医療監修】目元のたるみ・まぶたの下がりと姿勢・足指の“意外な関係”|専門家が解剖学メカニズムを徹底解説

目次

なぜ目元のたるみ・まぶたの下がりが起こるのか?

「最近、まぶたが重くて目が小さく見える」「目元が疲れて老けて見える」——こうした悩みを抱える方はとても多いです。一般的には加齢や皮膚のたるみが原因とされますが、実際にはそれだけで説明できないケースを数多く見てきました。

私は理学療法士として臨床に携わり、10万人を超える方々の姿勢や足指を診てきました。その経験から言えるのは、目元のたるみは顔の筋肉だけの問題ではなく、全身の姿勢バランスに深く関わっているということです。

加齢や脂肪の増加だけでは説明できない理由

年齢とともに皮膚のコラーゲンやエラスチンが減少し、弾力が失われることでたるみが生じます。さらに、眼窩脂肪が前方へ突出することで「目袋」が目立ち、老けた印象につながります。

しかし、20代や30代であっても「まぶたが下がる」「目が開けづらい」と訴える方がいます。この場合、加齢では説明できません。そこには必ず姿勢や筋肉バランスの乱れが存在しています。

「痩せているのに目元がたるむ」人が多い背景

痩せていて脂肪が少ない人でも、目元がたるんで見えることがあります。これは、足指の変形が原因で、スウェイバック猫背ストレートネックなどの姿勢異常によって頭部が前に突き出し、目の周囲の筋肉が常に引っ張られる状態になるからです。

とくにパソコンやスマホを長時間使う現代人は、首が前傾し、目元に余計なストレスがかかりやすい環境にあります。その結果、年齢に関係なく目元が下がるという現象が起きるのです。

眼輪筋の衰えと姿勢・全身の関係性

眼の周りにある眼輪筋は、まぶたの開閉や涙の分泌などに関わります。ところが、この筋肉は単独で働いているのではなく、首・頬・口周囲の筋肉と強くつながりを持っています。

ストレートネックによって広頚筋が引き延ばされると、口角下制筋や下唇下制筋、口輪筋の上唇部まで張力が波及します。さらにその影響は、小頬骨筋・大頬骨筋へと伝わり、これらの筋が眼輪筋下部と交錯する部分を介して、目の下の皮膚や筋肉を牽引します。

本来なら頬を持ち上げて笑顔を作る小頬骨筋・大頬骨筋が「伸ばされて弱化」し、結果的に眼輪筋下部まで下方へ引き込まれるのです。この仕組みこそが、加齢だけでは説明できない目元のたるみの正体です。

実は「足指」が目元に影響していた

ここで意外に思われるかもしれませんが、私が臨床現場で強く実感しているのは「目元と足指の関係」です。

足指の変形(外反母趾・内反小趾・浮き指・寝指・屈み指)がもたらす姿勢異常

外反母趾内反小趾寝指浮き指屈み指足趾機能不全などにより、足指が正しく機能していないと、身体はバランスを崩します。

外反母趾

外反母趾→内側重心→回内足→X脚→骨盤後傾→猫背→頚椎前弯(ストレートネック)

内反小趾・寝指

内反小趾・寝指→外側重心→回外足→O脚→骨盤前傾→反り腰(スウェイバック)→頚椎前弯

屈み指

①屈み指→踵重心→膝の屈曲→骨盤後傾→猫背→頚椎前弯(ストレートネック)

②屈み指→踵重心→反張膝→骨盤前傾→反り腰(スウェイバック)→頚椎前弯

浮き指

①浮き指→踵重心→膝の屈曲→骨盤後傾→猫背→頚椎前弯(ストレートネック)

②浮き指→踵重心→反張膝→骨盤前傾→反り腰(スウェイバック)→頚椎前弯

親指の浮き指

①親指の浮き指→内側重心→回内足→X脚→骨盤後傾→猫背→頚椎前弯(ストレートネック)

小指の浮き指

①小指の浮き指→外側重心→回外足→O脚→骨盤前傾→反り腰(スウェイバック)→頚椎前弯

このような足指の異常は、やがて首や肩に負担を与え、頭部が前方に倒れ込みます。すると、先ほど解説した「広頚筋→口周囲筋→頬筋群→眼輪筋下部」という牽引連鎖が働き、目元のたるみが強調されていくのです。

