はじめに|「姿勢が良い」と思っていた人こそ要注意です
こんにちは、足指研究家の湯浅慶朗です。
これまで10万人以上の足と姿勢を見てきた中で、「見た目は良い姿勢に見えるのに、実は腰や肩に負担がかかっている」という方がたくさんいらっしゃいました。


それが、スウェイバック姿勢(sway back posture)です。
背筋が伸びているように見えて、実は骨盤が前に突き出て、上体が後ろに倒れ、腰が反り、首が前に出る(ストレートネック)というバランス崩壊姿勢。
このスウェイバックの原因は、体幹の筋力不足や骨盤のゆがみとされがちですが、私の臨床現場で気づいたのは——
「足指」からこの姿勢が始まっているケースが非常に多いということ。
この記事では、スウェイバックと足指の関係を徹底的に解き明かし、今日からできる“姿勢との向き合い方”までお伝えします。
1|あなたの姿勢、本当に「反り腰」や「猫背」だけですか?
「自分は反り腰かも」「猫背がひどい」——こう思っている人の中に、実は実はスウェイバック姿勢に当てはまる人も少なくありません。
スウェイバック姿勢の特徴

多くの方が、反り腰と区別しにくいと感じています。


しかしスウェイバックは、反り腰とは全く異なる力学で成り立っている姿勢です。
2|スウェイバックを引き起こす“足指の異常”とは?
体幹や骨盤へのアプローチだけでは変化を感じにくかった方々が、足指の機能を見直すことで、姿勢への気づきにつながるケースが多くありました。
その中で特に多いのが、以下の2つのタイプです。
【パターン①】浮き指・屈み指 → かかと重心 → 反張膝タイプ

指が下向きに曲がりっぱなしで伸ばすことができない状態のことを指します。

親指が他の指の爪と比べて上方向に曲がって浮いてしまう状態を指します。

小指が地面から浮いてしまう状態を指します。そのほかの指にも見られることがあります。
浮き指や屈み指するのは、足指が地面を押す・つかむ・支えるという本来の機能を失っていることです。
指が使えないために重心が後ろ(かかと)にズレやすくなります。

足指がまっすぐだと重心は中心にあるので、姿勢はまっすぐになる。重心が中心にあると猫背や反り腰の姿勢はきつくなるので、悪い姿勢になることができない。

足指が浮き指や屈み指になると重心が後ろに移動するので、バランスを取るために反張膝→反り腰→丸い肩になって頭部を前に出すことで上気道を確保する。
▽ 姿勢の崩れの流れ
- 浮き指・屈み指
- かかと重心になる
- 倒れないように膝を反らせる(反張膝)
- 大腿骨が前方に押し出されることで骨盤が前傾
- 腰が過剰に反って反り腰になる
- 上体が後傾するので頭部を前に出してバランスを取る
- スウェイバック姿勢という姿勢パターンが見られることがある
【パターン②】内反小趾・寝指 → 外側重心 → O脚タイプ

足の小指が内側(親指側)に向かって曲がる状態のことを指します。

指の爪が横を向いている状態のことを指します。特に小指や薬指に多く見られます。
内反小趾・寝指・小指の機能不全のような異常があると、身体は小指側の支持を失い、重心が外側に逃げます(外側重心)。

