【医療監修】変形性膝関節症|歩き始めに膝が痛くなる理由― 一歩目に“力が集中してしまう”構造 ―

はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
変形性膝関節症のご相談の中で、非常に多いのが、
・座っているときは平気
・立ち上がって最初の一歩がつらい
・歩き始めだけ膝がガクッとする
という訴えです。
この「一歩目の痛み」は、
関節が固まっている
軟骨がすり減っている
年齢の問題
と説明されることが多いのですが、
構造的に見ると
まったく別の理由
が隠れています。
歩き始めは、日常動作で最も不安定な瞬間
歩き始めは、日常動作の中でも特に、
・重心が静止状態から前へ移動する
・体重が一気に片脚へ乗る
・床反力を受け止める準備が必要
という条件が同時に起こる場面です。
本来この瞬間は、
・足指で床を捉える
・足部全体で支える
・股関節から身体を前へ運ぶ
という連携で、力が分散されます。
しかしこの連携がうまく働かないと、
膝が「最初の受け皿」として使われてしまう のです。
歩き始めに膝が痛い人の共通点
歩き始めで膝がつらい人を観察すると、
次の特徴が重なっているケースが非常に多く見られます。
・足指が地面を捉えられていない
・足元が滑りやすい
・最初の一歩を「膝から」踏み出している
この状態では、
・体重移動を足元で受け止められない
・前に倒れないよう膝で止める
・一歩目に負担が集中する
という力の流れが生まれます。
つまり、
「一歩目だけ痛い」のは、膝が悪いからではなく、
膝しか頼れる場所がない構造になっている
ということです。
「動けば楽になる」の正体
歩き始めは痛いのに、
・数歩歩くと楽になる
・動き続けると安定する
という人は少なくありません。
これは、
筋肉が温まったから
関節がなじんだから
というよりも、
歩き続けることで、足部や股関節がようやく使われ始めた
結果であることがほとんどです。
逆に言えば、
最初の一歩だけは、毎回膝が代役をしている
という状態が続いているのです。
生活環境が「一歩目の膝痛」を作る
歩き始めで膝がつらい人ほど、
・スリッパでの生活
・滑りやすい靴下
・柔らかすぎる靴
・足元の不安定さ
といった 生活環境の影響 を強く受けています。
これらはすべて、
・初動で足指が使えない
・床を掴めない
・重心を預けられない
という条件を作り、
一歩目の負担を膝に集中させます。
生活環境がどのように
膝への力の集中を固定化するのかについては、
こちらの記事で全体像を整理しています。
▶︎【医療監修】生活環境と変形性膝関節症
― 日常動作が痛みを固定化するメカニズム ―

他の動作痛との共通構造
歩き始めで膝がつらい人は、
・立ち上がり
・階段の下り
・方向転換
といった動作でも、
同じ違和感を抱えていることが少なくありません。
これらはすべて、
「止める・支える力が膝に集中する瞬間」
という共通点を持っています。
まとめ|一歩目の痛みは「構造のサイン」
歩き始めに膝が痛くなるのは、
年齢のせいでも
軟骨の問題だけでもなく、
動き出しを支える構造が、膝以外に用意されていない
ことを示すサインである場合がほとんどです。
膝だけを見ていても、
この問題は見えてきません。
足元・生活環境・支え方。
そこから見直すことで、
「一歩目が怖い膝」は、構造的に理解できるようになります。


