足指ドクターによる解説

YOSHIRO YUASA
湯浅慶朗
理学療法士(Physiotherapist)、足指博士、美容研究家、足指研究所所長、日本足趾筋機能療法学会理事長、ひろのば体操・YOSHIRO SOCKS・ハルメク靴開発者。元医療法人社団一般病院理事・副院長・診療部長。専門は運動生理学と解剖学。足と靴の専門家でもあり、姿勢咬合治療の第一人者でもある。様々な整形疾患の方(10万人以上)を足指治療だけで治してきた実績を持つ。東京大学 石井直方 名誉教授の弟子でもある。
なぜ目元のたるみ・まぶたの下がりが起こるのか?
「最近、まぶたが重くて目が小さく見える」「目元が疲れて老けて見える」——こうした悩みを抱える方はとても多いです。一般的には加齢や皮膚のたるみが原因とされますが、実際にはそれだけで説明できないケースを数多く見てきました。
私は理学療法士として臨床に携わり、10万人を超える方々の姿勢や足指を診てきました。その経験から言えるのは、目元のたるみは顔の筋肉だけの問題ではなく、全身の姿勢バランスに深く関わっているということです。
加齢や脂肪の増加だけでは説明できない理由

年齢とともに皮膚のコラーゲンやエラスチンが減少し、弾力が失われることでたるみが生じます。さらに、眼窩脂肪が前方へ突出することで「目袋」が目立ち、老けた印象につながります。
しかし、20代や30代であっても「まぶたが下がる」「目が開けづらい」と訴える方がいます。この場合、加齢では説明できません。そこには必ず姿勢や筋肉バランスの乱れが存在しています。
「痩せているのに目元がたるむ」人が多い背景

痩せていて脂肪が少ない人でも、目元がたるんで見えることがあります。これは、足指の変形が原因で、スウェイバックや猫背やストレートネックなどの姿勢異常によって頭部が前に突き出し、目の周囲の筋肉が常に引っ張られる状態になるからです。
とくにパソコンやスマホを長時間使う現代人は、首が前傾し、目元に余計なストレスがかかりやすい環境にあります。その結果、年齢に関係なく目元が下がるという現象が起きるのです。
眼輪筋の衰えと姿勢・全身の関係性

眼の周りにある眼輪筋は、まぶたの開閉や涙の分泌などに関わります。ところが、この筋肉は単独で働いているのではなく、首・頬・口周囲の筋肉と強くつながりを持っています。
ストレートネックによって広頚筋が引き延ばされると、口角下制筋や下唇下制筋、口輪筋の上唇部まで張力が波及します。さらにその影響は、小頬骨筋・大頬骨筋へと伝わり、これらの筋が眼輪筋下部と交錯する部分を介して、目の下の皮膚や筋肉を牽引します。
本来なら頬を持ち上げて笑顔を作る小頬骨筋・大頬骨筋が「伸ばされて弱化」し、結果的に眼輪筋下部まで下方へ引き込まれるのです。この仕組みこそが、加齢だけでは説明できない目元のたるみの正体です。
実は「足指」が目元に影響していた
ここで意外に思われるかもしれませんが、私が臨床現場で強く実感しているのは「目元と足指の関係」です。
足指の変形(外反母趾・内反小趾・浮き指・寝指・屈み指)がもたらす姿勢異常
外反母趾・内反小趾・寝指・浮き指・屈み指や足趾機能不全などにより、足指が正しく機能していないと、身体はバランスを崩します。
外反母趾→内側重心→回内足→X脚→骨盤後傾→猫背→頚椎前弯(ストレートネック)

内反小趾・寝指→外側重心→回外足→O脚→骨盤前傾→反り腰(スウェイバック)→頚椎前弯

①屈み指→踵重心→膝の屈曲→骨盤後傾→猫背→頚椎前弯(ストレートネック)

