【医療監修】変形性膝関節症|動かさないほど不安定になる理由― 「避ける動作」が膝の使い方を固定化する悪循環 ―

はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
変形性膝関節症の方から、非常によく聞く言葉があります。
・痛いから、できるだけ動かさないようにしている
・階段や立ち上がりは避けている
・膝に負担をかけない生活を心がけている
一見すると、
膝を守るための正しい選択
に思えるかもしれません。
しかし構造的に見ると、
この「動作を避ける」という選択こそが、
膝をより不安定にしていく引き金
になっているケースが少なくありません。
「動かさない=休ませている」は成立しない
膝は、
使わなければ回復する臓器ではありません。
膝関節は、
・支えられながら
・動きながら
・力を分散しながら
使われることで、安定性を保つ関節です。
ところが痛みを恐れて、
・立ち上がりを避ける
・歩く量を極端に減らす
・階段を使わない
という生活が続くと、
「膝を支える準備そのもの」が失われていきます。
動作回避で起きる3つの変化
動作を避け続けると、身体には次の変化が起こります。
① 足元の感覚が鈍る
歩かない
踏み込まない
重心を預けない
この状態が続くと、
・足指で床を捉える感覚
・足部で体重を受け止める感覚
が弱くなっていきます。
結果として、
いざ動こうとした瞬間に、足元が頼れなくなる
状態が作られます。
② 股関節が使われなくなる
立ち上がりや歩行を避ける生活では、
・体を前に運ぶ
・股関節で体重を受け止める
といった動きが減っていきます。
すると、
本来“主役”であるはずの股関節が使われなくなり、
膝が代わりに支える役割を背負わされる
ことになります。
③ 膝を「固定して守る」癖がつく
痛みを避けるために、
・膝を伸ばしたまま動く
・曲げずに体重を乗せる
・反らせて安定させようとする
こうした使い方が習慣化します。
これは一時的には楽でも、
構造的には
膝を逃げ場のない支柱にする使い方 です。
「避ける → 不安定 → さらに避ける」の循環
この3つが重なると、
- 動作を避ける
- 足元・股関節が使えなくなる
- 膝に負担が集中する
- 痛み・不安定感が増す
- さらに動作を避ける
という 悪循環 が完成します。
この循環の怖いところは、
・筋力低下だけでなく
・感覚低下
・使い方の固定化
が同時に進んでしまう点です。
「膝を休ませているつもり」で膝を追い込んでいる
多くの方は、
「膝を大事にしている」
「無理をしないようにしている」
という意識で動作を避けています。
しかし構造的に見ると、
・支えを作らず
・役割分担を戻さず
・膝に集中する力だけを残す
という状態が続いています。
これは、
膝を守っているのではなく、膝しか使えない状態を固めている
と言い換えることもできます。
生活環境が「避けやすさ」を助長する
動作回避の悪循環は、
・スリッパ生活
・滑る靴下
・柔らかすぎる履き物
・低い椅子や深いソファ
といった生活環境によって、さらに強化されます。
「やらなくて済む」
「踏ん張らなくて済む」
環境が整いすぎることで、
膝を支える準備ができないまま日常が進んでしまう のです。
生活環境全体と膝OAの関係は、
下記の記事で整理しています。
▶︎【医療監修】生活環境と変形性膝関節症
― 日常動作が痛みを固定化するメカニズム ―

まとめ|避けることが、最大の固定化要因になる
変形性膝関節症において、
「動かさないこと」
「避けること」
は、必ずしも膝を守る選択ではありません。
むしろ、
・足元が使えない
・股関節が眠る
・膝が支柱化する
この構造を固定化してしまう最大の要因になります。
膝を守る第一歩は、
無理に鍛えることでも、
我慢して動くことでもなく、
「膝以外が働ける余地を取り戻すこと」
です。