足指に変形がなければ重心は中心に位置するので、姿勢はまっすぐになる。重心が中心にあると猫背や反り腰の姿勢はきつくなるので、悪い姿勢になることができない。

小指や薬指が変形すると外側に重心がかかり、足が外旋する。運動連鎖により骨盤は前傾し、反り腰になって頭部を前に出すことで上気道を確保する。
▽ 姿勢の崩れの流れ
- 小指の機能不全(内反小趾・寝指)
- 外側重心になる
- 股関節・膝が外向きになる=外股(O脚)
- 大腿骨が外旋し、骨盤が前傾
- 腰が反って反り腰に
- 結果としてスウェイバック姿勢という姿勢パターンが見られることがある
これら2つのパターンは、どちらも「足指→重心→骨盤→姿勢」という流れでスウェイバックに影響する可能性があります。
もちろん全員に当てはまるわけではありませんが、臨床現場ではこの傾向を多く経験してきました。
3|「足指→姿勢」までの連鎖を図解で理解しよう
私たちの身体は、無意識のうちに“地面からの情報”を利用して姿勢を調整しています。
その最前線にあるのが、足裏と足指です。
姿勢制御は、以下のような流れで行われています。
- 足指・足裏が地面に触れる(接地)
- 圧・傾き・重心の変化を感知する(感覚入力)
- 脳・脊髄でバランス調整の指令が出る
- 体幹・骨盤・脊柱・股関節などが反応する(姿勢調整)
つまり、私たちが「良い姿勢をしよう」と意識するより前に、
身体は足元を基準にバランスを取ろうとしているのです。
しかし、以下のような足部の状態があると、この流れが乱れやすくなります。
| 浮き指・屈み指 | 地面からの力を受け取りにくく、かかとへ重心が偏りやすい。 |
| 内反小趾・寝指 | 小指側で体を支えにくく、外側へ重心が逃げやすい。 |
足指の機能が低下すると、体は倒れないように姿勢を“調整”します。
その補正反応が結果的に、
- 反張膝
- 骨盤の前方移動
- 反り腰や猫背
- スウェイバック姿勢
といった姿勢パターンとして表れるケースがあります。
もちろん全員に当てはまるわけではありませんが、
臨床現場ではこの流れが多く観察されています。
つまり、姿勢の問題は「上半身だけの問題」ではなく、
足指という“入力側”から始まる場合もあるのです。
5|実際の改善例と臨床データで検証!
私たちが継続的に行っている姿勢・足指評価プログラムでは、
足指の機能を整える取り組みを行った際、以下のような数値変化がみられました(8週間)。
| 指標 | 介入前 | 8週間後 |
|---|---|---|
| 浮き指率 | 92% | 9.6% |
| 理想姿勢率 | 28.3% | 69.6% |
| 背筋力 | 50.7kg | 70.7kg |
| スウェイバック姿勢 | 80% | 14% |
これらは「足指の機能に働きかけた際、こうした変化が観察された」という臨床データであり、効果や改善を保証するものではありません。個人差があることも前提としています。
しかし、従来通り体幹や骨盤だけにアプローチした場合と比べ、“足元から姿勢を考える重要性”を示唆する結果になりました。
なぜ足指から始めるのか?
体幹トレーニングやストレッチは大切です。
しかし、それを支える“土台”が不安定なままでは、
本来の力が発揮されにくいことがあります。
まず足指の接地・感覚・支えを整えることで、
- 重心の位置
- 身体の使い方
- 姿勢への気づき
といった、より根本的な変化につながるケースがあります。
実際の声|38歳・女性・井上さんの場合(パート勤務)
「足指って、こんなに大事なんだと初めて知りました」
井上さん(38歳)は、長時間立つと脚まわりがつらくなり、歩くのが憂うつになる日が続いていました。
病院にも通院し、ケアを続けていたものの、なかなか負担が軽くならず不安を抱えていたそうです。
初回のカウンセリングで足元を確認すると、指がしっかり床に触れず、重心がかかと側に偏りやすい状態でした。
「もしかすると、この足元の不安定さが姿勢や動きに影響しているかもしれません」ーーそんな視点から、まずは足指の使い方を丁寧に見直すことに。
▽ 井上さんが取り組んだこと
・足指をゆっくり広げるセルフケアを1日数分
・歩く前に、足裏への意識づけ
・靴・靴下・立ち方など日常環境の見直し
▽ 数週間後に感じた変化(ご本人の実感)
・指が床に触れる感覚がはっきりしてきた
・立った姿勢がラクになった
・歩幅が自然に広がった
・人から「歩き方が柔らかくなったね」と言われた
・家事や買い物で疲れにくくなった
さらに鏡を見ると、以前は前に突き出ていた骨盤の位置が落ち着き、
スウェイバック姿勢に見えていた上体の傾きが整ってきたように感じたそうです。
「娘と手をつないで歩く時間がまた楽しくなりました」
と笑顔でお話しくださいました。


