【医療監修】腰椎すべり症はなぜリハビリや電気治療で安定しないのか―― 痛みが落ち着いても「ズレる構造」が残り続ける本当の理由

はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
腰椎すべり症で医療機関を受診すると、
- リハビリを続けましょう
- 電気治療を併用しましょう
- しばらく様子を見ましょう
と説明を受けることは少なくありません。
実際に、
- 施術直後は楽になる
- 通っている間は痛みが軽い
と感じた経験がある方も多いと思います。
それでも現場では、
- やめると元に戻る
- 良くなったり悪くなったりを繰り返す
- 数か月〜数年で再び不安定になる
という相談が非常に多く寄せられます。
この記事では、
「リハビリや電気治療が悪いから安定しない」
のではなく、
腰椎すべり症という疾患が持つ“構造的な前提”
に焦点を当てて、
なぜ治療を受けてもズレが残りやすいのかを整理します。
なお、腰椎すべり症を「治療の問題」としてではなく、
姿勢・支え方・足元から生じる構造全体として整理した内容については、
以下のハブ記事で詳しく解説しています。
▶︎ 【医療監修】腰椎すべり症の本当の原因と全体像―― 痛みの場所ではなく「姿勢と支え方」から整理する

リハビリや電気治療は「無意味」なのか?
最初に、はっきりさせておきます。
リハビリや電気治療そのものが
無意味・間違っているわけではありません。
これらには、
- 筋緊張を一時的に緩める
- 神経の興奮を抑える
- 動きやすさを取り戻す
という 明確な役割 があります。
問題は、
それだけで腰椎すべり症の構造が変わるかどうか
という点にあります。
腰椎すべり症は「ズレを受け止めてしまう病態」
腰椎すべり症の本質は、
- 腰椎が前後方向にズレる
- 剪断力が繰り返し加わる
- 立位・歩行で負担が増える
という 力のかかり方 にあります。
つまり、
安静時よりも
立っている時・歩いている時の構造
が問題になります。
ここが、
- 椎間板ヘルニア
- 単純な筋疲労
と大きく異なるポイントです。
なぜ「その場では楽」なのに戻ってしまうのか
電気治療やマッサージ後に楽になる理由は明確です。
- 神経の興奮が一時的に抑えられる
- 血流や筋緊張が変化する
しかし、
- 立ち方
- 重心の位置
- 歩行時の支え方
が変わっていなければ、
日常生活に戻った瞬間から、同じ剪断力が再開されます。
腰椎すべり症では、
「楽になった状態で、またズレ続ける」
ということが起こりやすいのです。
「通えば体は変わる」という誤解
よく聞かれるのが、
リハビリを続けていれば、いつか安定しますよね?
という言葉です。
しかし構造の視点で見ると、
身体は
どのように使われ続けているか
によって形づくられます。
週に数回の治療よりも、
- 毎日どこで支えているか
- どんな姿勢で立っているか
- 歩くたびにどこに力が集まっているか
の方が、はるかに影響が大きいのです。
力の入口は「腰」ではなく「足元」
身体にかかる力の流れは、
地面
↓
足
↓
骨盤
↓
背骨
という順番で伝わります。
つまり、
足元で支えられていない状態では、
腰椎が“支え役”を引き受ける構造
になりやすくなります。
腰椎すべり症では、
- 本来足で受けたい力
- 本来骨盤で分散したい力
を、腰椎が直接受け止め続けるため、
ズレが固定されやすくなります。
治療を続けても安定しにくい人の共通点
臨床で多く見られるのが、次のような状態です。
- 姿勢を意識しても長く保てない
- 立っていると腰が疲れる
- 歩くと腰に力が入る
- 足指が地面に接地していない
これらはすべて、
腰が本来以上に支え役を担っているサイン
でもあります。
この状態で、
- 腰だけを緩める
- 腰だけを鍛える
という対応をしても、
日常の力の流れが変わらなければ
ズレは繰り返されます。
治療は「リセット」、構造は「上書き」
リハビリや電気治療は、
- 一度リセットする
- 一時的に整える
という役割を果たします。
しかし、
- 同じ立ち方
- 同じ重心
- 同じ歩行
が続けば、
その上から、また同じズレが上書きされる
という状態になります。
これが、
- 通っている間は良い
- やめると戻る
という現象の正体です。
「効かない」のでは錯覚が生まれる理由
多くの場合、
治療が効かないのではなく、
治療の役割を超えた期待をしてしまっている
ことが問題になります。
腰椎すべり症では、
- 痛みを抑える治療
- 構造を変える要素
は、分けて考える必要があります。
本当に見るべきポイントは「どこで支えているか」
腰椎すべり症で重要なのは、
- 腰で支えているのか
- 足元で支えられているのか
という視点です。
この違いが、
- 不安定を繰り返す人
- 比較的落ち着きやすい人
の分かれ目になります。
共通する構造について
ここまでお話しした
- 痛みと原因が一致しない
- 足元から力が伝わる
- 治療は補助的役割
という構造は、
腰椎すべり症に限らず、
さまざまな疾患に共通しています。
この共通原理については、
以下の記事で整理しています。
▶︎ 【医療監修】なぜリハビリや電気治療を続けても良くならないのか
― 痛みが消えても「構造」が変わらない本当の理由

まとめ
- リハビリや電気治療は無意味ではない
- ただし腰椎すべり症では「ズレの構造」が残りやすい
- 痛みが落ち着いても、立位・歩行で剪断力は続く
- 足元で支えられていないと腰が代償する
- 治療は主役ではなく補助的な役割
- 「どこで支えているか」を見直す視点が重要
腰椎すべり症を考えるとき、
治療を受けるかどうか以前に、
なぜそこにズレが集まっているのか
という構造を理解することが、
最初の一歩になります。


