【医療監修】椎間板ヘルニアは自然に治る?―「吸収される」は本当か、構造と条件から整理する

はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
椎間板ヘルニアについて調べていると、
多くの人が一度は次の言葉に行き着きます。
「椎間板ヘルニアは自然に治ることがある」
「飛び出したヘルニアは吸収される」
この情報を見て、
- 少し安心した
- 手術をしなくてもいいかもしれないと思った
- 時間が経てば良くなるのではと期待した
という人も少なくありません。
では実際に、
椎間板ヘルニアは自然に治るのでしょうか。
この記事では、
「吸収される」という現象そのものを否定も肯定もせず、
なぜ吸収される人と、されにくい人がいるのか
を、構造と条件の視点から整理していきます。
「自然に治る」「吸収される」とはどういう意味か
まず整理しておきたいのは、
「治る」「吸収される」という言葉の意味です。
医学的に使われる「吸収」とは、
- 飛び出した椎間板組織が
- 免疫反応などによって
- 画像上、小さくなる・消失する
という現象を指します。
つまり、
- 痛みが完全になくなる
- 元通りになる
という意味と、
必ずしも一致するわけではありません。
実際に「吸収されるケース」は存在する
結論から言うと、
椎間板ヘルニアが吸収されるケースは、確かに存在します。
特に、
- 脱出型・遊離型
- 比較的サイズが大きいもの
では、
画像上で吸収が確認されることがあります。
このため、
「自然に治ることもある」
という説明自体は、
医学的に誤りではありません。
それでも不安が残る理由
一方で、
現場では次のようなケースも非常に多く見られます。
- 数年経っても症状が続く
- 良くなったり悪くなったりを繰り返す
- 一度落ち着いたが、再発した
ここで生じる疑問は一つです。
なぜ、同じ椎間板ヘルニアでも、経過が大きく分かれるのか。
「時間が経てば治る」と言い切れない理由
椎間板ヘルニアが
自然に吸収されるかどうかは、
時間 だけで決まるものではありません。
重要なのは、
その間、椎間板にどの方向から、どの力がかかり続けているか
です。
椎間板は、
- 押され続ければ
- 押し出され続ける
構造をしています。
つまり、
飛び出した後も、
- 同じ力
- 同じ姿勢
- 同じ立ち方
が続けば、
吸収が進みにくくなる可能性があります。
痛みが落ち着いても「構造」は変わっていないことがある
ここで重要なのは、
症状と構造は必ずしも一致しない
という点です。
- 痛みが軽くなった
- しびれが減った
としても、
- 姿勢
- 重心
- 立ち方
が変わっていなければ、
椎間板には
同じ方向から負荷がかかり続けます。
この状態では、
- 画像上は吸収していても
- 数年後に再発する
というケースも珍しくありません。
画像診断にはもう一つ注意が必要です。
MRIやレントゲンなどで「神経が圧迫されている」と写っても、
痛みやしびれが必ず出るとは限らないことが多く、
画像上の異常と症状は一致しないこともあります。
この点については、画像診断に潜む落とし穴として、
別の記事で詳しく整理しています。
▶︎ 【医療監修】椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症で神経が圧迫されても「痛みは出ない?」 画像診断に潜む落とし穴
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「なぜ再発するのか」が説明できない理由
多くの場合、
再発は次のように説明されます。
- 体を使いすぎた
- 無理をした
- 年齢のせい
しかしこれだけでは、
なぜ再発しない人もいるのか
が説明できません。
この差を生むのが、
力の入口=構造 です。
姿勢が関係している理由
椎間板にかかる力は、
常に腰そのものから生まれているわけではありません。
- どこで立ち
- どこで支え
- どこで重心を取っているか
によって、
背骨の配列と
椎間板への圧力方向は決まります。
姿勢と椎間板ヘルニアの関係については、
「なぜ姿勢が悪いと起こるのか」という視点から
別の記事で詳しく整理しています。
▶︎ 【医療監修】椎間板ヘルニアはなぜ姿勢が悪いと起こるのか?― 背骨ではなく「足元」から考える本当の原因

足元が変わらなければ、条件は変わらない
姿勢を作っている最下点は、
足元です。
足元が不安定なままだと、
重心が後方・外側へ流れる
↓
骨盤が傾く
↓
背骨のカーブが崩れる
という状態が続きます。
その結果、
椎間板には
同じ方向からの圧力がかかり続けます。
足指機能が「吸収の条件」に関わる理由
足元の中でも重要なのが、
足指の使われ方です。
足指は、
- 地面を捉える
- 重心を微調整する
- 姿勢反射を起こす
という役割を担っています。
しかし、
- 浮き指
- 屈み指
といった状態があると、
- 地面を押せない
- 支えが不安定
- 上半身でバランスを取る
という代償動作が起こります。
その結果、
椎間板への負荷条件が
変わりにくくなります。
浮き指や屈み指の定義・セルフチェックについては、
それぞれ別の記事で詳しく整理しています。
▶︎ 【医療監修】浮き指とは?9割以上が自覚なし|原因・セルフチェック・足指ケアを専門家が解説

▶︎ 【医療監修】屈み指とは?放置すると姿勢が崩れる理由とセルフチェック

「吸収されるかどうか」を分ける視点
ここまでを整理すると、
椎間板ヘルニアが自然に吸収されるかどうかは、
- 時間だけ
- 安静だけ
で決まるものではありません。
重要なのは、
- 力の方向
- 姿勢
- 立ち方
- 足元の使われ方
といった 条件 です。
この条件が変わらなければ、
吸収が進みにくくなる可能性があります。
腰だけを見ていると判断を誤りやすい
椎間板ヘルニアの経過を見る際、
腰だけに注目していると、
- 症状が軽いから大丈夫
- 画像が小さくなったから安心
と判断しがちです。
しかし実際には、
- 姿勢
- 重心
- 支え方
が変わっていないケースも多く見られます。
こうした点については、
リハビリや物理療法が効きにくい理由という観点から
別の記事で整理しています。
▶︎ 【医療監修】リハビリや電気治療で治らない理由

まとめ
- 椎間板ヘルニアが吸収されるケースは存在する
- ただし「自然に治る」と一括りにはできない
- 吸収されるかどうかは条件に左右される
- 条件には姿勢・立ち方・足元が深く関与する
- 痛みが落ち着いても構造が変わっていない場合がある
椎間板ヘルニアを
「時間が経てば治るかもしれないもの」として待つのではなく、
どんな条件で力がかかり続けているのか
を見直すことが、
理解の第一歩になります。


