【医療監修】タオルギャザーが寝指を悪化させる理由──「足指にいい運動」のはずが、小指を横向きに固定してしまう構造

目次

はじめに|“定番トレーニング”が合わない足もあります

こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。

寝指や屈み指(ハンマートゥ)について調べていると、

ほぼ必ず出てくるのが タオルギャザー です。

  • 足指でタオルをたぐり寄せる
  • 足底筋を鍛える
  • 足指を強くする

「足にいい運動」として、長年紹介されてきました。

実際、

状態によっては有効に働くケースもあります。

しかし臨床では、

  • タオルギャザーを続けていたら小指が横を向いてきた
  • 寝指が進んだ気がする
  • 指は動くのに、歩くと安定しない

こうした相談も少なくありません。

この記事では、

  • なぜタオルギャザーが寝指を悪化させることがあるのか
  • どんな足の状態で注意が必要なのか
  • 「やってはいけない条件」とは何か

を、足の構造と使われ方の視点から整理します。

結論|タオルギャザーが問題なのではありません

最初に結論をお伝えします。

タオルギャザーが寝指を悪化させるのは、

運動そのものが悪いからではなく

外側荷重・回外足・屈筋優位の状態で行われているからです。

つまり、

「すでに曲がりやすい足」に、さらに曲げる動きを繰り返している

この条件が重なると、

小指のねじれが固定化しやすくなります。

タオルギャザーで実際に起きていること

タオルギャザーの動きを分解すると、

足の中では主に次のことが起きています。

  • 足指を強く曲げる
  • 足底の屈筋群を収縮させる
  • タオルを引き寄せるために指を丸め続ける

つまり、

「指を曲げる力」を集中的に使う運動です。

ここが、寝指・屈み指を持つ足では問題になりやすいポイントです。

理由①|すでに「曲がりやすい筋」が優位だから

屈み指(ハンマートゥ)や寝指がある足では、

  • 足が滑る
  • 前足部が使われにくい
  • 指を丸めて踏ん張る癖

が日常的に起きています。

その結果、

  • 長趾屈筋
  • 短趾屈筋

といった 屈筋群がすでに優位 になっています。

この状態でタオルギャザーを行うと、

  • 強い屈曲刺激が加わる
  • 伸ばす方向の働きがさらに弱くなる
  • 指は「伸びにくい位置」で安定してしまう

という流れが起こります。

結果として、

「曲げる力」だけが強化され、指のねじれが残る

これが、寝指に進みやすくなる理由のひとつです。

理由②|小指外転筋が関与しない

タオルギャザーでは、

  • 小指を外へ開く
  • 横方向の安定をつくる

といった 小指外転筋(小趾外転筋) の働きは、ほとんど使われません。

しかし寝指では、

  • 小指外転筋が使われにくい
  • 外側縦アーチが不安定
  • 外側荷重が続いている

という条件が重なっています。

この状態で、

曲げる運動だけを繰り返すと、

  • 小指は内側へ引き込まれ
  • 外へ開く力が育たず
  • 横向きのねじれが固定されやすくなる

という結果につながります。

理由③|外側荷重・回外足が変わっていない

タオルギャザーは、

座って行うことがほとんどです。

そのため、

  • 立ち方
  • 歩き方
  • 重心の位置

には直接影響しません。

寝指がある方の多くでは、

  • 外側荷重
  • 回外足(足が外へねじれる使い方)

