【医療監修】モートン病と診断されたのに痺れがない?|足指の変形(屈み指)から考える痛みの正体

はじめに|なぜ「神経の病気」と言われたのに、感覚は正常なのか
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
「モートン病ですね」
そう診断されたものの、
- しびれはない
- 感覚も鈍くなっていない
- でも歩くと前足部が痛い
こうした違和感を抱えたまま、不安になっていませんか。
臨床で多くの足を診てきた中で、私はある共通点に気づきました。
モートン病と診断された足の多くに、
足指の“変形”が存在しているという事実です。
特に多いのが「屈み指」です。
モートン病とは?|定義と実際の症状のズレ
モートン病(Mortonʼs neuroma)は、
第3・第4中足骨間に関連する痛みとして説明されることが多い症状です。

一般的には、
- 神経の圧迫
- 神経腫
- 神経の炎症
と説明されますが、
実際の臨床症状と一致しないケースが非常に多いのが特徴です。
本来、神経が原因なら起こるはずの症状
- 持続的なしびれ
- 感覚鈍麻
- 筋力低下
- 反射の変化
しかし実際には、
- 痛いのは歩いた時だけ
- 靴を脱ぐと楽
- 日によって痛みが違う
というケースがほとんどです。
なぜ「神経圧迫=痛み」とは限らないのか
神経は圧迫されても必ず痛みを出す組織ではありません。
実際、日本の基礎研究では、
神経を圧迫しても痛みが誘発されないケースが報告されています。
神経障害の本質は「麻痺」であり、
痛みは多くの場合、周囲の軟部組織から発生します。
つまりモートン病と呼ばれている痛みの正体は、
- 筋肉
- 筋膜
- 血流
- 足指の使い方
に由来している可能性が高いのです。
実際、日本の基礎研究では「神経を圧迫しても痛みは出ない」と整理されている
モートン病は、
「足趾間の神経が圧迫されて痛む病気」
と説明されることが少なくありません。
しかし実際には、
神経が圧迫された=必ず痛みが出る
という単純な関係は、医学的には成り立ちません。
この点については、日本の疼痛生理学の分野でも、
という点が、基礎研究レベルで明確に整理されています。
神経は「圧迫されただけ」では痛みを出さない
神経の圧迫刺激と痛みの関係についてまとめた日本の基礎的整理では、次のような事実が示されています。
- 正常な神経を機械的に圧迫しても 痛みは必ずしも誘発されない
- 実際に起こりやすいのは しびれ・違和感・感覚の鈍さ といった感覚変化
- 痛みが生じるのは 炎症・浮腫・微小循環障害などが加わった場合
つまり、
「圧迫=痛み」
ではなく、
「圧迫 + 組織環境の破綻 = 痛みが出やすくなる」
という構造です。
▶ 参考:神経圧迫と痛みの関係についての基礎整理
これは脊椎疾患でも同じ考え方が使われている
この考え方は、足だけの話ではありません。
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった脊椎疾患でも、
- 画像上、神経が圧迫されていても痛みが出ない人がいる
- 逆に、圧迫が軽度でも強い痛みを訴える人がいる
という現象が、日常的に確認されています。
その違いを分けているのが、
- 神経そのものの状態
- 周囲組織の炎症
- 血流や滑走環境
といった「神経を取り巻く環境」です。
モートン病でも同じことが起きている
この視点でモートン病を見ると、
- 神経腫がある
- 神経が挟まれている
という所見だけで、
「ここが痛みの原因だ」と断定できない理由が見えてきます。
実際、モートン病と診断される方の多くに、
- 明確な麻痺
- 恒常的なしびれ
- 神経脱落症状
は見られません。
むしろ、
- 歩くときだけ痛む
- 靴を履いているときだけ痛む
- 日によって症状が変わる
といった 「環境依存型の痛み」 を示すケースが大半です。
これは、
神経そのものよりも
足指の使われ方や、周囲筋・軟部組織の状態が、痛みの引き金になっている可能性
を示唆します。
「神経の病気」ではなく「足指の構造の問題」として見る視点
私は臨床で、
- 屈み指
- 浮き指
- 開帳足
といった足指の変形を整えることで、
神経に直接触れなくても、
足趾間の痛みが変化していくケースを数多く見てきました。
これは、
- 神経を治した のではなく、
- 神経が刺激されにくい環境に変わった
と考えるほうが、構造的には自然です。
海外の生理学でも「痛みは単純な刺激では決まらない」と整理されている
この考え方は、日本国内だけのものではありません。
アメリカ生理学会(American Physiological Society)が発行する
The Physiology of Pain でも、
痛みは単なる
「神経への物理的刺激」
によって生じるものではなく、
- 侵害刺激の入力
- 脊髄レベルでの変調(感作・抑制)
- 脳での認知・情動処理
といった、多段階のプロセスを経て成立する現象
であることが解説されています。
つまり、
神経がその場で圧迫されている=即痛みが出る
という理解は、
現在の疼痛生理学の視点から見ると
やや単純化されすぎている と言えます。
見落とされやすい原因|屈み指という足指の変形
屈み指とは?
屈み指とは、
足指の中間関節(PIP関節)が曲がったまま固定されてしまう状態です。

特に、
- 第2趾
- 第3趾
- 第4趾
に多く見られます。
この状態では、
- 指が地面に接地しにくい
- 前足部に圧が集中する
- 足背側の筋肉が過緊張する
という構造が生まれます。
屈み指が前足部痛を引き起こすメカニズム
① 接地の破綻
屈み指では、
足指が「支点」として機能しません。
その結果、
- 前足部中央に負荷が集中
- 中足骨間に剪断ストレスが発生
します。
② 足背筋・骨間筋の過緊張
屈み指が続くと、
などが常に緊張状態になります。

これは神経の問題ではなく、筋の炎症・虚血の問題です。
③ 痛みが「神経痛のように」感じられる
筋・筋膜由来の痛みは、
- 焼ける
- ズキッとする
- 電気が走るよう
と表現されることがあり、
神経痛と誤認されやすい特徴があります。
「誤診が多い」と言われる理由
モートン病の診断に用いられるMulderテストやTinel徴候は、
- 筋の炎症
- 組織の浮腫
- 血流障害
でも陽性になります。
つまり、
神経腫が存在しても、それが痛みの原因とは限らない
のです。
重要なのは「どこが痛いか」より「なぜそこに負荷が集中したか」
前足部の痛みを考えるとき、
- 神経
- 骨
- 画像
だけを見るのは不十分です。
見るべきは、
- 足指が地面に触れているか
- 指が曲がったまま固定されていないか
- 歩行中に指が使われているか
という機能の視点です。
足指ケアという考え方(治療ではなく環境再教育)
ここで重要なのは、
- 症状を「治す」と断定しない
- 構造を整えるという視点
です。
足指の配置を整える
足指が自然に伸び、
- 地面に触れ
- 支点として使える
状態を目指します。
足指ストレッチという選択肢
足指を無理なく伸ばすことで、
- 過緊張の解除
- 血流環境の改善
- 荷重分散
が起こるケースがあります。
まとめ|モートン病の痛みは「神経」だけの問題ではない
モートン病と呼ばれる前足部痛の多くは、
- 足指の変形
- 接地の破綻
- 筋の過緊張
という構造的な問題と深く関係しています。
もし、
- しびれがない
- 痛みが出たり消えたりする
- 手術を勧められて不安
という状況であれば、
一度、足指の形と使われ方を見直す視点を
持ってみてください。
それが、
自分の足と向き合う第一歩になります。


