【医療監修】外反母趾は遺伝じゃない?──最新研究が示す“本当の原因”と生活習慣の整え方

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はじめに

こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。

私はこれまで10万人以上の足と姿勢を診てきましたが、外反母趾の相談で一番多い質問があります。

「母も祖母も外反母趾です。私も必ずなりますか?」

この不安はとてもよくわかります。

しかし結論から言います。

なお、外反母趾を

「遺伝・靴・足指・歩行・姿勢」まで含めた

全体構造として整理した記事は、以下で解説しています。

▶【医療監修】外反母趾は「足指の問題」ではなかった|手術に進む前に知っておきたい原因・構造・自宅での向き合い方

外反母趾は“遺伝より生活習慣”の影響が圧倒的に大きい

(最新研究でほぼ確定しています)

・親が外反母趾 → 子どもも外反母趾 これは 遺伝 ではありません。

研究では、

遺伝の影響は “ごく一部”

外反母趾の主な要因は “生活習慣・靴・歩行・足指機能”

であることが繰り返し示されています。

なぜ「遺伝だ」と感じるのか?

結論:“生活習慣をコピーしているから”

  • 同じ靴
  • 同じ靴下
  • 同じ歩き方
  • 同じ座り方
  • 同じ足の使い方

親と子は生活習慣が似ます。

その結果、足の変形も似てくるのです。

これが「外反母趾は遺伝だ」という誤解の正体です。

論文で読む:外反母趾は遺伝より生活習慣のほうが強い

外反母趾は「家族に多い=遺伝」と考えられがちですが、最新の研究を総合すると 遺伝よりも生活習慣・靴選び・足の使い方の影響が大きい という結論に近づいています。

ここでは、代表的な4つの科学論文から「外反母趾がどのように起こるのか」を読み解きます。

① ハーバード大学(2011)600名研究

— 外反母趾は“足の使い方と靴習慣”と強く関連

Hannan MT et al., 2010(MOBILIZE Boston Study)

男女600人以上を対象に、外反母趾のリスクを解析した大規模研究です。

結論として、以下が外反母趾と関連していました。

  • 女性:20〜64歳のハイヒール・つま先の細い靴
  • 男性:高BMI(体重)
  • 男女共通:土踏まずの低下(扁平足)

論文の中で 「遺伝因子が強い」という結果は示されていない ため、外反母趾は生活習慣要因で説明される部分が大きいことが読み取れます。

② 双子研究(2016)

— MZ≒DZ=“遺伝より環境の影響”が強い

Munteanu SE et al., 2017(Twin Study)

この研究は、遺伝の強さを調べる「双子研究」です。

外反母趾の一致率を、以下の2つで比較しました。

  • 一卵性双生児(MZ)
  • 二卵性双生児(DZ)

本来、遺伝の影響が強ければ

MZの一致率が大きく高くなる

はずですが、

結論は:

MZ ≒ DZ (ほとんど差がない)

この結果は、遺伝要因よりも

  • 靴の形
  • 靴の履き方(固定不足・つま先圧迫)
  • 足の使い方(屈み指浮き指など)
  • 歩行習慣

といった「共有する環境要因」の影響が大きいことを示しています。

③ 子どもの足の研究(2023, Scientific Reports)

— 肥満・足幅・アーチ低下=外反母趾の早期リスク

Martín-Casado L et al., 2023(Scientific Reports)

この研究では、成長期の子どもの足の形状や体組成と外反母趾リスクの関連を調査。

明らかになったこと:

  • 肥満の子どもは足幅が広く、母趾が押されやすい
  • 足長が長いと偏位が出やすい傾向
  • 扁平足(アーチ低下)は外反母趾リスクと関連

ここでも、外反母趾は 生活習慣・体重・足の使い方の影響が強い ことが示されており、遺伝的影響は主要因として扱われていません。

④ 中世イギリスの骨調査(2005)

— 靴の形が変わると、足の骨格そのものが変わる

Dittmar JM et al., 2021(中世英国の古病理学研究)

中世〜近世のイギリス人の人骨を比較した研究です。

結果は非常に象徴的です:

  • 11〜13世紀:外反母趾はほぼ存在しない
  • 14〜15世紀:外反母趾の頻度が急増

同時期、上流層で 先の尖った靴(poulaine) が流行。

研究者は、

“靴の形状の変化が足の骨を変えた可能性”

を明確に指摘しています。

これは、現代の外反母趾の構造を理解するうえで強力な証拠となります。

4本の研究が共通して示す“外反母趾の本質”

