【医療監修】姿勢と足元から考える「血圧」と身体バランスの関係― なぜ“背すじ”や“足指”が無視され続けてきたのか ―

はじめに
こんにちは。足指研究家の湯浅慶朗です。
す。
血圧というと、多くの方は
「年齢」「遺伝」「塩分」「薬」
といった言葉を思い浮かべるかもしれません。
しかし私は、臨床と研究の現場を通して、
血圧という数値の背後にある“身体構造の問題” が、
ほとんど語られてこなかったことに強い違和感を覚えてきました。
とくに見過ごされてきたのが、
姿勢と足元(足指・足裏) です。
本記事では、
「なぜ姿勢が乱れると血圧の調整が難しくなるのか」
「その姿勢はどこから崩れてくるのか」
を、最新研究と身体構造の視点から整理していきます。
血圧は「血管」ではなく「調整システム」の問題でもある
血圧は単なる血管の圧力ではありません。
自律神経・呼吸・筋緊張・重心位置といった
全身の調整システムの結果として表れる指標です。
そのため、
- 緊張が抜けにくい
- 呼吸が浅い
- 常に前かがみ
- 立位で安定しない

こうした状態が続くと、
血圧の変動が大きくなりやすい傾向があることは、
複数の研究からも示唆されています。
猫背姿勢が自律神経に与える影響
猫背姿勢では、
- 頸椎の自然なカーブが減少
- 胸郭が圧迫され呼吸が浅くなる
- 首・肩・背部の筋緊張が持続
といった変化が起こります。

これらは交感神経の優位状態を招きやすく、
結果として循環調整が不安定になる可能性があります。
頸椎アライメントと脳血流
頸椎前弯が回復した被験者において
脳血流量の増加が確認されています。
これは
首の配列が循環や神経調整と無関係ではない
ことを示す一例といえるでしょう。
高血圧と「前傾姿勢」の関連を示した研究
浜松医科大学(Arima et al., 2019)の研究では、
高血圧群において
頭部が前方に位置する姿勢(SVA増大)
がみられやすいことが報告されています。

重要なのは、
これは「姿勢が悪いから血圧が上がる」と断定する話ではなく、
血圧調整と姿勢制御が、同じ身体システム上で影響し合っている可能性
を示唆している点です。
では、その姿勢はどこから崩れるのか?
私はこの問いに対して、
足元から始まる運動連鎖(キネティックチェーン)
という視点が不可欠だと考えています。
人は立つとき、
最初に環境と接しているのは「足」です。
足指や足裏の感覚入力が低下すると、
重心位置が後方・外側へずれる
↓
骨盤が不安定になる
↓
背骨でバランスを補正する
この結果として、
前傾姿勢や猫背が“無意識に固定化”されていきます。
足指機能と姿勢制御の関係
足指には、
- 前後・左右の重心制御
- 立位安定性の微調整
- 歩行時の推進と制動
といった役割があります。
しかし現代では、
- 足指が使われにくい靴環境
- 足裏が滑る素材
- つま先の感覚低下
によって、
この機能が十分に発揮されにくくなっています。
足元が不安定なままでは、
上半身は常に“緊張で姿勢を保つ”ことになり、
自律神経系にも影響を及ぼしやすくなります。
姿勢・呼吸・循環は分けて考えられない
姿勢が崩れる
↓
呼吸が浅くなる
↓
神経系が過敏になる
↓
循環調整が不安定になる
この流れは、
特別な病気でなくても起こり得ます。
京都大学の長浜スタディ(Tabara et al., 2019)では、
腰椎前弯が少ない高齢者ほど、起立時の血圧変動が大きい傾向
が示されています。
ここでも注目すべきは、
骨格アライメントと循環反応が連動している点です。
足元へのアプローチは「治療」ではなく再教育
誤解してほしくないのは、
足指ケアや姿勢調整が
「高血圧を治す方法」ではないということです。
しかし、
- 身体が安定しやすい状態
- 呼吸が入りやすい姿勢
- 無意識の緊張が少ない立位
こうした条件が整うことは、
血圧を含む身体指標の“管理しやすさ”に
寄与する可能性は十分にあります。
これは治療ではなく、
身体の使い方の再教育です。
まとめ
血圧という数値だけを見ていると、
身体全体の構造的な問題は見えにくくなります。
姿勢
足元
呼吸
神経
循環
これらはすべて分断できない一つのシステムです。
もし血圧管理に悩んでいるなら、
「薬を増やす・減らす」以前に、
自分の身体が、
どれだけ安定して立ち、
どれだけ自然に呼吸できているか
一度、足元から見直してみる価値はあると
私は考えています。


