はじめに|「骨盤底筋を鍛えているのに改善しない理由」があります
こんにちは、足指研究家の湯浅慶朗です。
これまで10万人以上の姿勢と歩行をみてきました。
私のもとには、
- 骨盤底筋トレーニングを続けているのに変化を感じにくい
- 産後の尿もれが長引いて困っている
- 加齢だと思っていたが、どうも理由が違う気がする
というご相談が全国から寄せられます。
多くの方に共通しているのは、
「足指の変形による姿勢の乱れ」が骨盤底筋の働きやすさを奪っている
という点です。
骨盤底筋は鍛えれば良い、という単純な話ではありません。
筋肉は “姿勢の影響を強く受ける” ため、骨盤の角度が変わるだけで、その収縮しやすさは大きく変化します。
本記事では、
● なぜ足指が骨盤底筋にまで影響するのか
● なぜ前傾・後傾で骨盤底筋の張力が変わるのか
● 足指の変形と骨盤底筋の構造的つながり
● 骨盤底筋トレが効きにくい人の共通点
を、図解イメージを使いながらわかりやすく解説します。
1. まず理解したい「骨盤底筋はどこにあるのか?」
骨盤底筋は、骨盤の“底”にハンモックのように広がっている筋肉群です。
- 恥骨尾骨筋(PC筋) 起始:恥骨 → 停止:尾骨・肛門周囲
- 腸骨尾骨筋(IC筋) 起始:腱弓 → 停止:尾骨
- 恥骨直腸筋(PR筋) 起始:恥骨 → 停止:直腸を囲む
- 尾骨筋 起始:坐骨棘 → 停止:仙骨・尾骨


重要なのは、
❝多くの筋が「恥骨」と「尾骨」を結んでいる❞
という解剖学的事実です。

このため、
尾骨が前に傾くのか?後ろに傾くのか?
によって、骨盤底筋は
- 引き伸ばされる(張力↑)
- 緩む(張力↓)
という変化を受けます。
これこそが、姿勢が尿もれと深く関わる理由です。
2. 足指の変形はなぜ「骨盤の角度」に影響するのか?
足指の変形は、地面と身体の“最初の接点”を狂わせます。
足指には本来、
- 広がる
- 伸びる
- 接地して体重を支える
という機能があります。

しかし現代では、
などの変形が非常に多くみられます。






足指が変形 → 重心がズレる → 骨盤の角度がズレる
という連鎖が起き、結果として骨盤底筋の長さそのものが変化します。
3. 足指の変形ごとの「重心のズレ」と骨盤の動き
(1)外反母趾 → 内側荷重 → 骨盤前傾
親指が使えなくなると内側に体重が逃げ、膝が内側へ。


その結果、骨盤が前に傾きやすくなります。
骨盤前傾で起こること
- 尾骨が後ろへ引かれる
- 恥骨–尾骨の距離が長くなる
- 骨盤底筋が“引き伸ばされる”

→ 引き伸ばされた筋肉は収縮が難しく、締まりにくい状態に。

(2)内反小趾 → 外側荷重 → 骨盤後傾
小指側に逃げるように荷重がかかると、O脚方向へ。


結果として骨盤が後ろに倒れやすくなります。
骨盤後傾で起こること
- 尾骨が前に押し出される
- 恥骨–尾骨の距離が短くなる
- 骨盤底筋は“ゆるんだ状態”に

→ ゆるんだ筋肉は力が入りにくく、締めても締まりづらい。

(3)浮き指・屈み指 → かかと重心 → 骨盤が不安定に
足指で支えられなくなるため、
身体はかかと側ばかりで立つようになり、
- 猫背(骨盤後傾)
- 反り腰(骨盤前傾)
のどちらかに偏ります。
つまり、
足指の変形は姿勢の“根源的なゆがみ”をつくる起点なのです。
4. 骨盤の前傾・後傾で「骨盤底筋の張力」はどう変わるか?
これが本記事の最も重要なポイントです。
● 骨盤前傾 → 骨盤底筋は引き伸ばされる
尾骨が後方へ
↓
恥骨との距離が伸びる
↓
骨盤底筋が常に“ストレッチ状態”
→ 収縮しにくいため、排泄のコントロールが難しくなりやすい。
● 骨盤後傾 → 骨盤底筋はゆるむ
尾骨が前方へ
↓
恥骨との距離が縮む
↓
骨盤底筋は「たるむ・緩む」方向へ
→ 縮めようとしても力が入りにくい。
◎ 姿勢が悪い状態で骨盤底筋トレをしても変化しにくい理由
骨盤底筋は「適切な長さ(至適長)」で最も力を発揮する筋肉です。
しかし前傾でも後傾でも、
- 長すぎる(弱い)
- 短すぎる(弱い)
という“働きにくい状態”になります。
つまり、
姿勢が崩れている限り、骨盤底筋トレは成果を感じにくいのです。
5. 「骨盤底筋トレが効きにくい」人に共通している3つ
① 足指に変形や機能不全がある
(外反母趾・内反小趾・浮き指・屈み指・寝指)

