足指ケアで冷え性改善!根本原因と即効性のある対策法

足指ドクターによる解説

YOSHIRO YUASA
湯浅慶朗

足指博士、足指研究所所長、日本足趾筋機能療法学会理事長、ハルメク靴開発者。元医療法人社団一般病院理事・副院長・診療部長。専門は運動生理学と解剖学。足と靴の専門家でもあり、姿勢咬合治療の第一人者でもある。様々な整形疾患の方(7万人以上)を足指治療だけで治してきた実績を持つ。

目次

はじめに

足が冷たくて、なかなか温まらない悩みを抱えている人も多いですね。特に冬の寒い季節や夏の冷房の効いた部屋では、足の冷えが気になる方も少なくありません。血行不良によって血液や熱がうまく足先まで行き渡らないため、足が冷えてしまうのです。暖かい靴下や湯たんぽ、マッサージや入浴、ハーブティーを飲むことでリラックスし、一時的に足の冷え改善に役立ちますが、すぐに足が冷えてしまっている人も少なくないと思います。足が冷える原因はさまざまですが、足指が曲がってしまうことで血行が悪くなることはあまり知られていません

体温調整で足が冷える?

人間の体は、自発的な動きや感覚を司る体性神経と自律神経によって動かされています。自律神経は心臓や消化器官など内臓の運動を制御し、特に体温の調節にも重要な役割を果たしています。夏場に暑さを感じると、皮膚から熱を放出するために血管を広げて表面積を増やし、体温を下げようとします

その反対に、寒さを感じると血管を収縮させて熱を逃がさないようにし、皮膚の表面温度を低く保ちます。これにより、環境に対する自然な防御反応が生じ、末端の冷えが強くなることがあります。特に寒い時季になると、足が冷えやすくなるのは、体の生理的な調節機能によるものです。このように、体は環境に適応しようとする自然な機序によって冷えに対処しているのです。

足が冷えやすいのにはワケがある

足は体の中で最も冷えやすい部位の一つといえます。これは、心臓から遠く離れた場所に位置しているため、血液の流れが悪くなりやすいからです。体内の血液は、心臓を中心にポンプのように送られていますが、足は最も遠く離れた場所に位置しているため、血液の流れが滞りやすいのです。さらに、血管は心臓に近づくにつれて太くなり、足先に行くほど細くなっています。このため、足先では血流が滞りやすくなっています。また、地球の重力も影響を与えており、血液は上から下に流れやすいですが、足先から心臓に戻る際には重力に逆らう必要があります。そのため、足先はむくみやすい部位でもあります。これらの要因から、足は冷えやすく、血流が悪くなりやすい部位といえるのです。

冷えと足指の関係

足指の変形が足を冷えさせるメカニズムは、血液の循環を阻害することによるものです。通常、足指は自然な形(ひらいて伸びている状態)であるときには正常な血流が保たれ、体温を適切に維持することができます。しかし、足指が変形してしまうと、足の血管や神経の正常な機能が阻害され、血流が十分に行われなくなることがあるのです。

足指の変形は、例えば外反母趾ハンマートゥなどの状態になると、足指同士が重なったり圧迫されたりすることで血管や神経が圧迫され、血流が妨げられる可能性が高くなります。その結果、足の末端まで適切な血液が行き届かず、足が冷えてしまうことがあります。

足が冷えるメカニズム

1.血液循環の妨げ:足指が変形することで、血管や神経が圧迫されてしまうことがあります。これにより、血液の流れが悪くなり、足先に栄養や酸素が行き届かなくなるために冷えが起きる可能性があります。

2.血流量の低下:足指が変形することで足先の筋肉の動きが制限されることがあります。その結果、筋肉の収縮や拡張が妨げられ、血流量が低下してしまうことで冷えが引き起こされる可能性があります。

3.ナーブコンプレッション:足指が変形することで、神経が圧迫されることがあります。これにより、神経の信号の伝達が阻害され、足先からの情報が正確に脳に伝わらなくなることで、冷えを感じやすくなる可能性があります。

足指とふくらはぎの関係

さらに、足指の変形によって足の筋肉や関節の正常な動きが妨げられることも、足の冷えを引き起こす一因となり得ます。正常な動きが制限されると、筋肉の収縮や血液の循環がスムーズに行われず、結果として足が冷えやすくなる可能性があります。

