

組織修復を促す

細胞環境を整える

といった目的で行われます。

主に狙っているのは、

軟骨

滑膜

周囲組織

です。

つまり、

関節内の組織状態を改善する治療

であって、

膝にかかる力の向き

体重の流れ

アライメント

を変える治療ではありません。

「軟骨が原因」という前提そのものがズレている

再生医療が注目される背景には、

「軟骨がすり減ったから痛い」

「軟骨が再生すれば治る」

という前提があります。

しかしこの前提自体が、

すでに多くの研究で否定されています。

・軟骨が減っていても痛くない人がいる

・画像所見と症状は一致しない

画像と痛みが一致しない理由は、ここで整理しています。

▶︎【医療監修】MRIに異常があっても膝が痛くない理由― 画像診断と「痛み」が一致しない本当の構造 ―

再生しても壊され続ける構造

仮に、

軟骨が部分的に修復された

炎症が一時的に落ち着いた

としても、

立つ

歩く

階段を降りる

たびに、

同じ方向

同じ角度

同じ偏った荷重

が膝にかかり続けます。

結果として、

再生された組織は

同じ力学ストレスにさらされ続ける

ことになります。

これは、

舗装だけ直して

交通の流れを変えていない

状態と同じです。

下腿骨・アライメントが変わらない限り結果は変わらない

膝OAで本当に問題になるのは、

大腿骨と下腿骨の位置関係

内外側への傾き

荷重ライン

です。

この構造が崩れたままでは、

どれだけ組織を再生しても
再び負担が集中

します。

この力学については、以下の記事で詳しく整理しています。

▶︎【医療監修】変形性膝関節症で下腿骨はなぜ傾くのか?― O脚・X脚を作る“本当の構造的原因”とは ―

▶︎【医療監修】体重よりアライメントが重要な理由― 体重管理だけでは変形性膝関節症が止まらない構造的背景

再生医療が「効いたように感じる」理由

再生医療後に、

痛みが軽くなった

動きやすくなった

と感じる人がいるのも事実です。

これは、

炎症反応の沈静化

関節内環境の改善

期待による神経反応

が重なって起こります。

しかしこれは、

構造が変わったサインではありません。

時間が経ち、

同じ生活動作を続ければ

元の力学に戻っていきます。

足元を見ない再生医療の弱点

臨床で特に多いのが、

再生医療を受けたが

足の評価は一切されていない

というケースです。

実際には、

足部アライメント

足指の接地

重心の取り方

が崩れている人ほど、

膝への負担は増大します。

再生医療で“膝の中”を整えても、膝に負担を集めている足元が変わらなければ、結果は戻りやすくなります。

▶︎【医療監修】足部アライメントが膝を壊す本当の理由― 踵骨・扁平足・回外足から読み解く変形性膝関節症の構造 ―

▶︎【医療監修】足指の変形が膝の痛みを生む本当の理由― 浮き指・屈み指・内反小趾から読み解く変形性膝関節症の構造 ―

高額治療ほど「原因のすり替え」が起きやすい

再生医療は、

自由診療

高額

先進的

という特徴があります。

そのため、

「ここまでやったのだから良くなるはず」

という心理が働きやすく、

構造的な問題から目が逸れてしまう

ことがあります。

しかし膝OAは、

高額かどうか

最新かどうか

で決まる問題ではありません。

再生医療を選ぶ前に整理すべき視点

再生医療を検討する前に、

必ず確認してほしいのは、

膝はどの角度で体重を受けているか

歩行時に内外どちらに荷重が流れているか

足元は支点として機能しているか

です。

これらを無視したままでは、

治療の種類が変わっても結果は変わりません。

まとめ|再生医療の限界は「力学を変えられない点」

  • 再生医療は組織環境の治療
  • 荷重方向や配列は変えられない
  • 同じ力が再び膝に集中する
  • 本体はアライメントの問題
  • 足元からの再構築が不可欠

再生医療が「効かなかった」というより、

膝にかかる力の流れが変わっていなかった可能性が高い。

それが、この問題の本質です。

足指への3つのアプローチ

— ただし、順番があります

私は2006年以降、病院における臨床の場で、体操・靴下・歩き方・靴の指導を中心に、足指の変形や機能不全、そしてそれに関連する整形外科的な不調に対する対応を行ってきました。

外反母趾、内反小趾、かがみ指、浮き指、寝指、足趾機能不全に加え、膝・腰・股関節・姿勢といった問題についても、足指からの介入を軸に経過を観察してきた臨床の積み重ねがあります。

これは理論だけの話ではありません。長年にわたる臨床数と経過、データの蓄積の中で、「動かす・保つ・使い続ける」という視点が共通して重要であることが整理されてきました。

その結果として、ここで紹介しているひろのば体操・YOSHIRO SOCKS・YOSHIRO WALKという3つのアプローチに集約されています。

1. ひろのば体操

足指を「動かして」広げて伸ばす

ひろのば体操は、足趾機能不全によって低下しやすい足指の可動性や感覚入力を取り戻し、足指が本来の動きを発揮しやすい状態をつくることを目的に考案された体操です。

外反母趾・内反小趾・屈み指・浮き指・寝指など、足指がうまく使われにくくなっている状態に対して、日常で取り入れやすいアプローチの一つです。

2. YOSHIRO SOCKS

広がって伸びた足指を「保ち続ける条件」をつくる

YOSHIRO SOCKSは、足の中で起こりやすい「滑り」「指の押し込み」「アーチの崩れ」といった足元環境のストレスに着目し、

  • 足指が広がりやすい
  • 足指が伸びやすい
  • 足裏のアーチが保たれやすい

足元環境を整えることを目的に設計された靴下です。外反母趾・内反小趾・屈み指・浮き指・寝指・足趾機能不全など、足指の使われ方が関与するケースで検討される選択肢の一つです。

3. 小股歩き

日常動作の中で、足指が“使われ続ける”状態をつくる

小股歩きは、歩幅を抑えることで足指を感じながら地面を捉えやすくする歩き方です。

体操や足元環境の見直しと組み合わせることで、足指に関わる筋活動が起こりやすい条件をつくる考え方として紹介しています。

無理なく続けられる形を選んでください

・体操から始める人

・足元環境から見直す人

・両方を組み合わせる人

どれか一つに決める必要はありません。足指の問題は、方法よりも「続けられる条件」が大切です。


まず迷っている方へ

— どれから始めるか迷ったら、ここを基準にしてください —

  • 体操が続かなかった人
  • 歩き方を意識する余裕がない人
  • 靴をすぐに変えられない人

この場合は、

② YOSHIRO SOCKS(足元環境を整える) から始めるのが現実的です。

足指は「動かす前に、使われる環境」が整わないと戻りやすいため、

まずは日常の中で 足指が使われにくい状態を減らす ことが優先されます。


すでに体操ができている方へ

① ひろのば体操 + ② YOSHIRO SOCKS

動かした足指を、そのまま保てる条件が重なることで、

足指が使われやすい状態が続きやすくなります。


余裕が出てきた方へ

③ 小股歩き を組み合わせることで、 日常動作の中でも足指が“使われ続ける”条件が整っていきます。

※どれか一つを「完璧にやる」必要はありません。

足指の問題で大切なのは、無理なく続けられる順番を選ぶことです。

次に知りたいことを選んでください

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