② かかと重心で立っている
→ 骨盤の角度が安定しない
③ 骨盤底筋が“適切な長さ”にならない
→ トレーニングしても力が入りにくい
この流れが整って初めて、
骨盤底筋トレーニングは本来の効果を発揮しやすくなります。
6. 妊娠中〜産後に尿もれが起こりやすい理由(姿勢の観点)
妊娠中〜産後の女性は共通して
- 骨盤前傾
- 腰椎前弯の増大
- 反り腰方向への変化
が起こりやすくなります。

これは先述の通り、
骨盤底筋を引き伸ばす方向への負荷につながります。

そのため、
“骨盤底筋を鍛える前に姿勢を整えること”は非常に重要です。
体験談
50代女性のケース(※個人の体験であり、変化には個人差があります)

50代の女性から、このようなお話を伺ったことがあります。
数年前から、くしゃみ・笑う・重い物を持つ…といった日常の動作で尿もれが気になるようになり、
「年齢だから仕方ない」と思っていたものの、少しずつ頻度が増えて不安が大きくなっていったそうです。
そんな中で、足指を広げるストレッチを続けてみたことがきっかけでした。
最初は半信半疑だったものの、数週間ほど続けるうちに、
- 足裏が安定しやすい
- 立つ姿勢がラク
- 骨盤まわりの“力が入れやすい感じ”
を日常の中で感じるようになったと言います。
さらに、続けていくと、くしゃみの時の尿もれの「回数が減ったように感じる」という変化にも気づいたそうです。
この方は、第2〜4指に軽い浮き指があり、写真では 足指の接地が増えた という変化が観察できました。

(※あくまで観察記録であり、すべての方に同じ変化が起こるわけではありません)
最後にこの方は、こんな言葉を残されています。
「年齢のせいだと思い込んでいたけれど、まず“足元から”見直してみるだけで、ここまで日常の安心感が変わるとは思いませんでした。」
7. まとめ|「足指 → 姿勢 → 骨盤底筋」この順番で考えることが何より大切
■ 本記事の結論(超重要)
- 骨盤底筋トレが効きにくい原因は「姿勢」にあることが多い
- 姿勢の乱れは“足指から始まっている”ケースが非常に多い
- 骨盤前傾でも後傾でも骨盤底筋は働きづらい
- 尾骨の位置は足指の変形による重心変化で簡単にズレる
- 足指の機能改善は、骨盤底筋が働きやすい体づくりの第一歩
■ この記事で伝えたいこと
尿もれ・頻尿を「骨盤底筋だけの問題」と捉えるのは誤りで、
全身の構造の一部として捉えるべき問題だということです。
足指 → 骨盤の角度 → 骨盤底筋の張力 → 排泄コントロール
この連鎖を理解すると、
根本的な視点で身体と向き合えるようになります。
足指の研究から生まれた「環境づくり」という視点
足指研究所では、20年以上の臨床経験と、東京大学・石井直方名誉教授と実施した観察研究を通して、
「足指が使いやすい環境が整うと、姿勢・重心の安定性に関わる“変化傾向”が見られることがある」
という視点を大切にしています。
足指は本来、「広がる・伸びる・接地する」という生理的な動きを持ちますが、
靴・靴下・床の滑りやすさなどによって、その働きが阻害されることがあります。
私たちは、
「どうすれば日常で足指が動きやすい環境を作れるか」
という点を中心に開発と研究を続けています。
【研究データ|足指・姿勢・筋活動の観察記録】

2020〜2022年、東京大学・石井直方名誉教授の指導下で実施。
延べ96名を対象に、以下の構造的特徴の推移を多角的に観察しました。
- 足指の動き・配置
- アーチ構造
- 姿勢指標
- 体幹支持筋・口腔周囲筋・下肢筋の活動傾向
“足指が使いやすい環境づくり”を行った際、
足指・姿勢・呼吸に関連する筋活動などに構造的な変化傾向が見られました。
【足指が使いやすい体へ|4つのアプローチ】
日常で“足指が働きやすい環境”をつくるための基本ポイントです。
1. ひろのば体操(足指をゆるやかに伸ばす)
2. 靴の見直し(足指が押しつぶされない設計)
3. 小股歩き(足指が自然に使いやすい歩き方)
4. 室内環境の調整(滑りやすい床・スリッパを避ける)
【YOSHIRO SOCKS|構造とものづくり】

——足指が使いやすい“環境づくり”をめざした生活用品
足指の働きを妨げる「環境」そのものに着目し、
奈良の専門工場とともに、糸・密度・摩擦・張力などを精密に検証してきました。
● 構造のポイント

姿勢の安定性に配慮した
摩擦構造

自然な足指の開きを支える
立体フォルム

重心バランスを考慮した
密度・張力設計
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“広げる・伸ばす”動きを引き出す
テンション配置
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開帳・扁平傾向に配慮した
縦横方向テンション

母趾〜小趾が整列しやすい
張力バランス
※ いずれも医療的効果を示すものではなく、あくまで「足指が働きやすい状態をサポートする生活用品としての構造」の説明です。
● 製造のポイント

日本製
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高密度
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極薄
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高耐久

高グリップ
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吸湿・速乾
- 日本製:専門工場が ±1mm 単位でテンション管理
- 高密度:700nmクラスの極細繊維
- 極薄:約2mmの軽さと安定性
- 高耐久:生活用品としての強度
- 扇形フォルム:足指が自然に広がりやすい形状

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