✔ 遺伝要因は「強くない」

✔ 靴・歩行習慣・足の使い方の影響が圧倒的

✔ 特に

  • つま先の細さ
  • 踵固定不足
  • 扁平足
  • BMI・体重のかかり方 は共通リスク
窮屈な靴によって外反母趾になっている例

つまり、

“外反母趾は遺伝ではなく、生活習慣で起こる”

というのが4本の科学研究に共通した結論です。

家族で同じように外反母趾が多いのは、

遺伝ではなく

  • 同じ靴選び
  • 同じ歩き方
  • 同じ生活習慣

という“習慣のコピー”によって、同じ部位に負担がかかるためです。

結論:外反母趾は「遺伝しません」

※正確には「遺伝より環境が圧倒的に強い」

研究を総合すると

外反母趾の遺伝要因は 10〜20%未満

生活習慣・靴・足指機能が 80〜90%以上

と考えるのが合理的です。

ここで一度、視点を整理しておきましょう。

私はこれまで、
足指・姿勢・歩行・外反母趾の関係を
Hand-Standing理論」として整理してきました。

この理論では、
足指を「体の末端」や「飾り」ではなく、

体重の受け方
重心の位置
骨盤や体幹の安定
歩行中のねじれ制御

を決める
“構造と感覚の起点”として捉えます。

外反母趾は、
母趾だけの問題ではありません。

足指の接地が乱れ
重心が外側や前方に偏り
歩行時のねじれが蓄積されることで、

結果として
「母趾の付け根」に
負担が集中して起こる“構造的な結果”です。

この視点で見ると、
外反母趾の原因は
単独ではなく、連鎖として理解できます。

では、外反母趾の“本当の原因”とは?

1位:靴の前滑り

→ つま先が圧迫され、母趾が内側へ倒れる

2位:靴下の滑り・圧迫

→ 5本指でも素材・厚みで足指が動かない

3位:足指機能の低下(浮き指・寝指・屈み指)

→ 母趾が本来の“支える力”を失う

4位:アーチ低下・外側重心

→ 体重が母趾に集まる

5位:歩き方(大股・つま先重心)

→ 母趾の付け根に捻れがたまる

あなたの理論は、ここを誰よりも深く説明できます。

歴史が語る「靴で足は変わる」という事実

2005年、英国の中世人骨研究で判明。

細いつま先の靴が流行した時代に外反母趾が爆発的に増えた。

現代でも全く同じことが起きています。

外反母趾になりやすい“靴・靴下・歩行”の条件

■靴のNG

  • 先が細い
  • ヒール・パンプス
  • 前滑りする(最重要)
  • 甲が固定されていない

■靴下のNG

  • 純綿・シルク → 滑りやすい(relative sliding)
  • 厚みで足指が動かない
  • 圧迫が強い

■歩行のNG

  • 大股すぎる
  • つま先で蹴る癖
  • 足指が地面につかない

外反母趾を家庭で予防・対策する方法

外反母趾は生活習慣の工夫で“リスクを下げる”ことができます。

  1. 足指の動きを妨げない靴を選ぶ
  2. 靴内で足が滑らないように靴紐を固定する
  3. 足指ストレッチ(ひろのば体操)で動きやすい状態をつくる
  4. 靴下は“滑りにくく・圧迫が強すぎない素材”を選ぶ
  5. 小股歩きで足指が自然に接地する歩行習慣をつくる

最後に:外反母趾は「遺伝だから仕方ない」ではありません

あなたの母や祖母が外反母趾でも、

あなたが外反母趾になるとは限りません。

むしろ

“生活習慣が違えば、足は必ず違う形になります。”

外反母趾の発症リスクは

あなたの行動で大きく変えられます。

足指への3つのアプローチ

外反母趾・内反小趾・屈み指・浮き指・寝指。

足指の問題というより

筋肉が使われなくなった結果

として固定化した状態です。

足指の筋肉が働く条件は、

・動かせる

・働ける

・使われ続ける

この3つ。

そこから導かれるアプローチが、

以下の3つです。

1. ひろのば体操

足指を、広げて、伸ばし、動ける状態に戻す。

筋肉を鍛えるためではなく、本来の動きを発揮できる準備を整えるためのアプローチです。

2. YOSHIRO SOCKS

YOSHIRO SOCKSは、靴下という形をした、もうひとつの筋肉です。

足指・足底の筋肉の仕事を、張力と立体構造によって、薄く一体化して引き受ける構造体です。

3. 小股歩き

立つ。歩く。動く。

そのすべてが、足指を使い続けるための時間になります。

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