カテゴリー該当する足指タイプ
内側重心タイプ外反母趾/親指の浮き指
外側重心タイプ内反小趾・寝指/小指の浮き指
踵重心タイプ屈み指/浮き指

猫背・ストレートネックとまぶたの下垂の関係

スウェイバックや猫背やストレートネックになると、頭は体幹より前に突き出し、首の前後にある筋肉が常に引っ張られた状態になります。この時点で首や肩に負担がかかるのはイメージしやすいと思いますが、実際にはその影響は顔の筋肉(表情筋)にまで波及し、まぶたの下垂や目元のたるみにつながります。

1. 首から口周囲への張力の伝達

広頚筋(Platysma)

起始:鎖骨や胸部の筋膜
停止:下顎骨の下縁・口角・口輪筋
作用:首の皮膚を下げ、口角を引き下げる

ストレートネックで首が前に出ると、この筋肉が伸ばされて張力が強まり、口角を下げる方向に働きます。

口角下制筋(Depressor anguli oris)

起始:下顎骨の下縁
停止:口角・下唇皮膚
作用:上唇と口角を下に引っ張る

広頚筋と連続しており、広頚筋の緊張がそのまま口元を下方に引き込みます。

下唇下制筋(Depressor labii inferioris)

起始:下顎骨の全面
停止:口角・下唇皮膚
作用:下唇を外側方向へ引っ張る

広頚筋と連続しており、広頚筋の緊張がそのまま口元を下方に引き込みます。

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正しい頚椎角では広頚筋は緩んでいる
ストレートネックでは広頚筋が伸びる

2. 口元から頬へ —— 笑顔を作る筋の弱化

下制筋群からの張力によって口輪筋が下方向に引っ張られ、口角や上唇が下がり、“への字口”の状態になります。

このとき、上唇と連続する 小頬骨筋・大頬骨筋・上唇挙筋 も同時に伸張され、本来の「口角や上唇を持ち上げる力」が弱まります。さらに、これらの筋の一部線維は 眼輪筋下部に停止しているため、下方向への張力がそのまま目元にまで波及し、下まぶたを引き下げる要因となります。

口輪筋(Orbicularis oris)

起始:上顎骨歯槽隆起、下顎骨歯槽隆起、鼻中隔、周囲の皮筋線維束
停止:口唇の皮膚
作用:口を閉じたりすぼめたりする

下制筋群からの張力によって口輪筋が下方向に引っ張られ、口角や上唇が下がり、“への字口”の状態になります。

大頬骨筋(Zygomaticus major)

起始:頬骨弓
停止:口角皮膚、眼輪筋外側下部
作用:口角を斜め上方に引き上げる

本来は笑顔で口角を上げる筋ですが、口角や上唇が下に引かれると、この筋も下方に牽引され、「頬を持ち上げる力」が低下します。

小頬骨筋(Zygomaticus minor)

起始:頬骨前面
停止:上唇皮膚(口輪筋に合流)、眼輪筋外下部
作用:上唇を持ち上げる

上唇が下に引っ張られると、この筋も同時に伸ばされ、目元へ直接張力が及びます。

上唇挙筋

起始:上顎骨の眼窩下縁
停止:上唇皮膚
作用:上唇を持ち上げる

上唇挙筋は目のすぐ下(眼窩下縁)から始まるため、下方へ引っ張られるとダイレクトに下まぶたや眼輪筋下部へ張力が伝わり、クマやたるみの形成に直結します。

3. 頬から目元へ —— 眼輪筋への影響

眼輪筋(Orbicularis oculi)

眼窩部・眼瞼部・涙嚢部(ホルネル筋)の3部に分けられる

起始:内眼角靭帯、上顎骨・前頭骨の内側縁
停止:まぶた・眼窩周囲の皮膚
作用:まぶたを閉じる、瞬目、涙液の循環

小頬骨筋・大頬骨筋の一部が眼輪筋外側下部に停止しているため、頬の下方向への張力がそのまま目元に伝わり、下まぶたを引き下げます。

4. 結果として起こること

流れを整理すると

STEP
下制筋群(広頚筋・口角下制筋・下唇下制筋)

口輪筋を下方に引っ張る

STEP
口輪筋(上唇部)

