【医療監修】足指の解剖学入門⑤短趾屈筋とは?浮き指・屈み指の原因になる“足指が使えなくなる仕組み”を解剖学で解説

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はじめに|足を触り続けて、やっと見えてきた筋肉

こんにちは、足指研究家の湯浅慶朗です。

足は筋肉の宝庫です。

正直、名前を覚えるだけでも嫌になりますよね。

でも、毎日足を触り続けていると、

ある日ふと気づきます。

「あれ?この部分だけ、妙に硬いな」

患者さんの足を触りながら、

症状と照らし合わせ、

筋肉の名前と働きを確認していく。

その積み重ねで、

足指 → 姿勢 → 噛み合わせまでが一本でつながる“身体の設計図(Body Diagram)”

ができあがりました。

ここまで来るのに、10年かかりました。

いつか必ず公開しますので、楽しみにしていてください。

今日はその中でも、

最も誤解されやすく、最も壊されやすい筋肉

「短趾屈筋」についてお話しします。

短趾屈筋とは?

短趾屈筋(Flexor Digitorum Brevis)は、

足裏の表層(第1層)にある筋肉で、

  • 第2〜第5趾
  • 足指の“付け根から先”

を曲げる働きをしています。

「地面をつかむ」

「踏ん張る」

この感覚を担っている、

いわば“足指の基本筋”です。

豆知識|短趾屈筋はどこから力を出している?

筋肉は必ず

「起始」と「停止」を結んで動きます。

短趾屈筋は、

  • 足指(第2〜5趾)

をつないでいます。

つまり、

踵で受けた荷重を足指で地面に返す

その中継役をしている筋肉です。

どこにあるの?

一般向け

  • 起始:かかとの骨
  • 停止:第2〜第5趾の中節骨

専門家向け

  • 起始:踵骨隆起(底面)
  • 停止:第2〜第5趾 中節骨底面

作用

  • 足趾屈曲
  • 歩行時の踏み込み
  • 立位・歩行の安定化

短趾屈筋は、

「足指を使って立つ・歩く」ための中心筋です。

短趾屈筋は何をしている筋肉なのか?

短趾屈筋の役割は、とてもシンプルです。

  • 足指を曲げる
  • 地面を押す
  • 体を支える

これができるから、

  • 歩ける
  • 踏ん張れる
  • バランスが取れる

という、ごく当たり前の動作が成立します。

なぜ短趾屈筋は重要なのか?

短趾屈筋が働いている足は、

  • 指が地面に触れている
  • 重心が安定している
  • 姿勢が崩れにくい

逆にこの筋肉が使えなくなると、

  • 足指が地面から浮く
  • 重心が不安定になる
  • 姿勢が崩れやすくなる

つまり、

短趾屈筋は「立つ・歩く」の土台です。

Hand-Standing理論との接続|短趾屈筋は「接地を量産する筋肉」

ここで、私の考えている

Hand-Standing理論 につながります。

私は足を、

「地面に置かれた、逆さまの手」

として捉えています。

手で物を支えるとき、

  • 親指と小指で支点を作り
  • その上で、指全体が接触面を広げ
  • 力を分散して受け止めます

足も同じ構造です。

このとき、

  • 支点を作るのが  母趾外転筋・小趾外転筋
  • 微調整を担うのが  虫様筋
  • 実際に「地面と接触する量」を生み出すのが短趾屈筋

です。

短趾屈筋が働くことで、

指が地面に触れ続け

接地面が増え

重心が安定します。

短趾屈筋は「弱る」のではなく「使われなくなる」

ここが一番大切なポイントです。

短趾屈筋は、

加齢で真っ先に弱る筋肉ではありません。

問題は、

  • 滑る靴下
  • 合わない靴
  • 靴の中で足が動く環境

この中で、

Hand-Standing構造そのものが遮断されること

です。

「浮き指」が短趾屈筋を殺す

靴や靴下の中で足が滑ると、

人は無意識にこうします。

  • 指を浮かせる
  • 爪先を反らす
  • 接地を避ける

これが長期間続くと、

  • 短趾屈筋は使われない
  • 神経入力が減る
  • 筋肉は働かなくなる

これが「浮き指」です。

短趾屈筋は

弱ったのではなく、切られたのです。

鍛える前に、戻す

浮き指の状態で、

  • タオルギャザー
  • 指トレーニング

をしても、

短趾屈筋はうまく働きません。

必要なのは、

まず足指が「まっすぐ地面に置ける状態」に戻すこと

そのために行うのが

ひろのば体操です。

▶ ひろのば体操の正しいやり方

セルフチェック|短趾屈筋は「グー」でわかる

グーができるか?

第3関節までしっかり曲がるかチェック
  • 第3関節まで曲がる
  • 指先が地面に向かう

これができない場合、

短趾屈筋は使われていません。

パーができない人は要注意

短趾屈筋が固まり、

屈み指になると、

全ての指が広がるかチェック
  • パーができない
  • 指が開かない

これは

「使えない状態で固まった」サインです。

短趾屈筋は歩行で再教育される

短趾屈筋は、

  • 正しく立ち
  • 正しく歩く

ことで、自然に再教育されます。

目安は、

  • 1日6,000歩
  • 片足3,000回の刺激

ただし条件があります。

  • 指で地面を押していること
  • 小股で歩いていること

環境を変えなければ戻らない

短趾屈筋は環境依存です。

この状態では、

何度でも機能を失います。

定期チェックを習慣に

ひろのば体操後に、

  • グー
  • パー

を確認してください。

短趾屈筋が戻り始めると、

  • 指が地面を捉える
  • 立つのが楽になる
  • 姿勢が安定する

という変化が現れます。

免責事項

本記事は一般的な情報提供であり、治療や効果を保証するものではありません。個人差があります。医療が必要な際は専門医へご相談ください。商品は医療効果を目的としたものではありません。

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