はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
近年、私が保育園・小学校・臨床の現場で強く感じているのが、
「子どもの屈み指(かがみゆび)が異常なほど増えている」 という事実です。
しかも多くの場合、
- 痛みはない
- 見た目も軽度
- 本人も親も気づいていない
――いわゆる 「隠れ屈み指」 として存在しています。
この記事では、
- なぜ子どもに屈み指が増えているのか
- なぜ「筋トレ」や「矯正」が逆効果になることがあるのか
- 本当に守るべき足指の発達とは何か
を、発達・環境・構造の3つの視点から詳しく解説します。
子どもの屈み指は「異常」ではない
まず大前提としてお伝えしたいことがあります。
子どもの屈み指=病気・異常ではありません。
実際、私たちが行った保育園調査(2017)では、
5歳児の 86〜100% に 屈み指または隠れ屈み指傾向が確認されました。
これは「足が悪い子が増えた」のではなく、
足指が発達する前に、環境が変わってしまった という問題です。
本来、足指は「使われながら育つ」
人間の足指は、生まれつき完成していません。
- 立つ
- 歩く
- 転ぶ
- つかむ
- 踏ん張る
こうした 多様な刺激 の中で、
- 指が伸び
- 広がり
- 接地する
という機能が育っていきます。
ところが現代の子どもは、
- 室内は滑りやすい床
- スリッパ・サンダル
- クッション性が高すぎる靴
といった 「足指を使わなくても成立する環境」 に長時間さらされています。
なぜスリッパ・サンダルが問題になるのか
- 歩くたびに脱げないよう
- 無意識に足指で“つかむ”
という動作が起こります。
この「つかむ動作」は、
- 足指を曲げる
- 屈筋を優位にする
という方向に働きます。
これが毎日・長時間続くと、
「曲げる癖」だけが先に固定され、伸ばす・接地する機会が失われる
これが 子どもの屈み指の正体 です。
なぜ「矯正」や「トレーニング」が危険なことがあるのか
ここで、非常に重要な話をします。
子どもの屈み指に対して、
- ゴムで引っ張る
- 無理に伸ばす
- 筋トレをさせる
こうした対応は、原則おすすめしません。
理由は単純です。
👉 足指は「未発達」なだけで、壊れていないから
必要なのは、
- 正しい刺激
- 正しい順序
- 正しい環境
です。
矯正は、
発達が終わったあとに考えるもの です。
親ができる最優先の対応
子どもの屈み指で、まず見直すべきは次の3点です。
- 室内履き(できれば裸足 or 滑りにくい上履き)
- 靴サイズ(大きすぎない・つま先に余裕)
- 足指を「伸ばす遊び」(体操ではない)
これだけで、
自然に指が伸びてくるケースは非常に多い です。
まとめ
- 子どもの屈み指は環境の問題
- 矯正よりも「発達を邪魔しない」ことが大切
- 早期に環境を整えれば固定化しにくい
👉 大人の屈み指も含めた全体構造は
【▶ 屈み指の全体像はこちら】

