【医療監修】変形性膝関節症|動かさないほど不安定になる理由― 「避ける動作」が膝の使い方を固定化する悪循環 ―

はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
変形性膝関節症の方から、非常によく聞く言葉があります。
・痛いから、できるだけ動かさないようにしている
・階段や立ち上がりは避けている
・膝に負担をかけない生活を心がけている
一見すると、
膝を守るための正しい選択
に思えるかもしれません。
しかし構造的に見ると、
この「動作を避ける」という選択こそが、
膝をより不安定にしていく引き金
になっているケースが少なくありません。
変形性膝関節症を「膝だけの問題」ではなく、足指・歩行・O脚まで含めて全体像で整理した記事はこちらです。
▶︎【医療監修】変形性膝関節症とO脚の本当の関係― 足指の変形から読み解く膝痛のメカニズムとセルフケアの考え方

「動かさない=休ませている」は成立しない
膝は、
使わなければ回復する臓器ではありません。
膝関節は、
・支えられながら
・動きながら
・力を分散しながら
使われることで、安定性を保つ関節です。
ところが痛みを恐れて、
・立ち上がりを避ける
・歩く量を極端に減らす
・階段を使わない
という生活が続くと、
「膝を支える準備そのもの」が失われていきます。
動作回避で起きる3つの変化
動作を避け続けると、身体には次の変化が起こります。
① 足元の感覚が鈍る
歩かない
踏み込まない
重心を預けない
この状態が続くと、
・足指で床を捉える感覚
・足部で体重を受け止める感覚
が弱くなっていきます。
結果として、
いざ動こうとした瞬間に、足元が頼れなくなる
状態が作られます。
② 股関節が使われなくなる
立ち上がりや歩行を避ける生活では、
・体を前に運ぶ
・股関節で体重を受け止める
といった動きが減っていきます。
すると、
本来“主役”であるはずの股関節が使われなくなり、
膝が代わりに支える役割を背負わされる
ことになります。
③ 膝を「固定して守る」癖がつく
痛みを避けるために、
・膝を伸ばしたまま動く
・曲げずに体重を乗せる
・反らせて安定させようとする
こうした使い方が習慣化します。
これは一時的には楽でも、
構造的には
膝を逃げ場のない支柱にする使い方 です。
「避ける → 不安定 → さらに避ける」の循環
この3つが重なると、
- 動作を避ける
- 足元・股関節が使えなくなる
- 膝に負担が集中する
- 痛み・不安定感が増す
- さらに動作を避ける
という 悪循環 が完成します。
この悪循環が最も表面化しやすいのが「最初の一歩」です。歩き始めだけ膝がガクッとする人は、こちらも参考にしてください。
▶︎【医療監修】変形性膝関節症|歩き始めに膝が痛くなる理由― 一歩目に“力が集中してしまう”構造 ―

この循環の怖いところは、
・筋力低下だけでなく
・感覚低下
・使い方の固定化
が同時に進んでしまう点です。
「膝を休ませているつもり」で膝を追い込んでいる
多くの方は、
「膝を大事にしている」
「無理をしないようにしている」
という意識で動作を避けています。
しかし構造的に見ると、
・支えを作らず
・役割分担を戻さず
・膝に集中する力だけを残す
という状態が続いています。
これは、
膝を守っているのではなく、膝しか使えない状態を固めている
と言い換えることもできます。
生活環境が「避けやすさ」を助長する
動作回避の悪循環は、
・スリッパ生活
・滑る靴下
・柔らかすぎる履き物
・低い椅子や深いソファ
といった生活環境によって、さらに強化されます。
「やらなくて済む」
「踏ん張らなくて済む」
環境が整いすぎることで、
膝を支える準備ができないまま日常が進んでしまう のです。
「避けたくなる足元環境(靴下・スリッパ・床)」が膝の不安定さを固定化する流れは、こちらで整理しています。
▶︎【医療監修】生活環境と変形性膝関節症― 日常動作が痛みを固定化するメカニズム ―

まとめ|避けることが、最大の固定化要因になる
変形性膝関節症において、
「動かさないこと」
「避けること」
は、必ずしも膝を守る選択ではありません。
むしろ、
・足元が使えない
・股関節が眠る
・膝が支柱化する
この構造を固定化してしまう最大の要因になります。
膝を守る第一歩は、
無理に鍛えることでも、
我慢して動くことでもなく、
「膝以外が働ける余地を取り戻すこと」
です。



