咬合療法と姿勢

なぜ理学療法士が咬合のことを?とても疑問に思う方も多いと思います。実は私の歯は24歳の頃から親知らず以外に5本の歯がありません。自然に抜け落ちていったのです。虫歯で削った歯や神経を抜いた歯を入れると、ほとんどの歯が機能していません。24歳の頃から噛む場所は1ヶ所しかなく、1口で100回ほど噛んでいたのを今でも覚えています。

その当時はなぜ自然に歯が抜けたのか気にとめることはなく、失った歯の部分をどうするかしか考えていませんでした。しかしどこの歯医者さんにいっても提示されるのは「インプラント」でした。私は高齢者医療の現場で人工関節の行く末を見ていたので、自分の体にメスを入れるとや人工物を挿入することを非常に恐れていたので、インプラント以外で解決できる歯医者さんを探していました。

徐々に不健康に

 

しかし全国の歯医者さんを受診したものの、自分に合う治療法が見つからずそのままの状態で35歳くらいまで過ごしていました。あの当時は口内炎もひどく、虫歯もできやすく、重度の歯周病で歯磨きをするだけで出血をしていたくらいでした。硬いものが食べられないので、いつもやわらか食を好んで食べており、硬いものであれば圧力鍋を使って柔らかくしていました。

私の体調は徐々に悪くなり、35歳の時に「うつ病」になってしまいました。抗うつ剤や睡眠導入剤を使用するものの、夜は眠れず食事も喉を通りません。挙げ句の果てにはネガティブな考えしか思い浮かばずに、自分はどうやればラクに死ねるだろうかとか、家族に迷惑をかけずに死ぬにはどうすればいいのだろうかという事しか考えられなくなっていったのです。

体力の低下が著しかったので、職場には退職届を出して一旦仕事を辞める決意をしたのです。そしてその時にちょうど歯科向けセミナーが入っていたので、これを最後に退職をすることにしていました。そしてセミナーが終了したのですが、次の日は休みだったため、せっかくなので歯科医院の見学を申し出たのです。

 

あなた死ぬわよ

 

次の日、歯科医院に到着して見学の挨拶をするなり、歯科医師の方が私の目を見て「あなた死ぬわよ」と一言言い放ったのです。そして「いいからユニットに寝なさい」と言われ、無理やりユニットに寝かせられました。「あなたの歯がないのがセミナー中ずっと気になっていたの、あなたそのままじゃ死ぬわよ。今から治療するけどいいわね」と言われました。

しかし私は「これまで全国でも有名ないくつもの歯科医院に通い、色々な提案を受けたのですが全てインプラントしかないと言われました。ブリッジや差し歯ではダメなのかということも言いましたが、どうせダメになるから意味がない、インプラント以外は考えられない、と言われたので放置していました。自分なりに歯のことは色々と勉強してある程度わかっているつもりですが、とにかく私は歯医者が苦手で、インプラントもしたくありません」と話しました。

そうするとS先生は「大丈夫。インプラントじゃなくてもブリッジで十分。私の作ったブリッジは30年以上持つから、もしその時にダメになったらその時考えればいいのよ。でも今あなたの歯を治さないと30年後は生きていないわよ」と言われたのです。そして色々な症例を見せてもらったり、治療に関する説明をとても丁寧に行なってくれたことも覚えています。そして私はこの歯科医師の先生であれば大丈夫かもしれないと思い、治療をお願いすることを決意したのです。

とにかく保育園時代から虫歯治療に通っていたので、ユニットに横になるだけで手に汗を握り、心拍数も上昇しました。そのことを察してか、目隠しはせず、優しく手を握ってくれ、治療の合間にこまめに声をかけてくれました。そしてたったの1日で全ての歯を治療してくれたのです。歯が全て入った瞬間、足元からエネルギーが溢れてくるのがわかりました。そしてウツウツしていた気分が一気に晴れ、元気を取り戻したのです。

 

歯がなければ健康は取り戻せない

 

「歯が1本でも無いと人は健康にはなれない」

そこで初めて気がついたのです。私は足指が広がっていること、姿勢が良いこと、鼻で呼吸ができていること、これさえやっていれば健康になれると信じていました。しかし今回の出来事で歯のこと、食事のことが健康に関与することが理解できたのです。そして口腔内のケア、食事形態を変えていくとみるみる虫歯もできなくなったのです。

 

なぜ歯がなくなったのか

 

