【医療監修】椎間板ヘルニアのしびれはどこに出る?― デルマトームから見る神経症状の整理

はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
椎間板ヘルニアについて調べていると、
・腰が痛い
・脚がしびれる
・お尻から太ももに違和感がある
といった症状の記述を多く目にすると思います。
一方で、
・しびれの場所が日によって違う
・腰は痛くないのに脚だけしびれる
・同じヘルニアでも症状が人によって違う
といった疑問を感じている方も少なくありません。
この記事では、
- 椎間板ヘルニアのしびれが
- 「どこに」「なぜ」出るのか
を、デルマトーム(神経の支配領域)という視点から整理し、
さらに 症状と構造が一致しない理由 まで解説していきます。
しびれは「神経がどこを通っているか」で決まる
椎間板ヘルニアによるしびれは、
単に
腰が悪いから脚がしびれる
という単純な話ではありません。
しびれの出る場所は、
・どの神経が
・どのレベルで
・刺激を受けているか
によって、ある程度パターンが決まっています。
この「神経と皮膚感覚の対応関係」を
デルマトーム と呼びます。
デルマトームとは何か
デルマトームとは、
脊髄神経ごとに
皮膚の感覚を担当しているエリア
のことです。
たとえば、
L4神経 → 太ももの内側〜膝周囲
L5神経 → すねの外側〜足の甲
S1神経 → ふくらはぎ〜足の外側
といった具合に、
神経レベルごとに、しびれやすい場所が異なります。
よく見られるしびれのパターン
椎間板ヘルニアで多い代表的なパターンを整理すると、次のようになります。
L4神経が関与しやすい場合
・太ももの前〜内側
・膝周囲の違和感
・階段の昇り降りが不安定
L5神経が関与しやすい場合
・すねの外側
・足の甲
・つま先が上がりにくい感覚
S1神経が関与しやすい場合
・お尻〜太もも裏
・ふくらはぎ
・足の外側や小指側
ただし、これは
あくまで典型例 であり、
すべての人が教科書通りになるわけではありません。
なぜ教科書通りにならないのか
臨床では、
・複数の神経が同時に刺激されている
・姿勢や動きで症状が変わる
・日によって場所がズレる
といったケースが非常に多く見られます。
これは、
神経が
「常に同じ角度・同じ強さ」で圧迫されているわけではない
からです。
しびれは「構造の結果」として揺れ動く
神経症状は、
・姿勢
・立ち方
・座り方
・歩き方
によって、
・圧迫の方向
・テンションのかかり方
が変わります。
そのため、
・今日は太もも
・明日はふくらはぎ
というように、
しびれの場所が変化することも珍しくありません。
この視点は、次の記事でも詳しく整理しています。
▶︎ 【医療監修】椎間板ヘルニアは腰だけの問題じゃない?― 痛む場所と「壊れていく構造」が一致しない本当の理由

画像診断と症状が一致しない理由
よくあるのが、
MRIではL5のヘルニア
でも症状はS1っぽい
といったケースです。
これは、
・画像は「形」を見ている
・症状は「力のかかり方」を反映している
という違いがあるためです。
画像診断の落とし穴については、
こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎ 【医療監修】MRI画像診断に潜む落とし穴― ヘルニアがあっても痛くない理由
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しびれの強さ=重症度ではない
もう一つ重要なポイントがあります。
しびれが強い = 重症
しびれが軽い = 軽症
とは限らない、という点です。
・神経が一時的に刺激されているだけ
・構造的な負担が長く続いている
・感覚が鈍くなってきている
など、背景は大きく異なります。
特に、
力が入りにくい
感覚が明らかに鈍い
左右差が拡大している
場合は、
早めの医療評価が重要になります。
しびれを「神経だけの問題」にしない
多くの説明では、
神経が圧迫されている→ しびれる
とされますが、
それだけでは不十分です。
なぜなら、
なぜその神経が、そこだけ圧迫され続けるのか
という問いが抜けてしまうからです。
姿勢としびれの関係
神経への負担は、
背骨の配列
骨盤の傾き
重心位置
によって大きく左右されます。
姿勢が崩れると、
特定の椎間に
圧が集中しやすくなり
結果として、
神経症状が出やすくなります。
この関係については、次の記事で整理しています。
▶︎ 【医療監修】椎間板ヘルニアはなぜ姿勢が悪いと起こるのか?― 背骨ではなく「足元」から考える本当の原因

足元から見ると、しびれの理由がつながる
さらに構造を下流まで見ると、
足元で支えられていない
↓
重心が不安定
↓
腰でバランスを取る
↓
神経への負担が一定方向に集中
という流れが見えてきます。
特に、
浮き指
屈み指
といった足指機能の低下は、
姿勢反射を乱し
神経へのストレスを間接的に増やす
要因になります。
この構造については、こちらで詳しく解説しています。
▶︎ 【医療監修】足指の変形が椎間板ヘルニアにつながる仕組み― 腰ではなく「立ち方」が負担を決めていた

デルマトームは「判断材料の一つ」
整理すると、
デルマトームは非常に有用なヒント
ではありますが、
それだけで
原因を断定するものではありません。
しびれを見るときは、
・どこに出ているか
・いつ変わるか
・姿勢や動きでどう変化するか
を合わせて観察することが重要です。
まとめ
- 椎間板ヘルニアのしびれには一定のパターンがある
- デルマトームは神経症状を整理する手がかり
- ただし症状は教科書通りとは限らない
- 画像と症状が一致しないケースも多い
- しびれは構造の結果として揺れ動く
- 姿勢や足元まで含めて見ることが重要
しびれを感じたとき、
「どこが悪いのか」だけでなく、
「なぜその神経に負担が集まっているのか」
という視点を持つことで、
理解は一段深まります。