②屈み指→踵重心→反張膝→骨盤前傾→反り腰(スウェイバック)→頚椎前弯

①浮き指→踵重心→膝の屈曲→骨盤後傾→猫背→頚椎前弯(ストレートネック)

②浮き指→踵重心→反張膝→骨盤前傾→反り腰(スウェイバック)→頚椎前弯

①親指の浮き指→内側重心→回内足→X脚→骨盤後傾→猫背→頚椎前弯(ストレートネック)

①小指の浮き指→外側重心→回外足→O脚→骨盤前傾→反り腰(スウェイバック)→頚椎前弯

このような足指の異常は、やがて首や肩に負担を与え、頭部が前方に倒れ込みます。すると、先ほど解説した「広頚筋→口周囲筋→頬筋群→眼輪筋下部」という牽引連鎖が働き、目元のたるみが強調されていくのです。
カテゴリー | 該当する足指タイプ |
---|---|
内側重心タイプ | 外反母趾/親指の浮き指 |
外側重心タイプ | 内反小趾・寝指/小指の浮き指 |
踵重心タイプ | 屈み指/浮き指 |
猫背・ストレートネックとまぶたの下垂の関係
スウェイバックや猫背やストレートネックになると、頭は体幹より前に突き出し、首の前後にある筋肉が常に引っ張られた状態になります。この時点で首や肩に負担がかかるのはイメージしやすいと思いますが、実際にはその影響は顔の筋肉(表情筋)にまで波及し、まぶたの下垂や目元のたるみにつながります。
1. 首から口周囲への張力の伝達

起始:鎖骨や胸部の筋膜
停止:下顎骨の下縁・口角・口輪筋
作用:首の皮膚を下げ、口角を引き下げる
ストレートネックで首が前に出ると、この筋肉が伸ばされて張力が強まり、口角を下げる方向に働きます。
起始:下顎骨の下縁
停止:口角・下唇皮膚
作用:上唇と口角を下に引っ張る
広頚筋と連続しており、広頚筋の緊張がそのまま口元を下方に引き込みます。
起始:下顎骨の全面
停止:口角・下唇皮膚
作用:下唇を外側方向へ引っ張る
広頚筋と連続しており、広頚筋の緊張がそのまま口元を下方に引き込みます。


2. 口元から頬へ —— 笑顔を作る筋の弱化

下制筋群からの張力によって口輪筋が下方向に引っ張られ、口角や上唇が下がり、“への字口”の状態になります。
このとき、上唇と連続する 小頬骨筋・大頬骨筋・上唇挙筋 も同時に伸張され、本来の「口角や上唇を持ち上げる力」が弱まります。さらに、これらの筋の一部線維は 眼輪筋下部に停止しているため、下方向への張力がそのまま目元にまで波及し、下まぶたを引き下げる要因となります。
起始:上顎骨歯槽隆起、下顎骨歯槽隆起、鼻中隔、周囲の皮筋線維束
停止:口唇の皮膚
作用:口を閉じたりすぼめたりする
下制筋群からの張力によって口輪筋が下方向に引っ張られ、口角や上唇が下がり、“への字口”の状態になります。
起始:頬骨弓
停止:口角皮膚、眼輪筋外側下部
作用:口角を斜め上方に引き上げる
本来は笑顔で口角を上げる筋ですが、口角や上唇が下に引かれると、この筋も下方に牽引され、「頬を持ち上げる力」が低下します。
起始:頬骨前面
停止:上唇皮膚(口輪筋に合流)、眼輪筋外下部
作用:上唇を持ち上げる
上唇が下に引っ張られると、この筋も同時に伸ばされ、目元へ直接張力が及びます。
起始:上顎骨の眼窩下縁
停止:上唇皮膚
作用:上唇を持ち上げる
上唇挙筋は目のすぐ下(眼窩下縁)から始まるため、下方へ引っ張られるとダイレクトに下まぶたや眼輪筋下部へ張力が伝わり、クマやたるみの形成に直結します。
3. 頬から目元へ —— 眼輪筋への影響