その時から歯に魅了され「なぜ歯を5本も失ったのか」という疑問が頭をよぎるようになりました。原因があって結果があるはず。原因はなんだろうということから歯科の勉強を始めていったのです。まずは自分の歯周病、破折、顎関節症、食いしばり、反対咬合を研究するようになりましたが、どんなに書籍を読み漁っても、これといった明確な原因が記載されていないことに気がつきました。それは医科の教科書と同様で「なぜ軟骨がすり減るのか」が全て加齢で片付けられていたりするのと同様だったのです。

しかし妻の食いしばりがO脚の改善とともになくなったことを考えると、姿勢と関連があるのではないかと考え始めました。そして自分の体を使いながら解剖学的に紐解いていくと点と点が線で全て繋がったのです。そして全て姿勢が崩れることによる現象が不正咬合であることがわかってきたのです。そのことを自分なりに理論化して、患者様に試していくとわずか3週間ほどで顎関節症や食いしばりがくなっていきました。ほとんど再発がないのです。

そして自身の歯周病・破折・顎関節症・食いしばりが良くなったことで確信したのです。そこから派生させていきながら、咬合療法、過蓋咬合、オープンバイト、下顎偏位、TCH、舌癖、低位舌、口呼吸を理論化して体系化して生きました。まさか自分の口腔内の問題がこのような道に進むとは思いもしませんでした。あの時私を救ってくれた歯科医師の方に恩返しができればと思い、この時すでにひざ痛や腰痛のことはすでに体系化できていたので、口腔内の問題に対するアプローチ法の構築ばかりを行なっていました。

そして足と姿勢と咬合セミナーが誕生したのです。これは全て独自で理論、体系化したもので、どこの書物にも記載されていません。これが少しでも広がれば、私のように歯を失う人が少なくなり、うつ病をはじめとする病気が減っていくのではないか。治療は歯科医院でしか行えません。私はこれ以上悪くならないようにすることや予防を目的とした活動しかできません。そう考えると歯科医院にこの理論を広げることでより加速度的に予防医療として広がっていくのではないかと考えました。

 

理学療法士だからこそできること

 

私は理学療法士です。「理学療法士のくせに」と言われることもあります。それでも全く構いません。大切なことは健康な人を一人でも増やしていくことなので、興味がなければ素通りしてもらえれば良いと思います。私は解剖生理学が非常に得意な分野でもあります。そして解剖学だけでなく、ヒアリングを通して「原因」を見つけ出す独自のカウンセリングも武器の一つです。

知識をお伝えするだけであればとても簡単ですが、それを臨床の場でどのように応用していくかがとても大切です。それら全てを網羅しているのが「院内研修」です。ファーストステップとして各地域で開催しているセミナーを受講していただければ幸いです。そして次のステップとして院内スタッフ全員研修でHIRONOBA METHODを本格導入していただく。そうすることでマタニティ・インファント・キッズ歯科から大人まで全ての年齢層に対応することができ、妊娠中の母親からの指導を行うことで健全な子供たちの育成を通して不正咬合の人を減らしていくことができます。

治療だけが病院の役割だとは思いません。現在整形外科でも予防医療特化型のところが増えています。そういった予防に特化していきながら全身を見ての歯科医療が確立できればきっと健康な人が増えていくだろうと考えています。もちろんセミナーにはお金がかかりますが、それは私がこれまで18年蓄積してきた知識と技術の代償です。そこはご理解いただければと思います。

 

*出張セミナー(院内スタッフ全員研修)はお問い合わせください(最低催行人数あり)。

ひろのば体操考案者

NHKガッテン・NHKサキどりなどで特集が組まれ足育の第一人者として紹介された。福岡・東京を拠点として会員制トータルヘルスコンサルティングのほか、「足と姿勢と咬合理論」を世界中に普及させるために、日本国内のみならずニューヨークやバンコク等でも講演活動やセミナーを行っている。靴下だけで歯並びを変えたい!という想いでオリジナルブランドの「YOSHIRO SOCKS」の研究開発も行っている。

湯浅 慶朗
contact@yoshiroyuasa.com

ひろのば体操考案者 NHKガッテン・NHKサキどりなどで特集が組まれ足育の第一人者として紹介された。福岡・東京を拠点として会員制トータルヘルスコンサルティングのほか、「足と姿勢と咬合理論」を世界中に普及させるために、日本国内のみならずニューヨークやバンコク等でも講演活動やセミナーを行っている。靴下だけで歯並びを変えたい!という想いでオリジナルブランドの「YOSHIRO SOCKS」の研究開発も行っている。