上唇が下制され、そこから連続する 小頬骨筋・大頬骨筋上唇挙筋が伸張される

STEP
上唇挙筋

本来は上唇を引き上げる筋だが、下方張力により牽引され、持ち上げる力が弱化。
→ 深層線維は眼輪筋涙嚢部と連続しており、その張力が下まぶた内側へ伝達される。

STEP
大頬骨筋・小頬骨筋

本来は口角・上唇を持ち上げる筋だが、下方張力により牽引され、持ち上げる力が弱化
→ 一部線維は 眼輪筋外側下部に停止しているため、その張力が直接目元に伝達される

STEP
眼輪筋下部

上唇挙筋や頬筋群からの張力が伝わり、下まぶたを下方に牽引
→下まぶたの皮膚が下方へ引き込まれ、たるみ・クマ・シワが目立つ

5. 臨床での観察

実際の観察では、足指の使いやすさが高まった方の中に、「視界のすっきり感を感じた」と話されるケースがありました。

これは偶然ではなく、足指→姿勢→頚部→頬→目元という明確な解剖学的メカニズムを反映した“感じ方の変化”と考えています。

手の逆立ち理論から考える「足指と目元」

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手の指が曲がっていると逆立ちできない
足の指が曲がっているとまっすぐ立てない

私は「Hand-Standing理論」という独自の考え方を提唱しています。手で逆立ちするとき、指先が体のバランスを支えますよね。実は足も同じで、足指が体のバランスの出発点なのです。

足指が地面をしっかり捉えると、足裏の神経入力が脳へと伝わり、正しい姿勢が保たれます。逆に足指が浮いていたり、変形していたりすると、この情報が乱れてしまい、姿勢が崩れます。

姿勢が崩れれば首や頭部の位置もずれ、目元の筋肉にも負担がかかる——この流れが「足指と目元」のつながりです。

足指が全身バランスの起点になる仕組み

足指が地面をしっかり捉えると、足裏にある感覚受容器からの情報が脳に伝わり、姿勢を調整する神経回路が正しく働きます。逆に足指が浮いていたり、外反母趾や寝指などで変形していると、地面からの情報が脳に正確に伝わらず、体は無意識にバランスを崩した姿勢を取るようになります。

その結果、

  • 骨盤や背骨のアライメントが崩れる
  • 首が前方に突き出す(ストレートネック)
  • 広頚筋から口角下制筋・口輪筋を介して頬の筋群が牽引される
  • 小頬骨筋・大頬骨筋・上唇挙筋が伸ばされ、眼輪筋下部にまで張力が及ぶ

という運動連鎖が生じ、目元の皮膚や筋肉にまで下方向のストレスが加わるのです。



鏡の前でできる!足指・姿勢セルフ診断

1. 足指チェック

足指の変形と種類
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外反母趾

足の親指が外側(小指側)に向かって曲がる状態を指します。

内反小趾

足の小指が内側(親指側)に向かって曲がる状態のことを指します。

屈み指

指が下向きに曲がりっぱなしで伸ばすことができない状態のことを指します。

親指の浮き指

親指が他の指の爪と比べて上方向に曲がって浮いてしまう状態を指します。

小指の浮き指

小指が地面から浮いてしまう状態を指します。そのほかの指にも見られることがあります。

寝指

指の爪が横を向いている状態のことを指します。特に小指や薬指に多く見られます。

2. 姿勢チェック

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理想姿勢
猫背
反り腰(スウェイバック)
  • 横から見たとき、耳・肩・腰・くるぶしが一直線に並んでいるか?
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15°以内が正常
15°以上がストレートネック
  • 頭が前に突き出していないか?(ストレートネック)
  • 骨盤が前傾しすぎたり後傾しすぎていないか?
  • 片足立ちで大きくふらつかないか?