スウェイバックのように見える姿勢の乱れでも、
必ずしも体幹や筋力の問題とは限りません。
足指や重心の取り方と向き合うことで、
日常の動きが変わるきっかけになる場合があります。
姿勢を見るときは“上半身だけ”ではなく、
まず“地面とつながる足元”から考えることが大切です。
※こちらは個人の体験談であり、すべての方に同じ変化が起こるものではありません。
7|まとめ|姿勢を考えるなら、“足元”という選択肢を
「体幹トレーニングをしているのに、姿勢がしっくりこない」
「骨盤ケアを続けても、変化を感じにくい」
そんな方は、視点を少しだけ足元に向けてみると、
新しい気づきが得られることがあります。
スウェイバックは、骨盤や上半身だけに原因があるのではなく、
重心の位置や足指の使い方など、全身の連鎖として表れる姿勢パターンです。
だからこそ、姿勢を考えるときは
- 体幹
- 骨盤
- 背骨・肩・頭部
- そして足指・足裏
この“つながり”で見ていくことが大切です。
とくに、地面と唯一つながっている足指は、
姿勢を支える情報の入口でもあります。
もし今、スウェイバックに悩んでいるなら、
上半身だけではなく“足元”という選択肢を加えてみてください。
日常の立ち方・歩き方・靴・靴下……
小さな足元の環境づくりが、姿勢との向き合い方を変えるきっかけになる場合があります。
足指の研究から生まれた「環境づくり」という視点
足指研究所では、20年以上の臨床経験と、東京大学・石井直方名誉教授と実施した観察研究を通して、
「足指が使いやすい環境が整うと、姿勢・重心の安定性に関わる“変化傾向”が見られることがある」
という視点を大切にしています。
足指は本来、「広がる・伸びる・接地する」という生理的な動きを持ちますが、
靴・靴下・床の滑りやすさなどによって、その働きが阻害されることがあります。
私たちは、
「どうすれば日常で足指が動きやすい環境を作れるか」
という点を中心に開発と研究を続けています。
【研究データ|足指・姿勢・筋活動の観察記録】

2020〜2022年、東京大学・石井直方名誉教授の指導下で実施。
延べ96名を対象に、以下の構造的特徴の推移を多角的に観察しました。
- 足指の動き・配置
- アーチ構造
- 姿勢指標
- 体幹支持筋・口腔周囲筋・下肢筋の活動傾向
“足指が使いやすい環境づくり”を行った際、
足指・姿勢・呼吸に関連する筋活動などに構造的な変化傾向が見られました。
【足指が使いやすい体へ|4つのアプローチ】
日常で“足指が働きやすい環境”をつくるための基本ポイントです。
1. ひろのば体操(足指をゆるやかに伸ばす)
2. 靴の見直し(足指が押しつぶされない設計)
3. 小股歩き(足指が自然に使いやすい歩き方)
4. 室内環境の調整(滑りやすい床・スリッパを避ける)
【YOSHIRO SOCKS|構造とものづくり】

——足指が使いやすい“環境づくり”をめざした生活用品
足指の働きを妨げる「環境」そのものに着目し、
奈良の専門工場とともに、糸・密度・摩擦・張力などを精密に検証してきました。
● 構造のポイント

姿勢の安定性に配慮した
摩擦構造

自然な足指の開きを支える
立体フォルム

重心バランスを考慮した
密度・張力設計
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“広げる・伸ばす”動きを引き出す
テンション配置
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開帳・扁平傾向に配慮した
縦横方向テンション

母趾〜小趾が整列しやすい
張力バランス
※ いずれも医療的効果を示すものではなく、あくまで「足指が働きやすい状態をサポートする生活用品としての構造」の説明です。
● 製造のポイント

日本製
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高密度
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極薄
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高耐久

高グリップ
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吸湿・速乾
- 日本製:専門工場が ±1mm 単位でテンション管理
- 高密度:700nmクラスの極細繊維
- 極薄:約2mmの軽さと安定性
- 高耐久:生活用品としての強度
- 扇形フォルム:足指が自然に広がりやすい形状

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