足指ドクターによる解説
YOSHIRO YUASA
湯浅慶朗
足指博士、足指研究所所長、日本足趾筋機能療法学会理事長、ハルメク靴開発者。元医療法人社団一般病院理事・副院長・診療部長。専門は運動生理学と解剖学。足と靴の専門家でもあり、姿勢咬合治療の第一人者でもある。様々な整形疾患の方(7万人以上)を足指治療だけで治してきた実績を持つ。
「変形性膝関節症」とは、中高年の患者さんに多く見られる病気で、膝の軟骨がすり減ってしまうことが原因で発生します。この状態を放置すると、膝の変形や痛みが進行し、最終的には寝たきりになるリスクも高まります。私は、この疾患の治療に長年携わってきました。変形性膝関節症治療を手掛けた経験を生かし、外科手術に頼らない新たな治療法の開発に力を入れています。特に2006年からは、足指の変形を改善し、人間本来の重心の位置を取り戻すことで膝の変形を改善する治療「TFT療法」を積極的に取り入れ、10,000例以上の治療例を持つ実績があります。(2024年8月16日)
ひざに異常を感じたら、整形外科の専門医?
― 変形性膝関節症とは何ですか?
この病気は主に年齢とともにひざの関節内の軟骨が摩耗し、痛みや変形が起こるものです。特に正座などで頻繁にひざを曲げる動作をする女性に多く見られますが、西洋化した靴生活による足指の変形が原因で、男性の患者も増えています。また、アクティブにスポーツやレジャー活動を楽しむ人々も、性別や年齢に関係なくこの病気にかかりやすいとされています。
最初はひざの違和感や歩き出す時の痛みが軽いものですが、病気が進行するとひざに水が溜まり、日常生活に支障を来すことがあります。さらに進むと、ひざが変形し、曲げ伸ばしが困難になり、静かにしていても痛みを感じるようになります。実際、高齢者の介護が必要となる原因として、関節や筋肉の機能障害が最も多いのです。
― 病院での治療法にはどのようなものがあるのでしょう?
変形性膝関節症の従来の治療アプローチには、体重管理と運動療法を用いた日常生活の動作改善が含まれます。多くの患者さんが無意識に膝に負荷をかける体の使い方をしており、病院では理学療法士と協力してこれらの習慣を見直します。加えて、電気療法などの物理療法を用いて痛みやこわばりを軽減します。痛みを和らげるために、鎮痛薬の服用や塗布、ヒアルロン酸やステロイドの関節内注射などの薬物療法も行います。しかし、これらの方法は痛みを減らすことは可能ですが、病気の根本的な解決にはつながりにくいのが実情です。
― 根本治療には手術が有効なのでしょうか?
変形性膝関節症が進行し、重度の変形や骨のずれが生じた場合、外科的手術が効果的です。治療のためにはいくつかの手術方法が存在します。特に、人工膝関節全置換術といった人工関節を用いる手術は、一般的には適切に実施されれば非常に効果的とされています。しかし、私は整形外科専門理学療法士として、これまでに1000例以上の人工膝関節置換術後の方のリハビリを手掛けてきましたが、効果に個人差があり、改善する人もいればそうでない人もいます。この違いは、様々な要因によって左右されるため、同じ治療を受けても結果が異なることがあります。
自己再生能力を活用するTFT療法は、体に優しい治療法
― YOSHIRO STUDIOで取り組まれている、TFT療法について教えてください。
TFT療法とは、足指研究で注目を集めるようになった比較的新しい医療です。患者様の自己再生能力を用いるため、薬物療法や手術療法に比べて副作用や合併症の恐れがないメリットがあります。また、手術後に症状が改善しなかったり、他に治療法がありませんと言われた方でも治療をすることができます。
YOSHIRO STUDIOが取り組んでいるのは「TFT療法」という治療です。TFTとは、足の指を鍛えることに焦点を当てたトレーニングプログラムです。このトレーニングの目的は、足の指の機能を強化し、足全体の機能を向上させることにあります。具体的には、足の指の柔軟性、力強さ、コーディネーションを高めることで、バランスや歩行能力の向上を図ります。
― 手術の代わりにTFT療法を利用できますか?
可能です。従来、手術が唯一の選択肢とされていたグレード4の重度の変形を持つ患者さんも、当院で提供するTFT療法により、約90%以上が「痛みが解消された」と感じています。TFT療法は、人間の持つ自然な再生能力を利用した治療法です。関節の軟骨や靭帯は、血流が少なく自己再生が困難な組織です。この治療法では、人間の体の自然なバランスを取り戻すことで、自発的に再生力を引き出します。また、TFT療法は軟骨の再生だけでなく、膝関節の変形予防にも効果があることが最近明らかになっています。
YOSHIRO STUDIOで実施している10,000例以上のTFT療法の成功率は約80〜90%に達し、少なくとも80%の患者さんが痛みの軽減を実感しています。この治療法は、手術を避けたい、あるいは手術後に痛みが残る患者さんに特に選ばれています。
― TFT療法と手術の利点と欠点について説明してください。
TFT療法は新しい治療オプションであり、YOSHIRO STUDIOでは健康保険の適用外の自費診療となるため、一般的には費用が高くなりがちです。ただし、YOSHIRO STUDIOではより多くの患者さんにアクセスしていただけるよう、手頃な価格設定をしています。人工膝関節置換手術や再生医療と比較した場合、患者さんが負担するコストはほぼ同じ(12万円程度)になります。
効果の持続期間については、人工膝関節置換手術で約20年、再生医療で最長2年の効果が見込めるのに対し、「TFT療法」はセルフケアを行うことで半永久的に効果は持続します。「TFT療法」を受けた多くの患者さんからは、一度の治療で「回復した」「痛みがなくなった」との感想を得ており、再度治療が必要になった方はほとんどいません。まれに痛みが再発し再治療が必要な場合もありますが、YOSHIRO STUDIOでは治療後のフォローアップに専門の理学療法士が関与し、痛みの再発を防ぐためのサポートを積極的に行っています。
手術後に痛みが持続したり、機能が改善されなかった。もう治療法がない、手の施しようがないといったような内容のことを医師から宣告され、苦しんでおられる患者様は少なくないでしょう。医師の言葉に傷ついたり悩んでしまったりすることもあるでしょう。一番大切なことは一人で抱え込まないことです。私たちに今の気持ちを伝えて、どうして欲しいかを聞かせてもらえればと思います。YOSHIRO STUDIOには末期(グレード4)の方から手術後や再生医療後に痛みが改善しなかった方まで数多くご来院頂いており、皆さまに喜んで頂いております。
費用について
費用:保険診療の適応外となっているため、自費治療です。
TFT療法:13万1,000円(税込)
YOSHIRO STUDIOでは、通常1〜2週間の間隔で6回のTFT療法を1クールとして行っています。6回の治療を行ってから約3か月後(治療開始から半年)に、痛みがどれくらい取れたか、生活がどれくらい改善したかを評価します。効果が認められた方でも2クール目のTFT療法(1ヶ月に1回)を行う方もいらっしゃいます。