【医療監修】正しい姿勢は足指から始まる──ニュートラルポジションをつくる3つの視点

はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
日常生活の中で
「姿勢が悪い気がする」
「意識して背筋を伸ばしているのに、すぐ崩れる」
そう感じたことはありませんか。
多くの方が
・骨盤
・背骨
・体幹
に意識を向けますが、
実はそれだけでは姿勢は安定しません。
私が理学療法士として多くの臨床を見てきた中で、
はっきり分かったことがあります。
姿勢は“上から整えるもの”ではなく、
足指から決まるものです。
この記事では、
私が提唱している
ニュートラルポジション
を「足指」という視点から、
構造的に解説します。
ニュートラルポジションとは何か

私が定義するニュートラルポジションとは、
身体が無理なく立ち、
余計な力を使わずに重心を保てている状態
を指します。
これは
「良い姿勢を作る」
というより、
崩れにくい姿勢の“土台”が整っている状態
と考える方が正確です。
重要なのは、
ニュートラルポジションは
意識して作る姿勢ではなく、結果として現れる姿勢
だという点です。
姿勢が崩れる本当の理由は「足指」にある
姿勢が崩れるとき、体では次のような順番が起きています。

足指が地面をとらえられない
↓
足裏で体重を支えられなくなる
↓
重心が不安定になる
↓
骨盤や背骨でバランスを取ろうとする
↓
猫背・反り腰・左右差が生じる

つまり、
姿勢の乱れは“骨盤の問題”ではなく、
足指機能の低下から始まることが非常に多い
ということです。
ニュートラルポジションの3つの構成要素
① 正面から見た左右バランス(前額面)

真正面から見たとき、
- 頭
- 肩
- 骨盤
- 膝
- 足首
が左右対称に近い位置に並んでいるか。




ここで重要なのは、
左右差があっても
「無理に直そうとしない」
ことです。
多くの場合、左右差は
足元の支持バランスの違い
から生じています。
② 横から見た重心ライン(矢状面)

横から見たとき、
- 耳
- 肩
- 股関節
- 膝
- 外くるぶし
が、ほぼ一直線に並ぶ位置が
ニュートラルに近い状態です。



ここでよくある誤解が、
「反り腰=悪」
「猫背=悪」
という単純な判断です。
実際には、
- 足指が使えない
- 足裏で支えられない
という状況に対して、
体が
“必死にバランスを取った結果”
として
姿勢が現れているケースがほとんどです。
③ 足裏と足指の接地状態
ニュートラルポジションにおいて、
最も重要なのが
足裏の支持状態
です。
安定している足の特徴は、
- 踵と前足部で極端な偏りがない
- 左右の荷重が大きく偏らない
- すべての足指が地面に関与している
- アーチが“潰れていない・浮きすぎていない”
という状態です。


ここで注目すべきなのは、
足指が接地していない状態では、
どれだけ体幹を鍛えても
姿勢は安定しない
という事実です。
④ 脚のアライメント
最後に、脚全体の並びを確認します。




- 踵の中心から上に引いた垂直線が 膝の中心を通っているか
これが、
構造的に負担が分散されやすいニュートラルな下肢アライメントです。
- 線が膝の内側
→ O脚(内反膝)- 線が膝の外側
→ X脚(外反膝)- 太ももはX脚、膝下はO脚
→ XO脚
これらは結果であって原因ではありませんが、
足底圧と足指機能の影響を強く受ける
指標でもあります。
足指が使えなくなる原因は「すべり」
では、なぜ足指は使えなくなるのでしょうか。
多くのケースで共通しているのが、
靴や靴下の中で、足が滑っている環境
です。
足が滑ると、
- 指で地面を押せない
- 無意識に指を曲げる
- 指を浮かせてバランスを取る
という代償が起こります。

この状態が続くことで、
- 屈み指
- 浮き指
といった状態が固定化されやすくなります。
ニュートラルポジションを支える3つの視点
私が重視しているのは、次の3点です。
① 足指が“まっすぐ使える”環境
・外反母趾
・内反小趾
・屈み指
・浮き指
などがあると、
足裏で体重を支える力は大きく低下します。
まずは
指が地面に関与できる状態をつくること
が前提です。
② 足指の機能を妨げない刺激
ひろのば体操は、
足指を無理に鍛えるものではありません。
- 指が伸びる
- 指が開く
- 指が地面に触れる
この“本来の動き”を思い出させる体操です。
③ 日常生活で「足指が使われ続けること」
姿勢は
一時的なトレーニングではなく、
日常環境の積み重ね
で決まります。
- 滑りにくい靴下
- 足型に合った靴
- 過度な補正をしないインソール
これらは
「姿勢を矯正する道具」ではなく、
足指が働き続ける環境づくり
として考える必要があります。
私が考えるニュートラルポジション理論
私の臨床経験では、
姿勢が安定している人ほど
足指の接地と足裏の支持が安定している
という共通点が見られます。
つまり、
ニュートラルポジションとは
足指から自然に立ち上がった“結果の姿勢”
なのです。
足指や姿勢の状態に関する記録例
足指まわりの環境づくりを見直した一例として記録した観察写真です。






















※医療的な効果を示すものではなく、変化には個人差があります。
まとめ|姿勢を変えたいなら、足指から見直す
最後に整理します。
- 姿勢は意識して作るものではない
- 足指が使えるかどうかが土台になる
- 足裏で支えられると、体は自然に整う
- ニュートラルポジションは「結果」
もし今、
「姿勢を意識しているのに安定しない」
と感じているなら、
ぜひ一度、
足指が地面にどう関わっているか
を観察してみてください。
そこに、姿勢が変わらない本当の理由が
隠れているかもしれません。
科学的エビデンス|足指・足底機能と姿勢の関係
本記事で解説している
「足指・足底で支えられなくなることで姿勢が崩れる」
という構造は、複数の研究により支持されています。
① 足部の静的姿勢と足底圧・動的支持の関連
足の形状やアライメント(静的姿勢)は、歩行時の足底圧分布や支持様式と関連することが報告されています。
足部の構造が変化すると、前足部・踵部の荷重配分や接地様式が変わる可能性が示唆されています。
参考文献
Wearing SC et al.
② 足底圧分布は足部機能・姿勢評価の重要な指標
足底圧分布は、足部の支持機能やバランス制御を反映する指標として用いられており、
足部構造や筋機能との関連が複数の研究で検討されています。
参考文献
Buldt AK, Menz HB.
③ 足底内在筋(足指の筋肉)と足部姿勢・機能の関係
足底の内在筋群(骨間筋・虫様筋など)は、足部アーチや前足部の安定性に関与するとされ、
これらの筋機能に介入することで足部姿勢や機能に変化が見られたという報告があります。
参考文献
Mulligan EP, Cook PG.
④ 足底からの感覚入力と姿勢制御の関係
姿勢制御は、視覚・前庭感覚・体性感覚を統合した中枢神経系の働きによって調整されており、
足底からの感覚入力はバランス制御や姿勢安定に重要な役割を果たすことが示されています。
参考文献
Menz HB et al.
⑤ 姿勢・バランス制御における感覚統合モデル
身体の姿勢制御は、末梢からの感覚情報を中枢で統合し、動的に最適化されるシステムであることが示されています。
足底感覚もこの制御系の一部として機能します。
参考文献
Scientific Reports