科学的データで裏付ける「足指→姿勢→目元への影響メカニズム

外反母趾・浮き指などの“構造変化の傾向”と姿勢スコアの推移

以下は、足指の使いやすさを高める生活環境を整えた参加者における、足部構造と姿勢スコアの“平均値の推移” をまとめた観察記録です。

指標開始時8週間後改善・変化
外反母趾角19.1°12.3°平均 6.8° 変動 
内反小趾角25.1°5.3°平均 19.8° 変動 
かがみ指率81%51%30% 低下傾向
浮き指率92%9.6%約 90% 低下傾向
寝指率100%63%37% 低下傾向

これらは、足指の配置や動きやすさに関する“構造的な推移”を記録したデータであり、個々の状態がどの方向へ変動しやすいかを示した平均値です。

姿勢整列率・頚椎角度・背筋力などの“姿勢指標の推移”

指標開始時8週間後改善・変化
姿勢整列率(理想姿勢)28.3%69.6%約 60% 上昇傾向 
頚椎角度(ストレートネック指標)24.6°10.4°約 14° 変動傾向
背筋力50.7kg70.7kg約 39% 上昇傾向(最大57%) 

頚椎角度や背筋力、舌圧・口唇閉鎖力などの指標にも、平均値として変動の傾向がみられた記録があります。

こうした“姿勢バランスの変化”は、顔周囲の筋の張力分布にも影響するため、目元のすっきり感や開きやすさなどに関する“感じ方の変化” を報告される方もいました。

まぶたの開きやすさ・目元のすっきり感に関する“感じ方の変化”が見られた観察例

実際の患者様の中には、「視界がすっきりしたように感じた」という声があったと話される方もいます。

足指の研究から生まれた「環境づくり」という視点

足指研究所では、20年以上の臨床経験と、東京大学・石井直方名誉教授と実施した観察研究を通して、

「足指が使いやすい環境が整うと、姿勢・重心の安定性に関わる“変化傾向”が見られることがある」

という視点を大切にしています。

足指は本来、「広がる・伸びる・接地する」という生理的な動きを持ちますが、

靴・靴下・床の滑りやすさなどによって、その働きが阻害されることがあります。

私たちは、

「どうすれば日常で足指が動きやすい環境を作れるか」

という点を中心に開発と研究を続けています。

【研究データ|足指・姿勢・筋活動の観察記録】

2020〜2022年、東京大学・石井直方名誉教授の指導下で実施。

延べ96名を対象に、以下の構造的特徴の推移を多角的に観察しました。

  • 足指の動き・配置
  • アーチ構造
  • 姿勢指標
  • 体幹支持筋・口腔周囲筋・下肢筋の活動傾向

“足指が使いやすい環境づくり”を行った際、

足指・姿勢・呼吸に関連する筋活動などに構造的な変化傾向が見られました。

研究データの詳細はこちら

【足指が使いやすい体へ|4つのアプローチ】

日常で“足指が働きやすい環境”をつくるための基本ポイントです。

1. ひろのば体操(足指をゆるやかに伸ばす)

2. 靴の見直し(足指が押しつぶされない設計)

3. 小股歩き(足指が自然に使いやすい歩き方)

4. 室内環境の調整(滑りやすい床・スリッパを避ける)

詳しいケア方法はこちら

【YOSHIRO SOCKS|構造とものづくり】

——足指が使いやすい“環境づくり”をめざした生活用品

足指の働きを妨げる「環境」そのものに着目し、

奈良の専門工場とともに、糸・密度・摩擦・張力などを精密に検証してきました。

● 構造のポイント

姿勢の安定性に配慮した
摩擦構造

自然な足指の開きを支える
立体フォルム

重心バランスを考慮した
密度・張力設計

“広げる・伸ばす”動きを引き出す
テンション配置

開帳・扁平傾向に配慮した
縦横方向テンション

母趾〜小趾が整列しやすい
張力バランス

※ いずれも医療的効果を示すものではなく、あくまで「足指が働きやすい状態をサポートする生活用品としての構造」の説明です。

● 製造のポイント

日本製

高密度

極薄

高耐久

高グリップ

吸湿・速乾

  • 日本製:専門工場が ±1mm 単位でテンション管理
  • 高密度:700nmクラスの極細繊維
  • 極薄:約2mmの軽さと安定性
  • 高耐久:生活用品としての強度
  • 扇形フォルム:足指が自然に広がりやすい形状

YOSHIRO SOCKS の構造と設計はこちら

免責事項

※本記事は、足指・歩行・姿勢に関する一般的な情報と生活習慣の工夫を紹介するもので、治療や効果を保証するものではありません。
※掲載データは「動きやすさの傾向」などの観察記録であり、使用後の変化を示すものではありません。
※個人差があり、医療的判断が必要な場合は専門医へご相談ください。
※記事内の商品・サービスは、快適性や足元環境づくりを目的とした生活用品であり、医療効果を意図していません。

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