【医療監修】変形性膝関節症とスクワットの誤解―「鍛えれば安定する」が膝を不安定にする理由―

はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
変形性膝関節症について調べると、
ほぼ必ず勧められる運動があります。
それが スクワット です。
・膝を支える筋肉を鍛えましょう
・太ももを強くすれば安定します
・まずはスクワットから
こうした説明を受けた経験がある方も多いでしょう。
確かに、
筋力が必要であること自体は間違いではありません。
しかし構造的に見ると、
「スクワットを頑張っているのに膝が安定しない」
「むしろ不安感が増した」
というケースが非常に多いのも事実です。
スクワットは「支え方」を問わない運動
スクワットは、
・上下動が中心
・その場で完結
・足元が固定されやすい
という特徴があります。
つまり、
どう支えているかが問われにくい運動
です。
足指が使えていなくても
足部が不安定でも
下腿骨がねじれていても
スクワット自体は「できてしまう」。
ここに大きな落とし穴があります。
膝OAの人ほど「膝でしゃがむ」
変形性膝関節症がある方のスクワットを観察すると、
多くの場合、次の特徴が見られます。
・足指が接地していない
・かかと重心
・膝が前に突き出る
・股関節より膝で上下している
これは、
膝で身体を上下させているスクワット
です。
本来スクワットは、
足指
足部
股関節
が協調して初めて、
膝の負担が分散されます。
しかし足元が崩れている状態では、
負荷はすべて膝に集まります。
「筋力はあるのに不安定」の正体
スクワットを続けている方の中には、
・筋力はついた
・立ち上がりは楽
・でも歩くと不安定
という状態の方が少なくありません。
これは、
力を出す能力 と
身体を支える能力 が
別物だからです。
スクワットは前者を高めますが、
後者にはほとんど介入しません。
特に、
足指が使えていない
足部アライメントが不安定
状態では、
「出力は上がるが、制御できない」
という構造になります。
スクワットで膝OAが悪化しやすい条件
次の条件がそろっている場合、
スクワットは膝OAを悪化させやすくなります。
・足指が地面を支えていない
・靴下や靴の中で足が滑る
・柔らかい靴で行っている
・膝サポーターを着けたまま
これらはすべて、
膝を「守っているつもりで」
膝に集中させている条件 です。
足元が不安定なままのスクワットは、
膝の使い方を固定化してしまいます。
なぜ「歩くと戻る」のか
スクワットでは問題が出なくても、
歩く
方向転換
段差
といった動作で痛みや不安定感が出る。
これは自然な結果です。
スクワットは
前後・左右の揺れをほとんど含まないため、
歩行に必要な制御能力が育たない。
その結果、
実生活に戻った瞬間、
膝が対応できなくなります。
足元から見直さない筋トレは「膝任せ」
変形性膝関節症において重要なのは、
「どの筋肉を鍛えるか」よりも、
「どこで支えて動いているか」
です。
足指
足部
生活環境
が崩れたままでは、
どれだけ筋トレをしても
膝が支点になり続けます。
足元と膝の力学的関係については、
以下の記事で全体像を整理しています。
膝のトレーニングを考える前に、
【医療監修】生活環境と変形性膝関節症
― 日常動作が痛みを固定化するメカニズム ―

を一度ご覧ください。
まとめ|鍛える前に「支え直す」
スクワットは悪者ではありません。
しかし、
足元の構造を無視したスクワットは、
膝OAにとっては
不安定さを強化する行為
になり得ます。
変形性膝関節症では、
鍛える → 支える
ではなく、
支えを作る → 必要な筋を使う
という順番が欠かせません。