眼窩部・眼瞼部・涙嚢部(ホルネル筋)の3部に分けられる
起始:内眼角靭帯、上顎骨・前頭骨の内側縁
停止:まぶた・眼窩周囲の皮膚
作用:まぶたを閉じる、瞬目、涙液の循環
小頬骨筋・大頬骨筋の一部が眼輪筋外側下部に停止しているため、頬の下方向への張力がそのまま目元に伝わり、下まぶたを引き下げます。
4. 結果として起こること

流れを整理すると
口輪筋を下方に引っ張る
上唇が下制され、そこから連続する 小頬骨筋・大頬骨筋・上唇挙筋が伸張される
本来は上唇を引き上げる筋だが、下方張力により牽引され、持ち上げる力が弱化。
→ 深層線維は眼輪筋涙嚢部と連続しており、その張力が下まぶた内側へ伝達される。
本来は口角・上唇を持ち上げる筋だが、下方張力により牽引され、持ち上げる力が弱化
→ 一部線維は 眼輪筋外側下部に停止しているため、その張力が直接目元に伝達される
上唇挙筋や頬筋群からの張力が伝わり、下まぶたを下方に牽引
→下まぶたの皮膚が下方へ引き込まれ、たるみ・クマ・シワが目立つ
5. 臨床での観察
実際、私の臨床データでも「浮き指を改善し、姿勢が整った人は、目が開きやすくなった」と答えるケースが多くあります。これは単なる偶然ではなく、足指→姿勢→首→頬→目元という明確な解剖学的メカニズムが存在するからなのです。
手の逆立ち理論から考える「足指と目元」


私は「Hand-Standing理論」という独自の考え方を提唱しています。手で逆立ちするとき、指先が体のバランスを支えますよね。実は足も同じで、足指が体のバランスの出発点なのです。

足指が地面をしっかり捉えると、足裏の神経入力が脳へと伝わり、正しい姿勢が保たれます。逆に足指が浮いていたり、変形していたりすると、この情報が乱れてしまい、姿勢が崩れます。

姿勢が崩れれば首や頭部の位置もずれ、目元の筋肉にも負担がかかる——この流れが「足指と目元」のつながりです。
足指が全身バランスの起点になる仕組み

足指が地面をしっかり捉えると、足裏にある感覚受容器からの情報が脳に伝わり、姿勢を調整する神経回路が正しく働きます。逆に足指が浮いていたり、外反母趾や寝指などで変形していると、地面からの情報が脳に正確に伝わらず、体は無意識にバランスを崩した姿勢を取るようになります。
その結果、
- 骨盤や背骨のアライメントが崩れる
- 首が前方に突き出す(ストレートネック)
- 広頚筋から口角下制筋・口輪筋を介して頬の筋群が牽引される
- 小頬骨筋・大頬骨筋・上唇挙筋が伸ばされ、眼輪筋下部にまで張力が及ぶ
という運動連鎖が生じ、目元の皮膚や筋肉にまで下方向のストレスが加わるのです。
足元を直すと「まぶたの開き」が改善するメカニズム
臨床現場では、YOSHIRO SOCKSやひろのば体操によって足指を整えた方から、
「数週間でまぶたが開きやすくなった」
「目がパッチリして顔が明るく見えるようになった」
といった声が多く寄せられています。
これは偶然ではありません。足指 → 姿勢 → 首の位置 → 広頚筋 → 口輪筋 → 頬筋群 → 眼輪筋 → 目元という、解剖学的に裏付けられた一連のメカニズムが存在するからです。
自宅でできる「目元を若返らせる」実践法
1日5分!ひろのば体操で足指から姿勢を整える
ひろのば体操は、足指を広げて関節と筋肉をリセットする体操です。1日5分続けるだけで足指の可動性が戻り、全身のバランス改善につながります。
YOSHIRO SOCKSで“履くだけ”リフトアップ体験
YOSHIRO SOCKSは、独自の特殊素材を用いており、足指が滑らず自然に広がります。その結果、姿勢が安定し、目元の印象まで変わってくるのです。臨床データでも「浮き指率が65%減少」「背筋力が向上」「頸椎角度の改善」が確認されています。
鏡の前でできる!足指・姿勢セルフ診断
1. 足指チェック

