【医療監修】椎間板ヘルニアはなぜ姿勢が悪いと起こるのか?― 背骨ではなく「足元」から考える本当の原因

はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
椎間板ヘルニアの原因として、
一般的には次のような説明がされることが多くあります。
- 加齢
- 重い物を持った
- 姿勢が悪い
- 運動不足
確かに、どれも間違いではありません。
しかし臨床の現場で多くの症例を見ていると、
どうしても説明しきれない点があります。
同じように姿勢が悪く、
同じような生活をしていても、
椎間板ヘルニアになる人と、ならない人がいる。
この記事では、
椎間板ヘルニアが起こる理由を
「姿勢が悪いから」で終わらせず、
姿勢を作っている“力の入口” から整理していきます。
※ 椎間板ヘルニアそのものの定義や症状については、
別の記事で整理しています。
▶︎ 【医療監修】椎間板ヘルニアとは?原因・症状・検査・治療の考え方

「姿勢が悪い」とは、何が起きている状態か
姿勢が悪いという言葉は、
見た目の問題として使われがちです。
しかし身体を構造的に見ると、
姿勢とは次の要素で決まります。
- 重力をどこで受け止め
- どこで支え
- どこへ逃がしているか
つまり姿勢とは、
力の配置の結果 です。
姿勢が崩れている状態とは、
- 重力を分散できず
- 特定の部位に力が集中している
状態を意味します。
椎間板ヘルニアは、
この偏った力が
長期間かかり続けることで起こりやすくなります。
背骨のS字カーブと椎間板の役割
人の背骨は、横から見ると
緩やかなS字カーブを描いています。
このカーブには、
- 衝撃を吸収する
- 圧力を分散する
という重要な役割があります。



ところが、
- 猫背
- 平背(フラットバック)
- 反り腰
といった姿勢になると、
このカーブが機能しにくくなります。
結果として、
- 椎間板の前後で圧力差が生じ
- 髄核が後方へ押し出されやすくなる
この状態が続くことで、
椎間板ヘルニアが起こりやすくなります。
それでも「姿勢」だけでは説明できない理由
ここで一つ、重要な疑問が残ります。
なぜ、姿勢が悪い人すべてが椎間板ヘルニアになるわけではないのか。
実際には、
- 姿勢を意識しても長く保てない
- 背中を伸ばすと違和感が出る
- すぐ元の姿勢に戻ってしまう
という人が非常に多く見られます。
これは、
姿勢を「腰や背骨だけ」の問題として
捉えてしまっているケースが多いためです。
姿勢を意識しても長く保てない人の多くは、
立ち方や歩き方そのものに無理が生じているケースが少なくありません。
歩行と椎間板ヘルニアの関係については、
別の記事で詳しく整理しています。
▶︎ 【医療監修】椎間板ヘルニアの人に歩行は必要?

姿勢を決めているのは「立ち方」と「支え方」
姿勢は、
背骨だけで決まっているわけではありません。
本質的には、
- 重心がどこにあり
- どこで地面を押しているか
によって決まります。
つまり姿勢は、
立ち方の結果 です。
そして、その立ち方の土台になるのが
足元です。
足元が崩れると、なぜ背骨まで影響するのか
人は立っているとき、
足裏で地面を感じ、無意識にバランスを調整しています。
このとき重要になるのが、
- 足裏全体で支えられているか
- 内側と外側のバランスが取れているか
という点です。
足元が不安定になると、
重心が後ろへ流れる
↓
外側で踏ん張る
↓
上半身で無理にバランスを取る
といった代償動作が起こります。
この状態が続くと、
骨盤が傾き
↓
背骨のカーブが崩れ
↓
椎間板に偏った力がかかる
という流れが生じます。
このような「足元の不安定さ → 姿勢の崩れ」という流れは、
とくに浮き指がある場合に起こりやすいことが分かっています。
浮き指と姿勢の関係については、
写真や具体例を用いて整理した記事があります。
▶︎ 【医療監修】正しい姿勢は足指で決まる!― 浮き指が姿勢を崩す本当の理由