足指が変形すると、通常の歩行時には足の指が地面にしっかりと接地することができず、ふくらはぎの筋肉が本来の機能を果たすことが難しくなります。ふくらはぎの筋肉は、歩行時に足首を伸ばし、また曲げることで、足の血液を心臓に戻すポンピング作用を担っています。ポンピング作用は、ふくらはぎの筋肉が収縮・弛緩することで、足首周囲の静脈やリンパ管に圧力をかけて血液やリンパ液の流れを促進する働きです。

しかし、足指の変形によって足の裏全体が地面と接触することなく、足首の可動域が制限されてしまうため、ふくらはぎの筋肉の動きが制限されてしまいます。その結果、足の血液を心臓に戻すポンピング作用が弱まり、足の血液やリンパ液の循環が滞り、足の冷えやむくみ、さらには足の疲れや痛みといった症状が現れやすくなります。

このような状況では、足の末端部に十分な血液が行き渡らず、足の冷えやむくみ、さらには足の疲れや痛みといった症状が現れやすくなります。したがって、足指の変形は単なる美容上の問題だけでなく、足の健康や体温調節にも影響を及ぼす可能性があることに留意する必要があります。定期的な足指の運動や適切な靴の選択など、足の健康を維持するための対策を適切に行うことが重要です。

夏こそ毎日行いたい「5つのカンタン冷え対策」

寒い冬の季節になると、足先が冷たくなるのは仕方ないことです。しかし、足先が一時的に冷たくなるだけでなく、常に冷たさを感じる場合は「冷え性」の症状かもしれません。この症状の原因は、体温調節機能の乱れではなく、足指の変形にあります。それに対してどのような改善策があるのでしょう。ここでは、具体的な対処法についてご紹介したいと思います。

1.足指の変形をチェックする

まずは自分自身の足指の状態を知ることから始めてみましょう。いずれかの変形があれば足が冷えやすいカラダといえます。

スクロールできます
外反母趾

足の親指の付け根側(親指の付け根側に向かって)に向かって曲がってしまっている状態を指します。

内反小趾

足の小指が内側(親指側に向かって)に曲がる状態のことを指します。

親指の浮き指

親指が他の指の爪と比べて上方向に曲がって浮いてしまう状態を指します。

小指の浮き指

小指が地面から浮いてしまう状態を指します。

かがみ指

指が下向きに曲がりっぱなしで伸ばすことができない状態のことを指します。

寝指

指の爪が横を向いている状態のことを指します。

パッとみただけではわかりにくい「外反母趾」や「内反小趾」をカンタンに確認できるチェックシートも用意しています。ダウンロードをして、自分の足を乗せて確認してみてください。

 

2.矯正ソックスでの対処法

足の冷えにYOSHIRO SOCKSをおすすめします。YOSHIRO SOCKSは、足指を自然な位置に保つことで血行を促進し、足の冷えを改善する効果があります。足指を広げることで足の筋肉が正しい位置に調整され、歩くときの足の筋肉や関節が正常な動きに近づきます。筋肉の収縮や血液の循環がスムーズに行われ、足の血液を心臓に戻すポンピング作用を促進し、足の血液やリンパ液の循環が改善して、足の冷えやむくみ、さらには足の疲れや痛みといった症状が解消されていきます。

YOSHIRO SOCKSは、特殊な素材や編み方を使用して作られており、着用すると体温を上げる効果があります。上記のデータは、冷え性のある方にYOSHIRO SOCKSを1ヶ月間装着してもらい、体温を測定した結果です。平均すると0.96℃も体温が上昇していることがわかります。(個人差があるため、効果の感じ方は人それぞれ異なる可能性があります。)

3.矯正シューズでの対処法

ハルメク靴のYOSHIRO MODELは、足指・足を自然な位置に保つことで血行を促進し、足のポンピング作用を促進するデザインになっています。この作用により、足の血行が良くなり、快適な履き心地を提供します。また、YOSHIRO MODELは軽量で耐久性があり、歩きやすさとデザイン性を両立させた靴です。

また、足の位置を正しく保持させるインソール(YOSHIRO INSOLE)が標準で内蔵されており、高品質なサポートとクッション性を提供しています。同ブランドのインソールは、靴のフィット感や歩行時の快適さを向上させるだけでなく、足や膝、腰などの負担を軽減する効果も期待できます。是非、お試しください。

4.ストレッチ

ひろのば体操の正しいやり方

ひろのば体操は足の冷えを改善する効果的な運動方法です。ひろのば体操は足指の筋肉をしっかりとストレッチさせ、歩くときに足指を使うことを再教育させるため、血液の循環を促進してくれます。また、体操を続けることで体温が上がり、全身の血流が良くなることで足の冷えが改善されます。1日1回5分を目安に、日常生活に取り入れてみてください。