足の親指が外側(小指側)に向かって曲がる状態を指します。

足の小指が内側(親指側)に向かって曲がる状態のことを指します。

指が下向きに曲がりっぱなしで伸ばすことができない状態のことを指します。

親指が他の指の爪と比べて上方向に曲がって浮いてしまう状態を指します。

小指が地面から浮いてしまう状態を指します。そのほかの指にも見られることがあります。

指の爪が横を向いている状態のことを指します。特に小指や薬指に多く見られます。
2. 姿勢チェック



- 横から見たとき、耳・肩・腰・くるぶしが一直線に並んでいるか?


- 頭が前に突き出していないか?(ストレートネック)
- 骨盤が前傾しすぎたり後傾しすぎていないか?
- 片足立ちで大きくふらつかないか?
科学的データで裏付ける「足指→姿勢→目元改善」
外反母趾・浮き指改善率と姿勢スコアの変化
指標 | 開始時 | 8週間後 | 改善・変化 |
---|---|---|---|
外反母趾角 | 19.1° | 12.3° | 平均 6.8° 改善 |
内反小趾角 | 25.1° | 5.3° | 平均 19.8° 改善 |
かがみ指率 | 81% | 51% | 30% 減少 |
浮き指率 | 92% | 9.6% | 約 90% 改善 |
寝指率 | 100% | 63% | 37% 改善 |
私たちの臨床試験では、YOSHIRO SOCKSを8週間使用した被験者で外反母趾角は平均6.8°、内反小指角は平均19.8°、屈み指は30%減少、浮き指は90%減少、寝指は37%減少しました。
頚椎角度・背筋力・舌圧・口唇閉鎖力の改善データ
指標 | 開始時 | 8週間後 | 改善・変化 |
---|---|---|---|
姿勢整列率(理想姿勢) | 28.3% | 69.6% | 約 60% 向上 |
頚椎角度(ストレートネック) | 24.6° | 10.4° | 約 14° 改善 |
背筋力 | 50.7kg | 70.7kg | 約 39% 向上(最大57%) |
さらに、頚椎の角度(ストレートネックの指標)が改善し、背筋力が向上。舌圧や口唇閉鎖力も改善することで、顔の下垂や二重アゴの予防にもつながりました。
臨床例:まぶたの下垂・目元のハリ改善の実例

実際の患者様の中には、「眼瞼下垂の手術を勧められていたが、足指からのアプローチで視界が広がった」と話される方もいます。
美容医療・エステでは補えない“足元からのケア”
表面的なアプローチとの違い
ヒアルロン酸注入や切開手術などの美容医療は即効性がありますが、根本原因である姿勢や足指を無視すると再発してしまいます。
根本改善のために必要な生活習慣の見直し
正しい靴選び、滑らない靴下、毎日の足指ストレッチ、小股で歩く——これらを取り入れることで、自然な若々しさを維持できます。
正しい靴選びと靴下選びの重要性

立ったまま履ける靴や滑る靴下は足指を変形させ、姿勢を崩します。正しい靴選びとYOSHIRO SOCKSのような適圧設計の靴下が必須です。
まとめ|若々しい目元は「足指」から始まる
加齢のせいにしない新常識
目元のたるみは「年齢のせい」と思いがちですが、実は足指と姿勢から影響を受けています。
足指からの美容習慣で全身も若返る
足指を整えることは目元だけでなく、顔の輪郭やフェイスラインの改善にもつながります。