足指が「力の入口」になる理由
足元の中でも、
特に見落とされやすいのが足指の役割です。
足指は、
- 地面を捉える
- 重心を微調整する
- 姿勢反射を引き出す
という、
姿勢制御に深く関わる働きを担っています。
しかし現代人の多くは、
- 靴の影響
- 靴下の影響
- 歩き方の癖
- 生活習慣
によって、
足指を十分に使えていません。
足指が使えなくなる背景には、
靴の形状や足元の環境が影響していることもあります。
靴選びと椎間板ヘルニアの関係については、
こちらの記事で整理しています。
▶︎ 【医療監修】椎間板ヘルニアと靴選びの関係

▶︎ 靴下と足の使われ方の関係

浮き指・屈み指という「足指機能不全」
足指が使えていない状態の中でも、
特に多いのが
浮き指 と 屈み指 です。
浮き指は、
足指が地面に接地せず、
立位や歩行時に
支えとして機能しにくい状態を指します。
一方、屈み指は、
足指が曲がったまま固まり、
踏ん張ろうとしても
力が地面に伝わりにくい状態です。
どちらも本人の自覚が少なく、
無意識のうちに
重心や姿勢へ影響を及ぼしているケースが
少なくありません。
浮き指の定義やセルフチェックについては
こちらの記事で整理しています。
▶︎ 【医療監修】浮き指とは?9割以上が自覚なし|原因・セルフチェック・足指ケアを専門家が解説

屈み指の特徴や、
姿勢との関係については
こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎ 【医療監修】屈み指とは?放置すると姿勢が崩れる理由とセルフチェック

足指から始まる、椎間板ヘルニアまでの連鎖
構造的に整理すると、
次のような流れが生じます。
足指が使えない
↓
足元で支えられない
↓
重心が後方・外側に偏る
↓
骨盤が傾く
↓
背骨のS字カーブが崩れる
↓
椎間板に偏った圧力がかかる
足指の使われ方が変わることで、
姿勢や背骨の配列に影響が及ぶという考え方は、
一見すると意外に感じるかもしれません。
しかし、足元から上へと身体を見ていくと、
腰や背中の問題だけでは説明できなかった症状の背景が、
構造的に整理できるようになります。
姿勢の崩れ方によって負担のかかり方は変わる
姿勢の崩れ方によって、
椎間板にかかる負担の方向や強さは異なります。
特に、
背骨の自然なカーブが失われた
平背(フラットバック) では、
椎間板への圧力が集中しやすい傾向があります。
平背と椎間板ヘルニアの関係については、
姿勢の特徴と力のかかり方を中心に
整理した記事があります。
▶︎ 【医療監修】椎間板ヘルニアと平背(フラットバック)の関係

腰だけを見ていると再発しやすい理由
腰だけを対象にした治療やリハビリで、
一時的に症状が落ち着くことはあります。
しかし、
再発を繰り返すケースが少なくありません。
これは、
- 痛みの出ている場所
- 力が入り続けている構造
この二つが
一致していない場合があるためです。
こうした背景については、
リハビリや物理療法が効きにくい理由という視点から、
別の記事で整理しています。
▶︎ 【医療監修】リハビリや電気治療で治らない理由

「自分は当てはまるのか?」
「今の姿勢はリスクが高いのか?」
そう感じた方は、
セルフチェック記事も参考にしてください。
▶︎ 【医療監修】姿勢セルフチェックで分かる椎間板ヘルニアリスク

まとめ
- 椎間板ヘルニアは姿勢の崩れと深く関係している
- 姿勢の崩れは、力の分散ができていない状態
- 姿勢は立ち方と支え方で決まる
- 足指機能不全(浮き指・屈み指)は力の入口になる
- 腰だけを見ても原因は見えにくい
椎間板ヘルニアを
「腰の問題」としてだけ捉えるのではなく、
足元から全体を見直す視点
が、理解への第一歩になります。


