【医療監修】変形性膝関節症|膝の前が痛くなる原因と体の使い方― しゃがみ・立ち上がりで膝がつらい人へ ―

はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
変形性膝関節症の相談の中で、
- 立ち上がるときに膝の前が痛い
- しゃがむ動作が怖い
- 膝のお皿の周囲がズキッとする
といった 「膝の前側の痛み」 を訴える方は非常に多くいらっしゃいます。
このタイプの痛みは、
- 軟骨のすり減り
- 年齢のせい
- 筋力不足
と説明されがちですが、
実際には
体の使い方そのもの が大きく関係しています。
この記事では、
- なぜ膝の前に負担が集中するのか
- なぜ立ち上がり・しゃがみで痛みが出るのか
を、構造的に整理していきます。
膝の前が痛む人に共通する動作の特徴
膝前部痛がある人の動きを観察すると、
多くの場合、次のような特徴が見られます。
- 動作の最初に膝が前に出る
- 股関節がうまく使われていない
- 体幹が後ろに残ったまま動く
つまり、
身体全体で動くべきところを、膝だけで処理している
状態です。
この使い方が続くと、
膝のお皿(膝蓋骨)周囲に負担が集中します。
本来、立ち上がり動作はどこで支えるのか
椅子から立ち上がる動作は、
- 足指
- 足部
- 股関節
が連動して行われるべき動作です。
特に重要なのは、
- 足指で床を押す
- 股関節で体を前に運ぶ
という要素です。
しかし膝前部痛がある場合、
- 足指が使えない
- 股関節が固まっている
ために、
膝を前に突き出す形で立ち上がる
動作になりやすくなります。
足指が使えないと、膝は「引き受け役」になる
足指がしっかり使えていると、
- 立ち上がりの初動を支える
- 前後のブレを制御する
ことができます。
しかし、
- 浮き指
- 滑る足元
- 不安定な床環境
があると、
立ち上がりの力を
すべて膝で引き受ける
形になります。
このとき膝は、
- 曲げ伸ばし
- 体重支持
- バランス調整
を同時に担わされます。
これが、
膝前部痛の大きな原因です。
しゃがみ動作で前が痛くなる理由
しゃがみ動作でも、
同じ構造が見られます。
本来、しゃがむときは、
- 股関節を引く
- お尻を後ろに下げる
ことで、
膝への負担を分散します。
しかし膝前が痛い人では、
- かかと側に重心が残る
- 股関節が使えない
- 膝だけが前に出る
という動作になりやすく、
膝のお皿周囲に圧縮ストレスが集中
します。
「筋力不足」では説明できない理由
膝前部痛に対して、
- 太ももを鍛えましょう
- スクワットをしましょう
と指導されることは少なくありません。
しかし、
足元の支点が不安定なまま
筋力だけを足すと、
- 動作は変わらない
- 膝の使われ方も変わらない
ため、
一時的に楽になっても、動くと戻る
という状態を繰り返します。
これは筋力の問題ではなく、
力の通り道の問題 です。
膝前部痛と足元環境の関係
膝前が痛い人の多くは、
- 滑りやすい靴下
- 柔らかすぎる靴
- 不安定な室内履き
といった環境で過ごしています。
これにより、
- 足指で押せない
- 初動が不安定
- 膝が前に出やすい
という条件がそろいます。
生活環境と膝OAの関係については、
以下の記事で全体像を整理しています。
日常動作がどのように
膝の不安定さを固定化していくのかは、
こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎【医療監修】生活環境と変形性膝関節症
― 日常動作が痛みを固定化するメカニズム ―

内側痛・外側痛との違い
同じ膝OAでも、
- 内側痛 → 内側に力が集まる
- 外側痛 → 外側に力が逃げる
- 前部痛 → 前方向で処理し続ける
という違いがあります。
内側・外側の力学については、
それぞれ以下の記事で整理しています。
内側に集まる力の構造については、
こちらの記事で解説しています。
▶︎【医療監修】変形性膝関節症|膝の内側が痛くなるメカニズム
― 日常動作で“内側に集まる力”の正体 ―

外側に逃げる支え方については、
こちらで詳しく説明しています。
▶︎【医療監修】変形性膝関節症|膝の外側が痛い人に共通する足の特徴
― 回外足・小指機能不全との関係 ―

まとめ|膝の前が痛いのは「前で支えている」サイン
膝の前が痛い場合、
それは膝が弱いからでも、
年齢のせいでもなく、
身体の動きを前方向で処理し続けている結果
であることがほとんどです。
- 足指が使えない
- 股関節が使えない
- 生活環境が不安定
これらが重なることで、
膝前部は常に「働きすぎ」になります。
膝の前が痛むときこそ、
膝そのものではなく、
足元と動作の流れ
を見直す視点が重要になります。