4.運動における対処法

足指ストレッチや矯正5本指靴下(YOSHIRO SOCKS)を履きながら、日常生活を少し変えることで、姿勢を正しい状態で保持し、冷え症を改善させることができます。正しい姿勢は、正しい筋肉によって作られていきます。正しい筋肉は「足指を広げて伸ばした状態」で歩くことでしか作ることができません

日常生活で気をつけること

・小股で歩くようにする
・坂道や階段を上るなど足指先を使う
・室内で履き物を履かないようにする
・1日6,000歩以上歩くように心がける
・靴紐をしっかり絞めるようにする
・オーダーの枕やマットを使わない
・正しい靴選びを心がける
・靴べらを使って靴を履くようにする

5.睡眠中における対処法

YOSHIRO SOCKS SLEEPは睡眠時に装着することに特化した矯正ソックスです。特に足元の保温性に優れており、冷えやすい足をしっかりと温めてくれます。さらに、履き心地も抜群で締め付け感が少なく、ソフトな着用感を楽しむことができます。足の冷えでお悩みの方にはぴったりのアイテムです。是非、試してみてください。

エストラジオールは女性ホルモンの一種であり、身体の冷え性にも関係があると言われています。エストラジオールの分泌が不足すると血行が悪くなり、体温が下がりやすくなるため冷え性の症状が現れる場合があります。

また、冷え性は女性の特に多い症状であり、女性ホルモンの変動によって悪化することがあります。YOSHIRO SOCKS SLEEPを寝るときに履くだけで、上記のデータのようにエストラジオールのバランスを整えることができます。冷え性の改善が期待されることもあります。

6.食事における対処法

プロバイオティクスが腸内環境を整えることで、消化器系の働きが改善され、身体全体の代謝が良くなります。その結果、体温が上昇し、体の冷えが改善する可能性があります。また、プロバイオティクスが免疫力を高めることで、体内の炎症が抑制される効果もあります。炎症が抑制されることで、血液循環が改善され、体の冷えを緩和することができます。

冷えに効果的なプロバイオティクスの商品としては、以下のものがあげられます。

生きたまま腸まで届くヨーグルト

ヨーグルトに含まれる乳酸菌が腸内環境を整え、体温調節をサポートします。おすすめはR-1ヨーグルトです。R-1ヨーグルトは、プロバイオティクスとして特に人気のある製品です。このヨーグルトには有益なラクトバチルス菌が含まれており、腸内の健康をサポートするとされています。ラクトバチルス菌は腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑える効果があります。そのため、R-1ヨーグルトの摂取は腸内に適切なバクテリアが増殖し、免疫機能が向上しているため、体温調節の維持に役立つ自律神経のバランスを調整し、適切な体温を保つことができます。

生きた味噌

味噌は、発酵食品の一種であり、プロバイオティクスとして有益な効果を持つことが知られています。味噌に含まれる乳酸菌や酵母などの微生物が腸内環境を整え、腸内フローラを改善する効果があります。さらに、味噌には消化を助ける酵素や、免疫力を高める成分も含まれており、健康促進に役立つことが期待されています。味噌を日々の食事に取り入れることで、腸内環境を整え、免疫力を高めることができるので、プロバイオティクスとして活用することができます。ただし、加熱処理やアルコール処理されたみそは、発酵過程の栄養素(アミノ酸など)だけが残っている状態なので、本来の味噌としての効果を失うことになります。

長い歴史を持つ発酵飲料

Kombuchaは、数千年にわたる歴史を持つ発酵飲料で、プロバイオティクスとして非常に効果的です。Kombuchaには、健康に良いとされるさまざまな微生物が含まれており、腸内細菌叢のバランスを整えるのに役立ちます。これにより、免疫系の強化や消化器官の健康維持にもつながります。さらに、Kombuchaにはさまざまなビタミンやミネラルも含まれており、栄養価の高い飲み物としても人気があります。プロバイオティクスとしてのKombuchaの摂取は、健康な生活をサポートするための良い方法と言えます。

これらの商品を適切に摂取することで冷えを改善し、体温調節をサポートすることができます。

参考文献

1. 外反母趾の機能解剖学的病態把握と理学療法.湯浅慶朗.理学療法 第31巻 第2号 2014.2 P159-165
2.『足指をそらすと健康になる』湯浅慶朗/著 PHP研究所 2014.6
3.『たった5分の「足指つかみ」で腰も背中も一生まがらない!』湯浅慶朗/著 PHP研究所 2021.6

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