が日常動作で繰り返されています。

この状態が変わらないまま、

  • 座位でタオルギャザー
  • 歩行で外側荷重

を続けると、

「体操で曲げる → 歩行でねじる」

という力が毎日重なり、

小指の横向きが安定してしまいます。

「効いている感じ」が出やすい理由

タオルギャザーをすると、

  • 足裏が疲れる
  • 筋肉を使った感覚がある
  • 足が温かくなる

こうした変化を感じやすいのは事実です。

これは、

  • 血流の変化
  • 感覚入力
  • 一時的な筋収縮

によるものです。

ただしこれは、

「使われ方が変わった」わけではありません。

そのため、

・数日後に戻る
・歩くと違和感が出る

というケースが多く見られます。

タオルギャザーで寝指が進みやすい人の共通点

臨床で特に注意が必要なのは、次のような方です。

  • 小指の爪がすでに横を向き始めている
  • 外側荷重・回外足の自覚がある
  • 室内でスリッパ生活が多い
  • 靴下や靴の中で足が滑りやすい

この状態でタオルギャザーを続けると、

寝指の固定化が進みやすい傾向が見られます。

タオルギャザーを「否定」しているわけではありません

大切な点を整理します。

私は、

  • タオルギャザーが絶対にダメ
  • すべての人に有害

と言っているわけではありません。

問題は、

どんな足の状態で、どんな環境のまま行っているか

です。

  • 足が滑らない
  • 前足部が使える
  • 外側荷重が強くない

この条件が整って初めて、

タオルギャザーは「限定的な補助」として意味を持ちます。

まとめ|寝指がある足で、最初にやるべきことは別にある

タオルギャザーが寝指を悪化させるケースでは、

体操の選択より

  • 足の使われ方
  • 日常環境

が先に見直されるべきポイントです。

寝指・屈み指がある場合、

  • 曲げる前に、使われ方を見る
  • 小指だけを鍛えようとしない
  • 歩行と環境を優先する

この順番が重要になります。

全体像と判断基準は、こちらで整理しています。

▶︎ 【医療監修】寝指はどうすればいい?小指が横向きになる原因と“やっていいケア・避けたい対処”

また、屈み指(ハンマートゥ)との関係については、次の記事で詳しく解説しています。

▶︎ 【医療監修】屈み指(ハンマートゥ)を放置すると寝指に進みやすい理由──小指が横を向く前に起きている“足の使われ方”の変化

足指への3つのアプローチ

— ただし、順番があります

私は2006年以降、病院における臨床の場で、体操・靴下・歩き方・靴の指導を中心に、足指の変形や機能不全、そしてそれに関連する整形外科的な不調に対する対応を行ってきました。

外反母趾、内反小趾、かがみ指、浮き指、寝指、足趾機能不全に加え、膝・腰・股関節・姿勢といった問題についても、足指からの介入を軸に経過を観察してきた臨床の積み重ねがあります。

これは理論だけの話ではありません。長年にわたる臨床数と経過、データの蓄積の中で、「動かす・保つ・使い続ける」という視点が共通して重要であることが整理されてきました。

その結果として、ここで紹介しているひろのば体操・YOSHIRO SOCKS・YOSHIRO WALKという3つのアプローチに集約されています。

1. ひろのば体操

足指を「動かして」広げて伸ばす

ひろのば体操は、足趾機能不全によって低下しやすい足指の可動性や感覚入力を取り戻し、足指が本来の動きを発揮しやすい状態をつくることを目的に考案された体操です。

外反母趾・内反小趾・屈み指・浮き指・寝指など、足指がうまく使われにくくなっている状態に対して、日常で取り入れやすいアプローチの一つです。

2. YOSHIRO SOCKS

広がって伸びた足指を「保ち続ける条件」をつくる

YOSHIRO SOCKSは、足の中で起こりやすい「滑り」「指の押し込み」「アーチの崩れ」といった足元環境のストレスに着目し、

  • 足指が広がりやすい
  • 足指が伸びやすい
  • 足裏のアーチが保たれやすい

足元環境を整えることを目的に設計された靴下です。外反母趾・内反小趾・屈み指・浮き指・寝指・足趾機能不全など、足指の使われ方が関与するケースで検討される選択肢の一つです。

3. 小股歩き

日常動作の中で、足指が“使われ続ける”状態をつくる

小股歩きは、歩幅を抑えることで足指を感じながら地面を捉えやすくする歩き方です。

体操や足元環境の見直しと組み合わせることで、足指に関わる筋活動が起こりやすい条件をつくる考え方として紹介しています。

無理なく続けられる形を選んでください

・体操から始める人

・足元環境から見直す人

・両方を組み合わせる人

どれか一つに決める必要はありません。足指の問題は、方法よりも「続けられる条件」が大切です。


まず迷っている方へ

— どれから始めるか迷ったら、ここを基準にしてください —

  • 体操が続かなかった人
  • 歩き方を意識する余裕がない人
  • 靴をすぐに変えられない人

この場合は、

② YOSHIRO SOCKS(足元環境を整える) から始めるのが現実的です。

足指は「動かす前に、使われる環境」が整わないと戻りやすいため、

まずは日常の中で 足指が使われにくい状態を減らす ことが優先されます。


すでに体操ができている方へ

① ひろのば体操 + ② YOSHIRO SOCKS

動かした足指を、そのまま保てる条件が重なることで、

足指が使われやすい状態が続きやすくなります。


余裕が出てきた方へ

③ 小股歩き を組み合わせることで、 日常動作の中でも足指が“使われ続ける”条件が整っていきます。

※どれか一つを「完璧にやる」必要はありません。

足指の問題で大切なのは、無理なく続けられる順番を選ぶことです。

次に知りたいことを選んでください

目次